懐かしい物
描く速度が遅くなってきた。
構想はあるのに・・3部書いてるのに4部の構想が浮かんだりするのよ。
1話が長いように頑張ってます、ブックマークよろしく!(*´・ω・*)
なんだんだろう・・この状況は。
真剣な話をしている時に小さくて可愛い真っ白な猫?の獣人が現れました。
たぶん地球で生まれて動物好きならこう言うでしょう!
『もふもふしたい!!』
僕もしたいです。
動物は嫌いじゃありません、むしろ好きです
そして現在・・。
「ううう~~ん、いい匂いなのです」
僕がもふもふされてます・・なんで!?
「カイユウ!!!なんだこの子猫は!!!」
「え、えっと、えっと」
「ハレン離れるんだ!お前は文字通り嫁入り前だぞ!いくら相手が女だと言ってそんな行為ははしたないと思わないのか!」
注:男です。
「無理なのです!お兄様方!頭ではわかっていても獣人の本能で離れらないのです!」
「こら!私の美紅からいい加減離れろ!美紅が大人しいのをいい事にそんな羨ましい事を!」
ヒルマさん本音が入ってないです?
「どなたか知りませんけど嫌なのです!」
「あのー」
「我侭を言うな!ハレン!」
「そ、そうだぞ!」
「 あのおおおおお !!」
「「「へ?」」」
「いい加減僕にも喋らせてください」
3人は黙ってくれたがこの状況を作り出した本人はまだ僕の胸の中でくんくんしている。
「えっとハレンさん?」
「ハレンと呼び捨てでお呼び下さいなのです」
「じゃあハレンちゃんで、それで離れてくれますか?」
「嫌なのです!」
「僕達は今大切な話をしてたんです、ハレンちゃんの村に関わり事です、見てわかるように僕達は人族です、村に入っちゃいけないはずの僕達がここにいて、君のお兄さん?でいいのかな?がそれを黙認して話すほどの事を話してました。君の我侭それが中断したんだよ?わかったら離してくれる?」
そういうと僕の背中まで回してた腕から力が抜けて下を向きながら離れて言った。
「ゴメンなさい、体が言う事を聞かなかったのです。」
「いいよ、わかったくれたし」
「ハレン!屋敷に戻れ!」
「わかりました、お騒がせしたのです」
とぼとぼと小屋の出口に向かって歩いていく・・僕に抱きつこうとして避けられたヒルマさんの症状とそっくりだった。
「あの!お名前を教えて下さいのです!」
「ヒルマだ!」
即座にヒルマさんが名乗った。
「貴方のじゃないのです!そっちのいい匂いの可愛らしい方のお名前なのです!」
「カイユウだ!」
ヒルマさんが名乗った
「それ知ってるのです、可愛くないのです!どうでもいいのです!」
「ヒルマさん・・さすがに意地悪ですよ」
「だって・・美紅」
気持ちはわからないけど反省して下さい。
「名前は美紅といいます」
「美紅様・・美紅様、私はハレンなのです宜しくお願いなのです」
「うん、よろしく」
名前を名乗りあうと笑顔で出て行った。
「美紅何をよろしくしあうんだ!」
胸倉を掴まれて揺らされる。
「挨拶じゃないですか~普通の~」
「美紅だったな、すまないアレは村で特別世間知らずで大切に育てられてきた娘でな、ちょっと我侭なんだ」
「そうなんですか」
「我侭は納得だな、アレだろう?花嫁は」
「そうだ、1つ言っておくがハレンは俺達を兄と呼んでいたが俺は本当の兄じゃないからな、一緒に育ったから兄扱いされてるんだ。カイユウは本当の兄だがな」
「ええええ?」
「ど、どういうことだ?似てないというか種類自体違うぞ?」
「そうか・・カイユウはそこまでは話してないのか・・おい!カイユウいい加減立ち直れ!」
カイユウさんは部屋の隅で・・可愛くない・・どうでもいい・・どうでもいい等と意味不明な言葉を繰り返して絶望していた。
「しょうがない奴だ、まあいいだろう、ここまで話しているんだ話しても問題ないだろう、俺達は幻獣種は結婚して子供をもうけた場合同じ種類の子供が生まれてくるとは限らない、無論幻獣種じゃない奴も少なくないしな、ただ1つだけこの村には統一されて生まれてくる一族がいるそれが白の一族だ」
「白い色の獣人が生まれてくるんですか?」
「物分りがいいな、その通りだ」
「カイユウがその一族だ、カイユウは白狼だな、ちなみにハレンは猫だと思ったろ?」
カイユウさんそんな代表される一族だったの?こんな残念な人が?
