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2回目の来訪者

ストックもそろそろ3部終了まで書けそうです。


たぶん1部や2部より文字数が格段に多いので話数は短く出来る予定です。


あくまで予定なので違ったらすみません・・。


ブックマークもどうかよろしく(*´・ω・*)

うん、よく聞く話だね。

良い所の家柄の女の子が家の都合で結婚させられる。

そういう話を聞いたときは気の毒だと思ったな~。


そして僕の目の前にまさかの被害者が・・。


「結婚などしたくないのです!うわぁぁぁん」


「物凄い泣いちゃってますね」


「すまない美紅、私もこういう状況は苦手だ」


ゴメンなさい、僕も苦手です。


「ね、ねぇハレンちゃん、嫌なら今からでも遅くないし言えばいいんじゃないかな」


「そ、そうだそれがいい」


「無理なのです、ハレンにはお断りする権利がないのです」


「権利がない?なんで?」


「この婚姻は部族と部族の長が合意したのです」


「それがなんで権利がないんだ?」


「ヒルマさん、もしかしたら僕達にはまた言えない事かもしないのであまり突っ込んで聞くのは・・」


「いえ、美紅様には何でもお話します、くんくん」


なんでだ!?まさか僕の匂いに自白効果が?とりあえず嗅ぐの自重しようか。


「今回の婚礼はこの村の長老様達にとって念願なのです」


「どういう意味だ?」


「ハレン達は大昔に珍しいというだけで多種族に捕獲されたり、見世物にされたのです。そのためこの土地にお追いやられたのです。ですが長老達はそのことを長年よく思ってなくて外の世界に出たいと思っているのです」


「で、でもここから出たらまた大昔みたいに同じことが起こっちゃわない?」


「私もそう思う、言っておくが人族の事だけではないが欲望というのは際限がないぞ?」


「ハレンもそう思うのです、いえ間違えましたハレン達やお兄様や村の若い物は基本今回の事には積極的じゃないのです。理由は2つなのです、1つは相手の部族が何か気に入らないらしくて、もう1つはもっと大事な理由らしいのです、でもハレンは何故か教えてもらえないのです、お前は気にしなくていいと言われてるのです」


ハレンちゃんゴメンね!その2つ理由は知ってるの、そして後者の理由は村の若い人達がハレンちゃんが可愛くて大好きだから外の村なんてかにやりたくないらしいよ!てか若手!そっちが一番大事な理由って言ってるのか!

そして僕はヒルカさんに小声で・・。


「ヒルカさん2つ目の理由教えたあげます?ハレンちゃんここまで思いつめてて可哀想ですよ」


「それは私達が言っても良いことなのか?たしかに私も気の毒だとは思うが若い奴らが隠してるのは意味があると考えもないか?」


「ええ!あると思います?正直僕は若い人達がハレンちゃんが可愛いから嫁にやりたくないって恥かしくて言えないだけかと思います」


「うーん、すまん私にはわからん、可愛いなら言えばいいだろう?なぜ恥ずかしがる?」


ダメだ・・この人は相談役にならない僕に結構可愛い可愛いと恥ずかしげもなく言うし、たぶん気持ちが本当にわからないんだろう。

真面目に考えると僕も言えないかも・・これはたぶん男心だ!そうだ!僕は男だ!


「ハレンちゃん、本当に嫌なら若い人達に結婚は嫌です!お願いだから一緒に長老達を説得して下さいって言えないの?」


「その通りだ、いくら長老達が頑として動かないと言ってもこれからはお前達若手の時代だろ?いつまでも老人がしきっていてはダメだと思うぞ?」


「ハレンもお兄様達もそれは思ってるのです、ですが長老様達のお気持ちもわかるのです。幼い頃から昔のお話を聞かされて育ったのです、『心無い者達のせいで自分達はここに追いやられ隠れて暮らすようになった、いつかお前達子供達にも外の世界を見せてやりたいが隠れる事しかできなかった、わし達の最後の仕事だとおもう』と何度も言われたのです」


おもっ!、凄い良い言葉だけど重すぎだよ、自分達の思いが強すぎてちょっと先行しすぎな感じがするよー。


「ハレン・・と呼ばせてもらうが、私が思ったこと言っていいか?私の名はヒルマだ」


「ヒルマさんですねどうぞなのです」


「・・別にいいのだがなぜ私には様づけじゃないんだ?」


「ハレンの本能が様で呼んだら負けと感じたのです」


「・・そういうことか」


「どういうことです?」


「美紅は知らなくていい」


のけ者!?ヒドイ!


