希少種の兄弟
書くペースが遅くなってきた!
頑張るけど辛い~!
ブックマークよろしくです(*´・ω・*)励みが~!
「というわけです」
「美紅は意外と大胆な事を考えるな」
「でも1番確実かと・・」
「私はそれでもいいが・・でもな」
僕達は視線を下に向けてハレンちゃんを見る。
「それしかないならやらせていただくのです!」
「平気?無理しなくてもダメなら他の方法を考えるけど」
「大丈夫なのです!ただし条件があるのです!」
「何?」
「できればなのです」
そして僕達は小屋の外に出た。
周りには村の獣人の人達に囲まれて凄い言われようをしている
「人族め!またワシらにこの様な仕打ちを!」
「姫を放してよこの人でなし!」
「やっぱり人族か!」
「可愛い顔してなんてことを!」
「こんな事をしてただで済むと思うなよ!」
ね?凄い言われ様でしょ?ん・・1人褒めてなかった今?
仕方ないけどねだって僕の胸の中にはハレンちゃんがいるし。
そしてハレンちゃんの首には僕の短剣が向けられている。
「離れて下さい、何かすればこの村の姫を殺します」
「くっ・・人族が!皆下がれ・・」
「そうだ、全員しっかり離れろ、姫がどうなってもいいのか?」
僕とヒルマさんがそう言うと全員僕達が前にでるとその分距離をあける。
「美紅様、もっと強くです」
「ハレンちゃん・・状況考えて・・」
「おい!子猫いい加減にしろ!」
僕達3人は小声で話す、内容はハレンちゃんが出した条件のせいだ。
『人質になる間、美紅様が強くハレンを抱きしめるようにしてくれるのが条件なのです』
なんだ・・それ・・?と思ったがやってみて理由がわかった。
僕達が村の人達を脅してる間、首に短剣が向けられているのにハレンちゃんは・・・。
「くんくん・・くんくん」
僕の匂いを嗅いでおります。どんだけだ!!!!
「何が狙いだ人族!悪いがそんな事をしても何もならんぞ!」
「そうじゃ!この村から出られん!出るにはダンジョン石がいる!渡さんぞ!」
「この悪魔め!」
「人族め!可愛い顔しやがって!」
「姫を放してあげて!お顔に傷でも付いたらどうするの!」
これしか方法ないし仕方ないんだよ、そしてやっぱり1名なんか変なの混ざってるよね?褒めてる奴が!
「何が望みだ人族!」
「こちらからの条件は1つです、村の中に戻って下さい、じゃないと後悔することになります」
「ふざけるな!この侵入者が!」
「私達がここにいる理由はもうどうでもいい、今はお前達にとってもっと大切なことがあるだろ?状況を理解して言う事を聞いたほうがいいぞ?」
「くんくん」
「できれば早くして下さい、僕もこんな事はしたくないし、初めてなので手元が狂ったら困ります」
「くそっ!人族は過去も今もクズばかりだ」
「人族かどうかは今は関係ないだろ?早く行動に移せ」
「くんくん」
できれば早くしてほしい、凄い罪悪感だ。
そしてハレンちゃんちょっとは緊張感持ってね、たびたび匂い嗅いでるよね?
「待てぃ!!!」
「あ・・赤い獣人の人だ」
「うむ、近くで見るとわかるな、馬か?」
「ほう?人族のクセに我が種類がわかるか、我は赤馬の獣人!幻獣種だ!」
「え?貴方村の人じゃないですよね?なんで幻獣種なんですか?」
「お前も部外者だろ?」
「口の利き方に気をつけろ人族、我は部外者ではない!この村に嫁ぐ婿だ!いわば主役!」
「いや、そういう意味じゃなくて希少種の村から来たって聞いてますし」
「そうだな、なんでお前が幻獣種なんだ?」
「ふっ、どうやら誰かが余計なことを人族風情に話したようだな、ならば教えよう!我は赤馬!希少種の部族で生まれた軌跡の存在!部族の長の息子にして、この村でこの村の姫と添い遂げる存在だ!」
やばい!ウザイこの人・・すごくウザイ喋り方だ!雰囲気までウザイ!