「はい」
「猫ではないのか?」
「獣人にも個性はある、しかもアレは女だ。だから猫に見えるかもしれんがあれは虎だ」
「虎!?全然みえませんでしたよ?」
「男ならもっと虎っぽかったはずだ、一応黒い模様ほんの少しあっただろ?」
「そういえばあったな」
「つまりハレンは白虎というわけだ」
「へー、あの有名な」
「知ってるのか美紅?私は初めて聞いたが」
「ほう?お前は知っているのか?人族にしては凄いな」
え・・?何か不味かった?こっちでも有名かと思ったんだけどそうでもなかたっとか?どうやら違ったみたいだ。
「もう一度確認しますけど僕達にそんな事まで喋っても大丈夫ですか?」
「そうだな、お前らの生命線みたいなものだろ?私達が喋れば必ず馬鹿が来るぞ?」
「今更だな、カイユウは頭の回転は悪いが人を見る目はある奴だ、それに話せばわかる。本当に喋ろうとしてる奴はいちいちそんなに何度も確認してくるか?」
「そういえばそうですね」
「さっきの娘がしたことは許せないがな!」
ヒルマさん忘れてあげて!!
「馬鹿な邪魔が入ったが聞きたい、カイユウいい加減こっちに来い!大事な事だ!」
「は、はい!」
カイユウさん・・この人本当に白の一族とかいう貴重な一族なんだろうか・・。
「俺達は話してもわかるように外の世界を知らなさすぎる、何でもいい俺達を狙っているような奴ら、今外で何か変わったことがあったかを気づいたことがあったら教えて欲しい、頼む」
僕とヒルマさんは顔を見合わせた、そしてヒルマさんが頷いた。
「まず、カイユウを襲ったのは冒険者じゃない、冒険者と言うのは一応未知に挑戦するもの歌っているし多少誇りも持ってる、だから今回のような人攫いのような真似を大っぴらにやる奴は滅多にいない、恐らく裏でやってる捕獲者だ。捕獲者はわかるな?」
「ああ、俺達はここを作るまで昔・・老人達の時代に散々そいつらに酷い目にあった」
「それは聞いている、そして馬の3人組を雇ったやつがいる、さらに雇い主かは不明だが仲間がいる。そいつは・・そうだなお前達の様な能力を持っているというのが私と美紅の見解だ」
「俺達のような?」
「カイユウさんみたいな凄く鼻がいいみたいな感じです、あいつらはカイユウさんが出発したのを誰かに教えてもらって町の外で待機していた。しかもカイユウさんが鼻で向こうの場所がわかる事もその時は知っていたと思います、どうやったか悟られずに移動していました」
「に、臭いを消したはないです!あいつらの部屋の方に臭いは残っていた!」
「そうか・・かく乱だな、たぶん自分達の臭いのする物を部屋に残して自分達は体を洗ってその臭いの付いた物より臭いを少なくして動く、そうすればカイユウぐらいなら騙せる」
「ぐらいなら・・」
「確かに・・もっと慎重にしていればそれにも気づいたかもしれないがカイユウはあの時必死だったしな」
「俺・・もっと賢くなりたい」
「走ってばかりでなく勉学もしろと俺は昔から言ったぞ」
うわ~、何でも知ってて言い合える友達怖いかも、恥部を思いっきり暴露されてるよ。
「カイユウさん頑張れ!あれ?でもそれってカイユウさんの事を知ってる人が仲間じゃないですか?」
「何故だ?美紅」
「だってその作戦って獣人の事をが詳しくて捕獲する獣人が鼻はいいって知ってて、さらにキオウさんが言ったように慎重になればバレてたかも知れない作戦でしょ?カイユウさんの性格も知ってなきゃうまくいかないじゃないですか」
「・・一理あるな」