「話を戻すぞ、たぶん美紅も私も一番気になってる事だ、正直キオウやカイユウにも聞きたかったがこれ以上深く関わるのを避けて聞かなかったことだ、だがもういいだろう」


「あーなんとなくわかります」


「ハレンと外から迎える婿の部族が親交があり、ハレン達の村が過去現在に渡り世話になっているのもわかるし、今回の婚姻関係で血の絆が生まれるのもわかる、だが今のハレンの話を聞いてさらに疑問に思ったんだが恐らく長老達もそれが決め手になったんだろうと思うが・・ハレンが結婚する事で老人達の長年に渡る願いが叶うのか?一体何がどうなってこの村の老人達は外の世界にお前達を導くつもりなんだ?」


「それは・・」


「ハレンちゃん本当に良いにくかったら僕もヒルマさんも無理には言わなくていいよ?ここで話を終わっても別にいいからね?」


「いいえ美紅様、言わせて貰うのです・・くんくん」


意思は立派ですが、人の匂いを嗅いで、よし!見たいに決意を固めるのやめてほしいかも。


「守り手になってもらうためです」


「守り手ってなんですか?」


「美紅たぶん文字通りの意味だ、守ってもらうのだろう」


「ヒルマさんの言うとおりです、相手の部族の方々は希少種の一族、はっきり言ってしまうと希少・・という意味ではハレン達のほうが上なのです、ですが希少種も外の世界では珍しい一族らしいのです。それでも希少種の方々は私達と違い隠れることなく武力や人族との交渉によって地位を確立している立派な部族と聞いているのです」


「それが決めてってわけですね」


「たしかにそれが本当ならハレン達が外に出ても守ってもらえる可能性はあるな」


「はいなのです、人族の方々には失礼かもしれないのですが、獣人は元々部族は違っても仲間意識は強い部族なのです、なので血が混ざればさらに強い絆が生まれ守る意味が深まるのです、希少種の部族の方々にとってハレン達は家族、親族になるのです、外の世界に出てハレン達に害を成す者が現れても守ってもらえるというのが長老様達の言い分なのです」


「そうやって言われちゃうと困りますね」


「確かにな説得力はある」


「それを聞いて長老様達の思いを知ってるハレンやお兄様達は何も言えなくなり、今現在至るのです」


「ねぇハレンちゃん、僕からも1ついい?」


「何でもお聞き下さい!くんくん」


聞く姿勢は凄くいいけどそろそろ嗅ぐの止めようか、飽きたでしょ?


「飽きてないのです!」


「え?何も言ってないよ!?」


「言わなきゃいけない気がしたのです」


怖い!この子怖い!今のも本能!?怖いよ!


「えっとね関係ないかもしれないけどさ、この村って幻獣種の村なんでしょ?カイユウさんやキオウさんも言ってたけど全部が幻獣種じゃない、少ないが違う人もいるって言ってたけどハレンちゃんはその中でも白の一族って聞いたけど、そんな村で一番貴重って言ってもいい家柄に希少種だとしても血を入れてもいいの?」


「でも美紅カイユウ達が言ってただろ?幻獣種が婚姻した場合は同じ種類が生まれてくるわけではないし珍しい種族だと、だから少ないが幻獣種じゃないもいると。だから平気なんじゃないか?」


「でもハレンちゃんの一族は特別で必ず白色になるとも言ってませんでした?」


「ああ、言っていたような気がする、どうなんだハレン?」


「それはハレンもおじい様に聞いたのです、実はハレンにはそれが最後の砦だったのです。それを言えばもしかしたら中止に持ち込めるかもとおもったのです、でも答えはこうでした、『お前が気にするのもわかる、だがまさにこの時にこの婚礼の儀が行なわれるのは運命なのだ、女神様のお導きかもしれない、安心してその日を迎えよ』っと・・・ううぅ」


「何それ?」


「なんだそれは?答えになってないじゃないか」


「なのです、わからないのです、それからそれとなく何度聞いてもダメなのです」


気になるのは女神って言葉だけど・・フレアナじゃないよね?蒼ちゃん教えて!