「希少種から幻獣種が生まれるものなのか?」
「ふっ、稀だがな!我が村には2人も幻獣種が生まれた!ならばこそこの婚礼は成立したのだ!」
「そうなの?ハレンちゃん」
「キャップ様は幻獣種らしいのです、おそらく私達の祖先、つまり村にを作る前に外の世界にいた幻獣種の方がいて、その方の血が混ざっていてそれがキャップ様に反映されたのだと思うのです」
「いわいる先祖返りという奴か」
「そういうことだ!我の血筋は高貴なる幻獣種だったのだ!もちろん希少種も価値はある!だが幻獣種はさらに価値がある!我は希少種の部族で選ばれた唯一の存在!運命によって幻獣種として生を受けて幻獣の村の姫と添い遂げるのだ!」
「って言ってるけどもう1人いるんだよね?全然唯一じゃない気がする」
「矛盾してるな」
「黙れぃ人族!確かにもう1人いるがあれは敗北者!我に血で勝てなかった愚か者だ!我が兄のクセに非常に往生際が悪く苦労したものだ!」
「お兄ちゃんなんだ・・ダメだよ兄弟にそんな事言っちゃ」
「黙れぃ!事情も知らんくせに!ええい!そんなことよりハレンを放せ!我が愛しの姫を傷物にしたら貴様らの命はないと思え!」
「あ・・動かないでください、その傷物になりますよ?」
「ひ、卑怯者め!!」
「美紅・・なんだあいつは名乗りに出ただけか?何かしてくると思ったのだが・・」
「黙れぃ人族!我は何も出来なくても姫を守る使命があるのだ!ここで黙って見ているわけにはいかんのだ!」
「ん~、使命感は立派ですけどこっちも譲れないので下がって下さい」
「何も出来ないなら何もするな馬」
「う、馬ではない!赤馬!火を司る存在だぞ!」
「美紅、こいつカイユウ臭がしないか?」
「カイユウさんには悪いですけど同意です、態度のでっかいカイユウさんって気がします」
「む、カイユウとは白狼のカイユウ殿か?ふっ・・我が義兄上となられる方に似てると言うのか?今更褒めてもお前たちの運命は変わらんぞ?」
「知らないって幸せですねヒルマさん」
「ああ、私が言われたらたぶん寝込むな」
「ハレンもなのです」
ハレンちゃんそこは話しに入ってくるの!?お兄ちゃんを大切に!
「とりあえずキャッブさん?下がって下さい、ていうか他の人と一緒に村に戻って下さい」
「くっ、人族!貴様ら・・」
「いいから村にいけ、他の奴らはもう下がったぞ」
「くんくん」
ハレンちゃんキャッブさんとのやり取りに飽きてない?
「あ・・村の方々に伝えて下さい、全員が村に入ったのを確認しないとハレンちゃんは解放しないのでよろしくと」
「わ、我を伝令に使うなどふざけているのか!!」
「いいから行けカイユウ2号」
「褒めても伝令などやらんぞ!」
「伝えないと困るのはそっちですよ?」
僕はちょっと短剣の角度を上げてそうしないとハレンちゃんが危ないことを強調する。
「お、覚えておれ!我が姫にこんな扱いをした罪!貴様らを燃やし尽くしてやるぞ!」
そう捨て台詞を吐いてカイユウ2号のキャッブさんは走っていった。さすが馬・・カイユウさん並に速い・・ますます似てる。
「さて、ハレンちゃんよろしく」
「はい、美紅様」
「全員が村に入ったら教えてくれ」
村一番の嗅覚を持つハレンちゃんを利用して村の人達の位置を把握、そして丘に向かう作戦だ。
「大丈夫なのです、全員村に入ったのです。キャッブ様も入ったのです」
「ありがとう、こっちに向かってきてる人もいない?」
「はいなのです」
「向こうからこっちの動向がわかるものはいないのか?」
「ハレンほどわかる人はいないと思うのです、キャッブ様はわかりませんがあの方は赤馬と言っていたので嗅覚に特化はしてないと思うのです、このまま丘のほうに向かってたのはわかっても秘密基地の場所まで把握できる人はいないと思うのです」
「よし美紅、向かうぞ!」
「ですね、ハレンちゃんありがとうここで別れよう」
「嫌なのです」
「うん、じゃあね!って何で!?」
「子猫我侭を言うな、まだ美紅の匂いを嗅ぎ足りないとでも言うのか?」
「我侭で言ってるのではないのです、このままハレンが戻ればどうなったかを聞かれ場所を教えろと言われるのです、あとまだ嗅ぎ足りないのは否定しないのです」
否定しようね、匂いをずっと嗅がれるのは凄い微妙なんだよ?