「すまんがそれはあまり考えたくないな、もしそれが本当なら獣人に裏切り者がいる可能性が出てくる。俺達には種族を売るものは禁忌だ」
「そ、そうです!それに俺あんまり外に知り合いいませんよ?配達してても接触するのは取引先ぐらいでしし」
「カイユウさん、それは根拠になりませんよ、あんまりじゃなくても存在するということです、どの位配達してるかわかりませんがカイユウさんの性格を読む位なら出来る人はいると思います」
「そうだな、カイユウは読みやすい」
「村と関係のある物が俺達を売ってると考えたくないがカイユウが読みやすい部分は同意だ」
「そんなじゃあ俺のせいで・・」
「違いますよカイユウさん、貴方は仕事をしっかりこなしただけです、悪いのは貴方のことを売った人ですよ」
「そうだな、これも仮説だ売った奴はいないかもしれないしな、だが危険な事にはわかりない。常に最悪の事を考えて行動しろ」
「は、はい」
「お前達の話を聞いていると為になるな、反省する事でいっぱいだ」
「それはカイユウさんがこれまでいっぱい僕達に言った事ですからいいですよ」
「ああ、さすが幼馴染だな」
僕とヒルマさんは笑顔でそう言った。
「俺はこいつみたいに考えなしじゃないので一緒にしないで欲しい」
「お、おい!」
「あははは」
少しだけ雰囲気が和む会話が出来てよかったと思う。
「あの、僕達のことは他の村の人は気づいてないんですか?」
「それは大丈夫だ、お前達に気づいたのは俺達若手の村の者だけだ、さすがに全員が鼻や耳がいいわけじゃないしな、ここは村の中心からかなり離れているし、老人達は気づかないだろう。歳をとって嗅覚も聴覚も悪くなっている」
老いって怖い!あ・・グラブ思い出しちゃった・・あの元ハゲめ!
「ん・・あのハレンというのは気づいたぞ?」
「さっきも言ったがアレは特別だ、鼻も能力も段違いだ」
「凄い子なんですね~」
僕とヒルマさんはまたカイユウさんを見てしまった。
「な、なんで俺をみるんですか!!」
「いや別に・・」
「カイユウは足だけは速いからな、安心しろ」
ヒルマさんそれたぶん慰めになってません。
「改めて村を代表して礼を言う、カイユウを2度も助けてくれた事、村の危機を知らせてくれた事、それに色々参考になった、お前達を人族だからと言って差別した事を恥ずかしく思う」
「いいですよ、こう言っては悪いかもしれませんが僕もちょっと楽しかったんです、カイユウさんやキオウさんみたいな珍しい種族の人を見る機会なんて滅多にありませんから」
「私もだ、ここまで関わってしまったからには楽しまないとな、カイユウにも言ったが私達は絶対口外しないと誓った安心してくれ」
「感謝する」
「ありがとうございます」
キオウさんとカイユウさんは同時に頭を下げた。
こういうのってちょっと恥ずかしいよね。
「俺達は外に出ているあと1人が帰ってくるまで村の入り口を強化して警戒することにする、大したお礼はできないがここに食事を持ってくるので休んでいってくれ」
「ありがとうございます、ご馳走になります」
「カイユウ覚えているな」
「はい!村で一番美味しいものを持ってきます!」
「お前そんな約束をしたのか?」
「え?何か悪かった?」
「いや、アレは人族に合うのか?」
「・・・きっと美味しいはずだ」
「おい!なんだその会話は!美紅に怪しい物食べさせたら怒るぞ!」
ちょっと待って!食べるの僕だけじゃないよ!ヒルマさんもだよね!?毒見?毒見って事!?