「ここまで話を聞かせてもらって悪いがしょせん私達が部外者だ、ハレンお前の気持ちは正直わかるが何ができるかと言うと何も出来ないと言っていい、極端な話お前の意思を無視して今お前をこのまま里から攫ったとしても追っ手がかかるだろうからな」


「僕達が関わって止めたとしてもさらに揉めそうですね、下手したらまた人族を恨むかも・・」


「いえ!いいのです!村の人達の前では・・お兄様達の前でも本音は言えなくて、つい村の外の方である美紅様やヒルマさんを見たらこの人達の前なら関係ないので胸の内を吐き出しても大丈夫と思って利用してしまったのです、不快に思われたのなら謝罪するのです」


「大丈夫だよ、グチぐらい誰でも言うよ?もう泣かないでなんて言わないからもっと言っていいよ?僕もヒルマさんも時間ならあるし聞くから、ね?」


「ああ、先ほどはいきなり美紅に抱きついていて取り乱したが、ハレンの状況を聞くと同情の余地がある、私達でよければ思っていることを吐いていけ、お前が言ったように無関係の者だ、それに安心しろ、私達はこの村の事は言わないと誓っている、だからお前の思いも言わないと約束しよう」


「ありがとうなのです、ではお二人を信じて思いのたけを言わせて貰っていいですか?」


「全然いいよ!何でも言って!」


「ああ、何でも言え」


「では・・・美紅様の匂いを朝まで嗅がせてほしいのです!!」


そう言うと夜這いの時と同じ位の力で抱きつかれてスリスリし始めた!思いのたけは!?


「子猫!グチはどうした!!」


「猫じゃ、くんくん!ないのです!くんくん!虎なのです!くんくん!」


「そこじゃない!グチを言えと言ったんだぞ、私達は!」


「これがハレンのグチです!くんくん!」


「そんなわけないだろう!」


「はぁ・・」


僕はあきらめてハレンちゃんのされるままにしている、頭もちょっと撫でてあげた。

たしかに凄い勢いで匂いを嗅がれてるけど、たびたび聞こえる「ぐすっ」という鼻をすするような泣くような音が聞こえるからだ。


たぶん耳のいいヒルマさんも聞こえてるから文句だけで剥がそうとしない、この歳でここまで思いつめて何も言わなかったのは相当辛かったんだろうなと僕と同じでたぶん思っているんだと思う。