「子猫!お前を連れて行った方がこっちの状況が悪くなると言うのがわからないのか?」
「子猫違うのです、ハレンなのです。そんな事はヒルマさんに言われなくてもわかっているのです、でもこのまま美紅様達が丘に隠れてからはどうするのですか?あそこに行けば村が見渡せますけど、そこからどうするのですか?丘から秘密基地までの案内は?食料は?お水は?どうするのです?」
「うっ・・」
珍しいことにヒルマさんが言い包められてる・・。
「わかったよ、ハレンちゃん一緒に来てくれる?」
「はいなのです!美紅様!」
「でも、いつでもみんなの所に帰っていいからね」
「そうだな、ずっと帰らないと行方不明になってしまう、ハレンに何かあったと思って村の者が強硬手段に出られても困るからな」
「どうにかしてカイユウさんかキオウさんに連絡が取れればいいんですけど」
「その話はあとだ、いくぞ美紅」
「わかりました」
「こっちなのです」
またこの崖もどきを登る事になるなんて~!
「大丈夫か美紅?」
「美紅様大丈夫なのです?」
「へ、平気です」
情けない女の子2人に心配されるなんて。
「着いたー!」
「しかしハレン、お前は小柄なくせに体力があるな」
「これでも獣人なのです」
「その秘密の場所に行くまで、1つ聞いていいかハレン」
「何なのです?」
「キオウやカイユウの時は実はちょっとしたことがあったんだが、お前は私達に会ってから人族の事を一度も悪く言わないな、何故だ?」
「あ!はぁはぁ・・僕もちょっと気になってました・・はぁはぁ」
「確かにハレン達の村は人族に対して警戒心・・というよりもう拒絶みたいな感情があるのです。でもハレンはずっと村の中にいて人族の方を見たことがなかったのです、なのでまず見てから判断しようとずっと思っていたのです」
「なるほど・・で?どうだった私達を見て」
「ハレンの態度を見てわかってほしいのです」
「すまない、失礼なことを聞いたみたいだな、だがもう誤解は解けているがカイユウやキオウにも見習ってほしかったな」
「お兄様達もわかってはいたと思うのです、でもお兄様達は今はもう村を守る若い世代、感情より村の為ということでハレンよりも警戒心が先に出てしまったのだと思うのです」
「みんながハレンちゃんと同じ考えだったらいいなと思いますけど無理なんですよね、人はやっぱり他人の事を先に考えれる人は稀だと思います」
「美紅様は結構厳しいことを言うのです」
「そう?僕の考えだから気にしなくていいよ」
「でもハレンは美紅様は最初から警戒してなかったのです」
「なんで??」
「うわっ!」
「こんな良い匂いをしていっしゃるお方が悪い人なはずないのです!」
後ろからタックルされて抱きつかれてスリスリされる、疲れてるんですけど~!
「こらっ!子猫!美紅は崖登りで疲れているんだぞ!やめろ!」
「嫌なのです!嫌なのです!」
「こら離れろ!」
ハレンちゃんをひっぱるヒルマさん。
ヒルマさん頑張って!でも引っ張られると僕も踏ん張らなきゃなので体力的には削られるばかりです・・。
「ハレンはもう美紅様中毒なので~~す!」
「なんだその病気みたいな名前は!は・な・れ・ろ!」
ヒルマさん的確なツッコミありがとうございます・・ついでに中毒を治す方法を考えて下さい。
「あ・・ここなのです」
「ここって・・神社?」
「神社?美紅何だそれは?」
鳥居があった。
とても古い日本にあった神社を思い出させる建物。
でも良く見ると細部が違うかも?