「だ、大丈夫です!美味しいです!俺らの主食ですし!」
僕とヒルマさんは何度目かになるのかカイユウさんをじーと睨む。
「き、期待してて下さい!」
「では、ゆっくりしていってくれ、カイユウ行くぞ!長老に今回の仕事の報告がまだだろ?あと入り口を2回多く開けた言い訳はお前一人で考えろ」
「ヒィィィ」
カイユウさん・・この異世界にきて間違いなく僕のダメな人ランキング暫定1位は貴方です。誇って下さい。
「ヒルマさん、どうなるんでしょうかねー」
「わからないな、ただ美紅とキオウの見解を聞いて気づいたことがある」
「え?なんですか?」
「カイユウが1人で出発した時に相手もカイユウの様に臭いで判断していたとする。なら私達はカイユウを
救出した後もある程度つけられて筈だ、それがなかったのは途中で私達が水浴びしたせいじゃないか?あそこで臭いが消えたんじゃないか?、一応カイユウも傷を洗うために水浴びしたしな」
「ああ、なるほど相手が臭いで追ってたならそうかもですね」
「これも仮説だがな」
「まだこの村には事情がありそうだ、全部を知らない私達がこれ以上考えても仕方ない」
「ですね、美味しいものでも食べてゆっくりしましょう」
「そうだな、そうしよう」
暫くして食事をカイユウさんとキオウさんが持ってきてくれた。
何か懐かしい臭いがする。
「・・・なんだのだ?この白い大量の粒粒は?」
「米です!」
「!!!????」
「どうした美紅、目を見開いて?もしかして嫌い物だったのか?」
「い、い、いえ何でもないです」
何故ここに米が!この世界に米が!もう1ヶ月近く食べてない・・もう食べれないと思った米が!泣ける!
「どうしたんだ美紅、これが俺達の主食なんだが食べれなさそうか?」
「いえ!頂きます!美味しそうです!」
「こっちが焼き魚、味噌のスープです」
和食だ!この村和食があるのか!そういえば畑・・あれ麦だったの!?うぅ・・なんていい村だ!帰りに米と味噌を貰って帰ろう!決めた!
「うん!美味いな!暖かいし噛めば味が出てくる、こっちのスープにも合う!魚も柔らかくて美味い!」
「村の奥に川が合って採れたてです」
「美味しいです美味しいです」
「美紅さん気にいってくれたんですね!」
「ええ、物凄く」
「じゃあ俺のお勧めの食べ方を教えますよ!」
「なんださらに美味しくする方法があるのか?」
「おい!カイユウ、俺はアレは好きじゃない、あの食べ方をしてるのはお前とほんの一部の村の者だけだぞ」
「ふっふっふ、聞いて下さい!このご飯にですね・・味噌スープをぶっ掛けて混ぜるんです!」
「やりません」
「やりたくないな」
「何故ですか!?」
何かと思ったら俗に言う猫マンマという奴か、カイユウさん貴方狼でしょ・・何やってるのさ・・いや美味いよ?美味いけど久しぶりの米なのにそんなのやるわけないじゃん!
「だから言ったろ?食べ方は人それぞれだ、そもそも女性に勧めるものじゃないぞ?お前はアレをハレンに勧めて断られてから暫く落ち込んでただろ、忘れたのか?」
学べよ・・そこで・・。
「で、でも・・」
「いい加減にしろ、でも口に合ってよかった。米は外に出ているカイユウから聞いていたがこの村にしかないらしいしな、いやもっと遠くに行けばあるかもしれんがな」
「あの、お願いがあるんですけど、帰りにお米と味噌スープの材料を少し貰えませんか?」
「なんだ美紅そこまで気に入ったのか?」
「それは構わない、むしろそこまで気に入ってもらえて嬉しい、用意するから持って言ってくれ」
「どうぞどうぞ、米の調理法も教えるんで持っててください!」
いや、それは知ってますから!でも聞きます!怪しまれたくないし!
「ありがとうございます!そしてご馳走様でした」
「ご馳走になった」
「では、俺達もまだ色々やることがあるのでゆっくりしていってくれ」
「失礼します」
2人は食器をさげて出て行った。
「ヒルマさん実はさっきの料理は僕の世界にもあるんです」
「それであんなに喜んでたのか」
「はい、まさかこっちでもあるとは思わなかったので・・むしろ2度と食べれないと諦めてたくらいです」
「なるほど、しかしならこの村は美紅の世界と関係あるのか?」
「さあ?まったくわかりません、世界が違っても向こうで見たような花とかもありましたし、もしかしたら米があってもおかしくなかったのかもしれません」
「じゃあ、まだ美紅の世界の食べ物がどこかにあるかもしれないな」
「だといいですね~」
その日は早めに眠りについた。
早朝に村を出ているあと1人が戻ってくると言う事で僕達も早めに起きて交代で出て行けるようにしようヒルマさんと相談して決めた。
「うぅ・・暑い・・動けない」
寝苦しい・・動けない・・金縛りか?生まれて初めてかかったかも・・。
「うう~ん、いい匂いなのです・・くんくん」
「!!??」
ふ、布団の中に何かいた!