「ハレンちゃんこのままでもいいけど、他の人に疑われないうちに戻るんだよ?」


「はいなのです」


結局朝日が昇るまでずっと抱きつかれて匂いを嗅がれたままだってけど不思議と眠くはなかった。




「おはようございます、お二人とも起きてますか?」


早朝カイユウさんがちょっと早い朝ご飯運んできた。

結局あれから寝てないけどね。


「おはようございますカイユウさん」


「おはようカイユウ」


「これ朝ごはんです、そしてこれは美紅さんへのお礼の品です、米と味噌が入ってます、調理法も紙に詳しく書いておいたので持ってて下さい」


「わー!ありがとうございます!」


「よかったな美紅」


「いえいえ、お二人にはお世話になったのに村に来て迷惑をかけこんな物しか渡せないなんて・・」


「気にしないで下さい、僕はこれが一番嬉しかったりしますので」


「だそうだ、気にするなカイユウ」


「あ、ありがとうございます」


「泣くなよ?最後なのだからな」


「そうですね、笑顔で別れるのが理想です」


「は、はい!」


最後のご飯も美味しかった、ご飯だけまた食べに来たいな~。


「すまん、入ってもいいか?」


「キオウじゃないかどうしたんだ?」


「美紅、ヒルマも起きてるのか」


「そりゃそうだろう、たたれるのは朝だからな。それよりどうしたんだ?」


「二人がいるが、まあいいだろう、村の外から2つの臭いが来るそうだ」


「え?俺なにも匂わないけど?」


「はあ・・お前は・・情報元はハレンだ、俺やお前がハレンに敵うわけないだろうが、だがそろそろ臭うはずだ。」


「ハレンが言うなら間違いないな、なら戻ってくるのか?」


「それしかないだろうな、聞いてたのか?いるのは2人だ。しかも1つは知らない臭いらしい、おかしいだろ?」


「知らない!?な、なぜ2人なんだ?」


「俺が知るか、だがハレンのお陰で知ることが出来た、俺は仲間を連れて入り口を張る事にする」


「お、俺も行く!」


「馬鹿かお前は?俺は何が起こるかわからないから美紅とヒルマの世話をするように言いに来たんだ、恩を返しておけ」


「で、でも!」


「でもじゃない、それにお前が来ても何かあっても時に戦力外だ、大人しく二人の世話をしろ」


カイユウさん、雑な扱いをされてるんだね、可哀想だけど似合うよ!


「ん~なんだか大変そうなんでキオウさん早く行ってください」


「そうだな、カイユウは大人しく私達といろ、お前にしか出来ないこともあるだろう、そのうち」


そのうち・・。


「すまないな、カイユウわかったら大人しく言うとおりにしろ」


「き、気をつけろよ!」


「お前もな」


「いってらっしゃーい」


「頑張れよキオウ」


キオウさんは真剣な顔をして出ていった。


「しかしカイユウ、お前は村でも扱いが雑だな」


ヒ、ヒルマさんそんな言いにくい事をストレートに!?


「え?俺いつも村のみんなからはこんな感じなんですけど雑なんですか?」


「・・・え?」


この人気づいてなかったよ!ヒルマさん言っちゃいけない事だったみたいです!言わないほうが幸せだったみたいです!


「そ、そうか、私が間違っていた。たぶんお前にはみんな気を許してるからそんな感じなんだろ思うぞ」


ヒルマさんもさすがに気の毒だと思ってまさかのフォロー!!


「そ、そうですよね!ただハレンだけ冷たい感じが最近するんですけどそれも気を許してくれてるんですかね?」


「いやそれはたぶん本当じゃないですか?」


「うん、それは勘違いじゃないぞ」


「なんでですか!?」


たぶんハレンちゃんの合格点にいってないんだよ・・でも同じ兄として親近感が・・でも僕はこの人よりは蒼に信用されてたと思いたい。


「ところで、今日帰ってくるのは村の人だけだったんですよね?」


「そうです、向こうの部族と最後の話し合いをしてくる予定でした」


「で、戻ってきたのは2人か」


「うーん、向こうの村の人じゃないですか?」


「普通そうだろ」


「あ、ありえません!この村を訪れるのは婚礼の日のみで、その日も婿の方と数人の側近だけと決まりました!それに村から行った者もそんな勝手に村に外の者を連れてくるような者はこの村にはいません!」


「え?」


「何を言ってるんだお前?」


「え?何かおかしいですか?」


この人は何を言ってるんだろう・・。言ってて気づかないのかな?


「カイユウさん、僕達は?」


「お前がすでにアウトだろ?まあ、事情はあったが」


「そうでした!!!」


はぁ・・この人疲れる。


「なら、もしかしたら同じ理由かもですね」


「可能性はあるな」


「え?どういうことです?」


なぜ気づかない!そして考えてよ!