「いやその・・」
「神社が何か知りませんがここは社と呼んでます」
「ハレン達が作った物ではなく、昔からあったものか?」
「たぶんそうなのです、でも長老様達も知らないみたいだったので相当昔かもしれません。元々この場所は私達の祖先の土地、新しい土地と種族との交流を目指し外の世界に行ったのですが結果ダメになりここに戻ってきたのがハレン達ですから」
「なるほどな、よくわからないが安全ならそれでいい」
「この裏に小さな滝も流れておりますので水もあります、魚も泳いでますので採ることも出来ます」
「自給自足はできそうですね、そんなになるまでここにいるわけにはiかないですけど」
「どうなるか・・だな」
「カイユウお兄様次第です」
「え?」
「何?」
「そういえばカイユウさんはどうししたんです?」
「たしかキオウが用事で何とか言ってたな」
「用事というか実は自分で飛び出したというか・・カイユウお兄様は今村の外なのです」
「なんで!?」
「馬鹿な!危険すぎる!」
「確かめる為らしいなのです」
「何をですか!?」
「真実なのです、キャッブ様が言ったことが本当かどうかを」
「どうやって確かめるんだ?何か伝があるのか?」
「カイユウお兄様はあると・・何でも1人だけ獣人の方の知り合いにとても世の中の事情に詳しい旅人の方がいてその方に聞くことが出来れば分かるかもしれないと・・」
「誰ですか?それ?」
「ハレンもキオウお兄様も止める前に飛び出していったのです、聞けたことはその方が旅人でキャッブ様の部族関係があるって事だけなのです、ごめんなさいなのです」
「ヒルマさんそれって・・」
「ああ、売られた獣人だな」
「何か知ってるのです?」
「カイユウさんから話を聞いた時にちょっと出てきた人です」
「同じ獣人だが部族に裏切られ人間に売られた獣人がいると言ってたな」
「ありえません!それはハレン達には禁忌です!例え罪を犯しても他種族には売らず部族内で裁くのがハレン達です!」
「それは聞きましたけど、カイユウさんもそれ言ってましたし」
「それを言ったカイユウはこうも言ってた、『俺はあの人を知ってます!売られるような事をする人じゃないです』とな」
「たしかにあの時のカイユウさんは真剣でしたね、いや普段も真剣なんだろうけどあの時だけはちゃんと見えたと言うか・・あ、ハレンちゃんゴメンなさいお兄さんの事を悪く言うみたいに」
「大丈夫だ美紅、それは私も同じ印象だった」
「大丈夫なのです、ハレンもたぶん同じです」
・・・迷わず成仏して下さいカイユウさん、妹さんは一切かばいませんでした。
「どのくらいで帰ってくるの?」
「わからないのです」
「わからないのか!?」
「はい・・ハレン達には面識はなくどこにいるかも分からないのです。知ってるのは唯一配達という仕事をしていたカイユウお兄様だけなのです」
「わかりました、信じて待ちましょう」
「そうだな」
「え?信じてもらえるのです?」
「それしかないなら仕方ないですし」
「うむ、カイユウを信じよう」
「もっと疑われるかと思ったのです」
「カイユウさんは頭より体が先に動くタイプですけど村の為を思ってすることは真剣なので大丈夫ですよ」
「そうだな、これは私達の為でもあり村の為でもある、その人物が何か知っていると思ったならそれしかないと思っての行動だろう、仲間を振り切ってまで行ったんだろ?カイユウの足だけは速いからな意外と早く帰ってくるかもしれない」
「う~ありがとうなのです」
社の中は狭かったけどそんなに汚れてはいなかった。
「ハレン達がたまに来てお掃除をしてるのです、色々物を持ってきてるので好きに使ってほしいのです」
「うん、そうさせてもらうね」
「しかし、あの赤馬はなぜ私達の事を知っていたんだろう」
「それを確かめるためにカイユウさんが外に出てるんでしょ?」
「なのです」