金縛りかと思ったら凄い力で抱きつかれてる!
今度はお腹の辺りに顔を埋めてスリスリしている!
「はぁはぁ・・ダメなのです・・くんくん」
こっちのセリフだ!息荒い!可愛いのに台無しだよ!
なぜこんな夜中に!これが噂に聞く夜這い!しかも女の子から!?逆でしょ普通!
しかも普通ならヒルマさんが気づくはず、となりで寝てるんだから!
猫・・虎か!獣人だから音を消すのがうまいとか?
いやいやいやそんな事考えてる場合じゃないこの子を何とかしないと!
「ちょっと何?何なの?」
ヒルマさんに聞こえないように極力小声で布団の中の怪しい生物に声をかけた。
「うう~ん!美紅様!ハレンなのです」
違う!名前は聞いてない!見ればわかるし!
そう言いながらハレンちゃんはスリスリするのを全然やめない。
「いや、名前は知ってるし!僕が聞きたいのはここで何をしてるかってこと!」
僕は小声で問いかけた。
「美紅様を嗅いでるのです」
そんなストレートに!嗅いでるって物みたいな言い方やめて!
「違う!夜中に布団の中に潜りこんでくる常識を僕は言ってるの!」
「仕方ないのです!仕方ないのです!」
何がだ!?
「ちょっと離れて!」
「あと1時間だけお願いするのです」
長いわ!!
「寝れないから!そして恥ずかしいから!」
「恥ずかしがることはないのです、美紅様の匂いはいい匂いなのです!」
「そういう恥かしいじゃないから!抱きつかれること自体恥ずかしいから!」
「抱きつかないと気持ちよく嗅げないのですよ?」
「嗅ぐ方法なんて聞いてない!?」
僕はなんとか離れてもらうために力を入れてハレンちゃんを剥がそうとする」
「慈悲を慈悲が欲しいのです」
物凄い力で抵抗するハレンちゃん。
「なんの慈悲~!」
「ハレンはもうすぐこの匂いが嗅げなくなるかものです、こんな時になってあがらえない程の至高の匂いに出会うなんてハレンは不幸なのです」
「わけわからないけど、まず離れて~」
はぁはぁ、蒼の体は素早さと反射神経あるけど力はあんまりないのに~。
「できれば首の辺の匂いが一番強いのでそこを嗅がして欲しいのです」
「そんな事聞いてない~」
初めて知ったよ、首すじが一番匂うなんて!どんな匂いか知らないけど知りたくなかった~。
僕はそう考えながらもハレンちゃんを必死に剥がそうとする。
バサッ!急に布団がはがされた。
「はっ!」
「美紅・・これはなんだ?」
「ヒルマさん!!」
「この生物は何だと聞いている」
「えっと・・」
「おい!子猫!なぜ私の美紅に抱きついている!離れろ!」
「いや、前から言うと思ってましたけど僕は誰のものでもないですから~、ていうか離れて~」
「子猫じゃないのです!虎なのです!そして離れるのは嫌なのです」
「美紅・・」
「な、なんですか?もしかして剥がすの手伝ってもらえるんですか?」
といった瞬間・・。
ヒルマさんが首に手を回して抱きついてきました。
「ちょっと何してるんですか!!」
「決まっているだろう!こうすれば解決だ!」
「意味がわかりません!暑いです!」
「邪魔なのです!離れて欲しいのです!」
「どの口が言ってるのハレンちゃん!」
「子猫!どうせお前は大分前から抱きついてるんだろ!私の時間だ離れろ!それで解決だ!」
予約制か!!!離れて!!!
「ハレンは抱きついてるのは美紅様の匂いを嗅ぐためであって抱きつくのは匂いを嗅ぐための手段なのです、貴方こそ匂いを嗅がずに抱きつくだけなら離れるのです」
「つまり美紅の匂いを嗅げば離れなくていいという事だな?」
「違うのです!美紅様の匂いはハレンの至高なので貴方はダメなのです!」
「どっちもダメです!ヒルマさんも嗅げば離れなくていいルールはありません!」
てか二人とも力強い!スラビーさんは例外だけど蒼の体は華奢なんだから手加減して!