「はぁ、カイユウさんしっかりして下さい、カイユウさんと一緒ですよ」


「何者かに襲われて護衛を雇った、もしくは何かを感じて行った部族の村の者に守ってもらうようにお願いしたとかだな、強いんだろ?婿の部族は」


「な、なるほど」


「もしそれなら仕方ないですね~」


「そうだな」


「うーーん」


「どうかしたんですか?」


「あの、お二人にお願いが」


「断る」


「はい、嫌な予感がします」


「そんな!別に変な事じゃないですって!」


「聞くだけ聞いてやろう」


「そうですね」


「やっぱり俺も気になるんで見に行きたいんです!」


「行けばいいだろう?」


「行けばいいじゃないですか?」


「え・・いやその」


「「はっきりしろ!「してください!」」


「は、はい、俺が知ってる場所に村の入り口がよく見える場所がありまして!そこなら臭いもわかります!お二人にも付いてきてほしいんです!」


「1人で行けばいいだろう?」


「僕達が行ってもいいんですか?」


「むしろ、来てほしいというかなんと言うかですね、もし相手の部族ではなくて、あの馬3人組の誰かで脅されてるとかだったら僕だけじゃ対処できる自信がですね」


「行きましょう」


「行ったほうがいいな」


「え?いいんですか?」


「カイユウさんがそこまで考えていた事に驚きです」


「ああ、立派だな、だが確かにお前1人だと心配すぎる」


「・・ありがとうございます」


自分で言ったのに自分はなんて情けないんだって顔だね。

でもちゃんと考えて付いてきてほしいって言えたのは立派だよ!

これ口で言ったほうが良かったかも?でもめんどくさいからやめた!


「じゃ!案内してくれます?」


「はい!こっちです!」


「走るな!私達がその速度についていけるわけないだろ!」


「ご、ごめんなさい」


やっぱりダメだな、この人。



「ここです!ここ!」


「カイユウお前いい加減にしろよ!」


「カイユウさんマジで勘弁して下さい」


「な、何か悪かったですか?」


「なんだこれは私達は獣人ではないんだぞ!」


「こんな急な丘なんて聞いてません!」


「い、いや~」


「いや~じゃない!確かに村を見渡せるが下手したら命が危ないぞ!」


「はあはあ・・辛いです」


「だ、大丈夫ですか?」


「美紅になにかあれば貴様の最後のセリフはそれだ」


「ヒィィィィ」


「つ、ついた・・」


なんて場所だ、怖すぎる。

たしかによく見える村の入り口、村全体、よく子供が見つける秘密の場所とかそういう感じだ。

ただ普通の人間の子供は絶対ここに来ちゃダメ!危ない事ダメ絶対!