「キャッブさんって人は一体僕達の事をどういう風に長老さん達に伝えたんですか?」
「教えてくれハレン」
「えっと、『この村に災いを運ぶ者が村に入ってると情報を持ってます、恐らくもうこの村のどこかにいるでしょう』と言ってたのです」
「なんですかそれ?」
「なぜ知ってるか答えになってないぞ」
「ゴメンなのです、でもそれ以外には・・」
「なら村からキャッブさんの部族のところに行ってた使者の人は?」
「叔父様もキャッブ様と同意権でした、カイユウお兄様が狙われていて脅されて村に災いを連れ込んでいると情報が入った、だから何とかしたほうがいい、その為にキャッブ様に同行をお願いして来てもらったと」
「同じじゃないよ!!」
「違うだろ!」
「へ?」
「なんでカイユウが襲われた事を知ってるんだ!」
「そうですそれです、向こうも自分が襲われてカイユウさんも村から出てるかもと僕達みたいに予想していた、なら話はわかります。でもカイユウさんが怪しい者を村に招いてるなんて来ていきなりわかるはずありません」
「始めから知っていて言った可能性が高すぎるぞ!」
「なるほどなのです」
「お前達は村の者を信用しすぎだな」
「どういうことなのです?」
「えっとね、その叔父さん?も怪しいって事かな」
「そんな!叔父様は優しい方なのです!」
「悪いがハレン、優しいか優しくないかは関係ない、私達にとって問題は1つだ」
「つまりこの状況をいきなり作り出した人は何を考えてるかって事ね、それがわかって解決しないと僕達はここから出て行けない」
「もちろん強硬手段もあるがな」
「・・できればそれはやめてほしいのです」
「僕達もそうしたいんだけどね~」
「ああ、はっきり言うぞハレン、私達はカイユウに頼まれてここに来た、ここまで関わってしまった後だがこれ以上は無事に出れる気がしない」
「申し訳ないのです」
「ハレンちゃんが謝る事じゃないよ、ハレンちゃんは僕達の為に知らせてくれてここまで案内してくれたしね」
「美紅様!!うっ!」
「やると思ったぞ」
ハレンちゃんは僕に抱きつこうとしたがヒルマさんが手を突き出して、額の部分を掴んで見事に止められてしまった。
「何故邪魔をするのです!」
「何故抱きつこうとする!」
ヒルマさん、それはブーメランです。
「二人とも落ち着いて下さい、ハレンちゃんここから村の予定は?僕達のこと以外で」
「え?えっと、多少予定が変わってキャッブ様の親族数名が村にいらっしゃる予定です」
「婿側の親族というわけか、式はいつなんだ?お前がいない時点で延期だろ?」
「2日後なのです、戻らなければ・・延期になると思うのです」
なんか延期になってほしそうな感じだなー、わかるけど・・キャッブさん見たけどアレはないわ~!文字通り馬面・・いや馬でもかなりイケメンの馬だったよ?サラブレット?
「いつ来るんだ?その親族とやらは」
「今叔父様が途中まで迎えに行ってますので明日の朝到着らしいのです」
「そうですか、とりあえず動くなら明日ですね」
「そうだな、悪いがハレンお前は鼻で監視を頼む、誰か近づいてきたら私か美紅にすぐに教えてくれ」
「はいなのです」
「あ・・キオウさんはどうなってるんですか?」
「軟禁状態なのです、・・美紅様とヒルマさんを報告せずに匿ったということで・・すみませんこんな言い方になって」
「いいよ事実だし」
「そうだな、キオウにも迷惑をかけた」
「なんかどんどん状況が悪くなってますね」
「ああ、カイユウを送り届けたらすぐ出て行くつもりだったのに」
「これも焦ったカイユウさんが入り口の回数を2回も多く使ったせいですね」
「まったくだ、なんの成果もなく戻ったらどうしてやろう」
「あのお二人はさっきカイユウお兄様を信じてるって言って・・」
「冗談ですよ、ちゃんと信じてます」
「私は冗談じゃないぞ?あいつには迷惑しかかけられてない」
ヒルマさんそこは嘘でも信じてるって言いましょう!