「離れろ!子猫!」
「嫌なのです!嫌なのです!」
ダメだ・・なんで寝てたのに体力を消耗してるんだろう・・。
このままじゃ朝までこの争いに巻き込まれる。
僕は最後の手段をとる事にした。
「あっ・・」
「わうっ」
『ロスト発動』
僕に抱きついていた二人が急に耐性を崩して転がる。
ロストによって二人は僕の体をすり抜けたのだ。
急に僕がいなくなったので二人とも混乱している。
「み、美紅!?美紅~」
「美紅様!美紅様どこに行かれたのです!匂いも消えてしまったのです!」
はぁはぁ・・助かった、なんて便利な能力だ・・今まで一番便利だったかも、いやそれはないか・・。
とりあえず二人から一旦離れて姿を現そう、そしてこんなくだらない事でわかったことがあるとは、僕のロストは匂いも消えるらしい。さすがギフトだ・・。
「ふぅ・・いい加減にしてください二人とも!」
「美紅!そこにいたのか!」
「美紅様続きを!」
ダメだこの人たち・・早く何とかしないと。
「ヒルマさん!ハレンちゃん!」
「な、なんだ!」
「はいなのです!」
僕は夜中なのを無視してかなり大きい声で二人の名前を呼んだ。
「いい加減慰して下さい!僕は困ってましたよね?」
「いやでも・・そこの子猫が」
「ハレンは本能にしたがったのです」
「理由は関係ありません!僕じゃなくてもいきなり抱きつかれたら混乱します!離れてって何度も言ったのに言うことを聞いてくれなかったですよね?」
「しかし、元々その子猫が最初に」
「鎧の方!ハレンのせいにしないでほしいのです!貴方様も美紅様を満喫してたのです!」
「二人とも!言い訳はいいです!反省して下さい!」
「ご、ゴメンなさい!!」
「ごめんなさいなのです」
「子猫!美紅が怒ったのなんてこれが初めてだ!お前のせいだ!」
「だからハレンのせいにしないでほしいのです!」
「どっちのせいでもありません!僕が怒ってるのは言っても言うことを聞いてくれなかったことです!」
「ゴメンなさい・・」
「ゴメンなさいなのです」
「しばらく二人とも正座!」
「・・はい」
「はいなのです」
二人は僕が怒ったのが聞いたのか素直に正座する。
反省は大事だよね?
「ふぅ・・とりあえずヒルマさんもあそこで張り合わないでくださいよ」
「反省してる」
「あとハレンちゃんもお兄さん達に怒られるよ?」
「反省してるのです」
「そもそもハレンちゃん、こんな夜中に抜け出してきていいの?詳しくはないけどたしか今回の婚礼の主役だよね?」
「そ、そうだ!お前の村で結婚式があってお前は嫁だと聞いたぞ?」
「それは・・」
「見てわかるとおり僕たちは人族だよ?ハレンちゃんは聞いてるかどうか知らないけどカイユウさんとキオウさんにはここに来た理由を話してある、二人とも納得してくれて僕たちの事は若い人達だけの秘密にするみたいなこと言ってし、僕たちは一応招かざる客なんだよ。だから長老って人達にバレたら困るんだよ」
「そ、それだ!結婚式の主役のお前が突然消えたら村の者たちが探すだろ?そしてその騒ぎで私達の事が村全体にバレたら結婚式をめちゃくちゃにしたと言われて、ここに入ってきた事以上に不味いことになりかねないんだ」
やっとヒルマさんがだんだん正常に戻ってきてくれた・・もう病気って呼んでもいいかもしれない。
「ううーー」
ハレンちゃんは下を向いて可愛い声で動物が唸るような声をあげている。
「だから・・本能だっけ・・気持ちは正直理解できないけど、事情もあるしわかってほしいんだよ」
「そういうことだ、美紅に抱きつくのは許可しない!」
「ヒルマさんもその面では反省して下さい!」
「うっ」
ヒルマさんも下を向いて気まずそうにする。
「うわーーん!だってだって~」