「どうだ?わかるかカイユウ」


「臭いですか?」


「わかります、風向きもいいですし、嗅いだ事のない者の臭いです。でも人族じゃないと思います」


「そこまでわかるのですか?」


「た、たぶんですけどかすかに同族っぽい匂いがします」


「ならやっぱり婿の部族の者じゃないか?」


「その可能性が高くなりましたね」


その時、入り口である村の洞窟から誰か出てきた。


「見えるか?美紅」


「見えます、二人とも獣人ですね、1人は背が高いですけど。どっちが部外者ですか?」


「赤い方です!あ、あんな獣人は見たことないです、確実に村の者じゃありません」


「おい!見ろ!キオウが」


「何か話してますね」


「だ、大丈夫ですかね」


それは私達が聞きたいし。


「カイユウさん、あれって何の獣人ですか?」


「え?さっぱりわかりません」


「お前・・一応同族だろ・・少しは考えろ」


「だ、だって俺そういうの詳しくなくて」


「いや、同族の事を詳しくないってもう失格です」


「本当にお前この村で一番貴重な一族か?」


「疑ってるんですか!?」


「はい」


「ああ」


「見て下さい!この白い毛並み!白銀と呼ばれてるんですよ!?」


「崖を登ったせいで汚れてますね」


「ああ、白は汚れが目立つな」


「そこじゃないです!」


カイユウさん貴方はマイマス要素が凄すぎるんですよ。


「あ・・何か反応だあったみたいです」


「争いにはならなかったか、二人とも村に入っていくな」


「どうなるんでしょう」


「だから僕達に聞かないで下さいって」


「だがキオウが私達と違って村に入れたことが答えだ、恐らく敵でないと判断したんだろう。」


「な、なるほど」


「カイユウさんしっかりして下さい、でもこれで僕達は何もなく村から出て行けそうですね」


「そうだな、出ていた村の者が無事に帰ってきた、この後どうなるかわからないがここから先はこの村の問題で私達が口を出す事じゃない」


「むしろ早めに出たほうがいいかもです」


「というわけだカイユウちょっと行ってきてくれ」


「へ??」


「へ?じゃないですよ!僕達が出発できるタイミングを聞いてきてください!誰にもバレれないように!」


「回数があるんだろ?何か理由をつけてお前が外に出る許可を取りそれにまぎれる形をとれ」


「そ、そういうことですか」


「僕達はゆっくり落りますからさっさと言ってくれます?」


「ああ、お前は考えるよりもう行動で示せ」


「・・・はい」


そう言うと物凄いスピードで丘を降りて言った。

頭が残念なのに身体能力だけ無駄にすごいな・・。




そして僕達は丘を降りてカイユウさんを待つために離れの小屋に戻った。


「美紅、どうやら来たようだな誰か近づく音がする」


「さすがカイユウさん無駄に早いですね」


ガタンと物凄い勢いで扉が開かれる。

カイユウさん、と思ったら違った。


「お前達!」


「ん?キオウさん、カイユウさんは?」


「どうした?慌てて?カイユウを待ってるんだが」


「すまない!カイユウには別の用事を頼ませてもらった!」


「え・・」


「どういうことだ?」


「教えてほしいんだ、聖堂は今どうなっている!」


「聖堂?」


「何をいきなり言ってるんだ?カイユウのが移ったか?」


「うっ・・あれと一緒にするな!さっき村に来た男が言っていたんだ!カイユウを襲った男は聖堂関係者だと!」


「はあ?そうなんですか?」


「根拠は知らないがそう言うならそうなんじゃないか?」


「なっ!お前達は人族だろ!聖堂に詳しくはないのか!?」


「何か勘違いしてるな、全員がそうだと思わないことだ」


「キオウさん達が外の世界に詳しくはないのは知ってますけど、人族全員が聖堂に詳しいわけでは・・」


「大体話しただろ、カイユウを襲ったのは冒険者じゃない、恐らく裏の仕事の者だ。聖堂関係者がそんな者を雇うのはおかしいぞ?」


「その前にその聖堂関係者と言った人は証拠はあるんですか?」


「証拠・・はない、だが我々にとって信頼しなければならない人物だ。先ほどその者が来た時にカイユウにあった事も報告した」


「え?僕達のこともですか!?」


「馬鹿な!そんな事をしたら私達は出て行けるのか!?」


「それは心配ない、そこの部分は隠した。だがもしその者の言う事が本当なら俺達が外に出た場合大変なことになる、聖堂が敵など考えたくもないのだ」


「はぁ、キオウお前達は聖堂を敵にまわす事をしたのか?」


「するわけないだろう!俺達は外自体でない!聖堂に関わった事すらない!」


「唯一配達で出てたカイユウさんは?」


「し、してないと思う!あいつにそんな勇気はない!」


「そこは断言してあげましょうよ・・」


仲間じゃないのか・・・。


「なら話は簡単だな、そいつの思い違いか嘘だ」


「だ、だが、俺達を騙す理由がない・・」


「知るかそんな物、悪いが聖堂で知ってる事はお前達と同じだ、女神様が最近交代した事ぐらいだ、聖堂が世界に大きく何かを公表した事はそれくらいだ、他は別にない」


「そうですねー、私達実は聖堂関係者の人と最近までいましたけど、別に大きなことは言ってませんでしたし」


「いきなりで焦っていたのもわかるが理由ぐらい聞いて来い」


「すまない・・本当に焦っていた、事が大きすぎた、ちゃんと理由を聞いてくる」


「大体だ、その事をいったのは何者だ?」


「聖堂の事を良く知ってなきゃ言えませんね、相手の部族の人でしょ?」


「婿殿だ」


「え?ハレンちゃんの?」


「まだ来ないんじゃないのか?」


「聞いてたのか?ああ、今回の事に気づいて自ら来てくれたらしい」


あの赤いのが婿の人なのか。


「とりあえず、理由を聞いてきてください。何も答えれませんよ」


「まったくお前はカイユウか」


「ぐっ・・聞いてくる」


カイユウって単語が悪口みたいになってる、そしてそこまで落ち込んだら親友のカイユウさんに悪いですよ?キオウさん。


「ヒルマさん、僕許可を取らずにここを出て行ったほうがいいと思います、嫌な予感がします」


「私もそうしたいがダンジョン石がない、あれがないと入り口の岩が開かないからな」


暫くすると・・。

バタンっ!また扉が開いて誰か入って来た。


今度こそカイユウさんかな?と思ったらまた予想外の人物だった。


「うわっ!」


抱きつかれた!この抱きつき方は!