「しかし驚きましたね、婿のキャッブさんが幻獣種だったなんて」
「ハレンも驚いたのです、長老様の言ってた安心しろとはこの事だったのです」
「先祖返りと言ってたな、たしかに赤馬の獣人なんて見たことはない」
「ハレンもはじめて見たのです」
「好きになれそうなのか?」
「ヒルマさん意地悪ですよ!」
「・・・わからないのです」
「すまない、さすがに言い過ぎた」
「いいのです、事実は変わらないのです」
「勝手に結婚相手を決められるか・・僕ならどうしたかなー」
「ハレン達は血を大切にしますから・・」
「どの種族にも大切なものはある、それを否定するものしないのも自分次第だぞ」
「難しいですね」
「はいなのです」
「とりあえず明日の朝に事は動きそうなのでそれまではゆっくりと言うのはおかしいですけどできることはありません」
「そうだな」
「休むのです」
僕達は食事を取って明日に備える事にした、魚はハレンちゃんが採ってくるという事なので、お土産に貰った米と味噌があるのでそれをハレンちゃんが調理してくれて食べた。
あれ全部ハレンちゃんがやってくれてない?いいお嫁さんになるねこの子!
次の日僕達は丘にいた。
やって来るという婿側の親族を見るために。
「どうだハレン」
「近づいてきます、数は・・5人なのです」
「5人以外と少ないんですね」
「それは決まってたのです、あまり村に招待しなくなかったらしいのです」
「うっ・・」
「どうしたの?ハレンちゃん」
「い、嫌な匂いが・・」
「いやな匂い?どんな匂いだ?」
「腐臭・・だと思うのです」
「「腐臭?」」
「来たのです」
洞窟の中から5人・・が現れる全員獣人だ。
「なんだ・・あれは・・」
「なんですかあれ!!」
「ハ、ハレンにもわからないのです!」
「気持ち悪いぞあれは!」
「僕も初対面というか人を外見でいきなり悪く言うのはいけないと思いますがアレはさすがに怖いです」
「あんな獣人みたことないです」
「猿?体は獣?蛇?なんなんだ・・・」
「尻尾が・・蛇・・?顔は猿・・手足は獣・・もしかして鵺?」
「え?知ってるのです?美紅様」
「ゴメンね、わからないでも知識だけある中であれと似たような生物・・架空だけど、鵺って生物かも」
「なんだ美紅、その鵺という者は?」
「僕のいた・・あ・・・えっと聞いたというか調べたというか、まぁ調べたくて知ったわけじゃなくて」
「美紅、私はわかっているから鵺だけ教えてくれ」
「ずるいのです!ハレンだけ抜け者みたいに!なんの話なのです美紅様!」
「ハレン今はそれは関係ない、鵺が何かだろう?」
たぶんヒルマさんは僕の世界の知識と言う事を理解してハレンちゃんの疑問をとめてくれたのだ。
「えっと、違ったらゴメンなさい、鵺ってのは猿の顔に獣の手足に蛇の尻尾を持つ生物です、しかも雷獣と呼ばれています」
「ば、化け物じゃないか!!混合生物か!魔物のキメラの類だぞ!」
「ヒルマさんハレンもそう思ったですけど、言いすぎです!」
どっちもそう思った時点で口に出さなくても出しても同罪ね、ちなみに僕もそう思ったの同罪でいいよ。
「あんな獣人もいるんですね、でも良く考えたら赤馬も鵺と同じかも、あれも確か火を司る生物だったような?」
「美紅様凄いです!博識なのです!」
「凄いな美紅!さすが私の美紅だ!」
「ヒルマさんのじゃないのです!」
そこ喧嘩しない!でも・・その2匹ってたしか僕の世界じゃ妖怪・・。あの二人妖怪か・・?