「おい!子猫!」


「美紅様美紅様美紅様!」


スリスリしながら名前を連呼される。


「何!?何なの!?ハレンちゃんどうしてここに!?」


「子猫!また美紅の匂いを嗅ぎに来たのか!?立場が悪くなると言ってただろ!」


「美紅様お逃げ下さいなのです!ダンジョン石は持ってきたのです!」


「逃げる?いやもう出て行く時間だけど逃げるって?」


「ハレン何があった!」


「キャッブ様がキャッブ様が」


「キャッブ?誰それ?」


「ちゃんと伝わるように話せ!お前達は焦るとカイユウ化するのか!」


今度は病名みたいに・・カイユウさん貴方はいなくても扱いが雑なのですね。


「失礼なのです!ヒルマさん!お兄様と一緒にされたくないのです!」


やっぱりカイユウという単語は失礼らしい・・。


「ではちゃんと話せ!」


「時間がないので手短に言います!ギャップ様はハレンの婿に決まったお人なのです、その方が美紅様達がここにいる事を喋ってしまったのです!長老達はそのせいでお兄様達を責めて今自由に動けないのです!だからハレンが来たのです!早く逃げてほしいのです!」


「わかったら離して!」


「抱きついてたら逃げる事もできないだろ!美紅から離れろ!」


「はっ!つい大事な事より本能が!」


「なんでも本能で片付けれると思うな子猫!」


「ヒルマさん行きましょう!嫌な予感的中です!」


「・・・悪いが遅かったようだな、ハレンお前はつけられた」


「え?」


「お前達は焦ると考えや特性である嗅覚を使うことを忘れるのか?もう小屋の周りに気配がするぞ」


「そんな・・ゴメンなのです」


「美紅どうする?」


「うーん、ハレンちゃんの前だけど正直に言っていいですか?」


「いいんじゃないか?」


「ハレンは気にしないのです」


「キオウさんの時とは違う気がします、だから捕まりたくないですね」


「同意見だな、話が通じる相手とそうじゃない相手がいる」


「そんな長老様達はそんな方じゃ離せばきっと!」


「ハレンちゃん、酷い言い方だけどそれは人族にも?」


「あ・・」


「キオウの時は顔を見て会話できると思った。でも今回は悪いがそうは思えないな」


「あう・・」


「どうしましょう?戦います?」


「美紅は相手を傷つけるのは嫌か?」


「ヒルマさんなら何とかできそうですけど・・ハレンちゃんもいますし逃げるだけにしたいです」


「な、ならいい場所があります!ハレンやお兄様だけしか知らない場所が!」


「もしかして・・丘?」


「美紅様知ってるのです?」


「さっき行ったばかりだ」


「ならお話は早いのです!あの丘のさらに奥に昔お兄様と作った秘密の基地があるのです。そこに行ってください!」


「基地・・はぁ・・またあそこに登るのか~」


「それしかないか・・だが相手は獣人だ追いかけてくるのは明白だ。そうすれば身体能力の差で追いつかれる」


「あう・・」


「あの・・1つだけ方法があるんですけど」


「なんだ?」


「ハレンちゃんの協力が必要です」


「美紅様の為ならなんでもするのです」


「ありがとう、そしてゴメンね」


僕達3人は小屋の外に出た。

10・・11・・12・・20人?それ以上か色々な獣人がいる。

完全に円になって囲まれているし、こちらを警戒するように睨んでいる。





「獣人の皆さん、動かないで下さい。動けばこの村の姫を殺します」




蒼「美紅!やれ!」


カナじい「ど、どうしたんじゃ急に叫んで」


蒼「なんか美紅を応援しなきゃいけない気持ちになって」


カナじい「兄弟の絆による感かのぅ?」


蒼「あたしと美紅はもっと深い絆があるよたぶん」


カナじい「よくわからんが美紅に何か感じたならわしも応援ぐらいするぞぃ」


蒼「じゃあ、一緒に!そこだ!刺せ!」


カナじい「そこじゃ刺せ?なんじゃこの掛け声は?」


蒼「わかんない、応援しようと思ったらこの単語が出たの」


蒼・・恐ろしい子(*´・ω・*)


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