見ていると長老達や村人数名が近づいていってる。
出迎えみたいだね。
「え?二人とも!喧嘩してないで見て下さい!あれがハレンちゃんの言ってた臭いの正体です!」
「「え??」」
5人の内・・鵺?の人が一度洞窟に戻りすぐに戻ってきて大きな荷物の中身を出して長老達に見せる。
「美・・紅・・あれは・・」
「はい・・あの3人です」
「な、なんなのですあれは!美紅様ヒルマさん知ってるのです?」
「あれはカイユウを襲っていた馬3人組だ」
「その通りです、ただし死体ですけど・・」
「うっ・・凄い匂いなのです」
袋・・死体を入れていた袋から出したからだろう、中に入れていても腐臭を感じ取っていたハレンちゃんにはキツイ臭いなんだろう、あからさまに顔を歪めた。
「でもなぜカイユウお兄様を襲った3人の人族の方が殺されてここに!?」
「証拠・・ですかね、カイユウさんを襲った者を自分達が見つけて処理した・・という」
「手土産だろうな、これで村は安心だ・・という」
「で、でも何故あの人達がそれを!?」
「ゴメンね、それはわからないよ、あのあと僕達はすぐここに来た。あの3人組を振り切れたと信じて、そのあとどうなったかわからないんだ」
「予想できるとしたら・・あの馬3人組は私達を諦めて、もう1人の叔父だったか?そいつを狙ったが叔父は希少種の部族に守られていたので返り討ちにあった、殺される前に拷問か何かで私達の事を話したとかだな」
「もしかして馬3人組は僕達の事をでたらめに話したせいで僕達は敵扱いされてるって事ないですか?」
「その可能性はあるな」
「じゃあ、その事情を説明すればいいのです!」
「どうやってだハレン、悪人といっても証人だった馬3人組はあの通りだ、物言わぬ塊状態だ」
「ですね、あの3人が原因でその3人しか証明できないってものなんか嫌ですけどね、でももうそれ無意味ですけどね、あの状態じゃ」
「ではどうすればいいのです・・」
「わからないな」
「はい、あの3人を渡されて村やキャッブさんの一族がどういう行動に出るのかですね」
「それに今言った事は全部仮説だしな」
ピクッ!ハレンちゃんの耳が物凄く動いてる。
「どうしたのハレンちゃん?」
「おかしいのです、あの黄色い・・鵺様でしたか・・匂いが変わったのです」
「匂いが変わる?」
「蛇の臭いが強くなったのです」
「え?」
その瞬間僕達が見ていた鵺の獣人の尻尾の蛇が明らかにこっちを見た。
そしてそれに釣られるように本人の鵺の獣人もこちらを向く。
そして・・・。
「美紅!!ハレン!!後ろに飛べ!!」
僕とハレンちゃんは反射的に言われた通りにする。
僕達の真上から雷が一筋降ってきていた。
ヒルマさんが言ってくれなければ直撃していた。
でもその場所残ったヒルマさんは・・雷の直撃を手で受けとめている。
そしてその雷をそのまま鵺の人に返した。
見るとその場にいた獣人5人の内の一人に当たったようで倒れている。死んだかな??
「なんだ・・あいつはここにはハレンもいるのだぞ、もしもの事があれば知らなかったじゃ済まないぞ」
「凄いです!ヒルマさんどうやったのですか!?」
ハレンちゃんは危なかった事など気にせず興奮している。僕達下手したら死んでたんだよ?ハレンちゃん
「簡単な話だ、降ってきた雷を手に集中した自分の雷で受け流して攻撃方向を変えて向こうのぶつけてやっただけだ」
ヒルマさんそれ普通は簡単にできません。
「美紅様!ヒルマさん!来るのです!鵺の人なのです!すごい速さなのです!」
そう言われて気づいた、物凄い勢いで崖を登ってくる音がする。
落ちればいいのに・・。
「青い鎧のお前か?俺の雷撃を防いで仲間をやってくれた人族は?」
3種の獣が混ざったキメラのような獣人がそこにはいた。
カナじい「なぜ落ち込んでおるのじゃ」
蒼「嫌な予感が止まらない!」
カナじい「人の時より五感が優れておるしのぅ、女神として他の感覚も得ておる」
蒼「便利そうでなんか不便なんだよ」
カナじい「普通は便利なんじゃが・・」
蒼「はぁ、仕事しよう」
カナじい「今度地上に行ってもらうかもしれん、気分転換でもしてくるのじゃ」
蒼「本当!いつ!?」
カナじい「いつかはわからん」
蒼「ぶぅーーー」
頑張れ蒼(*´・ω・*)