下を向いてたと思ったら今度は天井を向いて物凄い勢いで涙を流してハレンちゃんが泣き出した。
「ちょっ!なんで!?ヒ、ヒルマさん僕悪いこと言っちゃいました!?」
「わ、私に聞くな!」
「うわーーん、だってだって我慢できなかったのです!ずっと他の事で我慢してきたのに~」
「えぇ?何のことかわからないけど泣き止んで!ね?お願いだから!」
「ずっとずっと我慢して我慢してきて好きな散歩も我慢して屋敷の中にずっといたのにぃぃ・・村の入り口の方から嗅いだ事のない凄く良い匂いがしてきてぇぇぇ~~我慢の限界が来てぇぇ体がいうこときかなかったですぅぅぅぅごめんなさぁぁぁい」
物凄い泣いてる・・いっそ見事と褒めたいぐらいに泣いてる・・。
「ヒルマさん・・どうしたら」
「だ、だから私に聞かないでくれ!私もこういうのは苦手なんだ」
「ごめんなさぁぁぁい美紅様の匂いがぁぁ我慢できなくてぇぇぇいい匂いでぇぇぇ」
泣きながら僕の匂いの感想言われても・・。
「わかったから!無理矢理は嫌だけどちょっとなら嗅いでもいいから泣き止んで!」
「み、美紅!?」
「仕方ないじゃないですか!なんか理由あるみたいだし!」
「うわーーん」
許可したらすぐ僕の胸に飛んできました・・早いよ!
しかもやっぱりスリスリしてるし・・鼻水付く・・いやそれはいいか。
でも泣くか嗅ぐかどっちにしてほしい。
「ぐす・・くんくん・・ぐす・・くんくん」
「おい、子猫・・今回はしょうがないが泣くか匂いを嗅ぐかどっちかにしろ」
よく言ってくれましたヒルマさん。
「ぐす・・嗅ぐのです」
やっぱりそっちが勝つのか。
「はぁ・・」
僕は一応慰めるように頭をなでることにする。
ウェーブのかかったロングヘアの彼女は毛の量が多いせいかふわふわしてる。
「ぐ・・羨ましいことを・・」
「くんくん・・ぐすっ・」
「どんな理由があるかは知らないけどハレンちゃん、もうちょっと考えて行動してね、さすが夜は危ないよ?」
「ゴメンなさいなのです、でも自分で言うのもなんですけどハレンはいっぱい我慢してきたのです、急に決まった結婚のせいで大好きな散歩やお花の観賞も今回のせいで止められて、婚礼前でずっと花嫁修業で屋敷に閉じ込められて、お友達にも来てもらうだけ会いに行けず好きなことは全部ずっと我慢したのです・・くんくん」
「ちょっと気の毒ですね」
「結婚前とはいえそこまで束縛されるのか?」
「はいなのです、ハレンは村の代表として別の村の婿を迎える立場なのです、くんくん。だから粗相がないように急に花嫁修業をさせられて自由がなくなったのです、くんくん。会いに来てくれる友達も気を使って短い間しか話せないのです、くんくん」
「大変だったね」
僕は撫でながらハレンちゃんを慰める。
あと泣き止んで話してくれるのはいいけど、息継ぎのように匂いを嗅がないでくれるかな?結構恥ずかしいのよ?
「しかし村には歓迎されてるんだろ?」
「・・・・なのです」
「僕たちも事情は良く知らないけどここまで閉鎖的だった村が外から結婚相手をいれるってのは大変なんだね」
「進歩・・?でいいのか?」
「村の長老様たちは喜んでるのです・・でも」
「「でも??」」
「ハレンは嫌なのです!!どこの誰とも会ったこともない殿方のお嫁になぜハレンがいかなければならないのですか!わーーん」
まだ泣いちゃった・・しかも結構な爆弾発言を言って・・。
蒼「なんかイライラする」
カナじい「前回からどうしたんじゃおかしいぞ?」
蒼「美紅が危険な目にあってると思う」
カナじい「お主は女神じゃ、個人を助けに行くような軽率な行動はダメじゃぞ?」
蒼「天罰はいい?」
カナじい「何対してじゃ・・」
蒼「やらなきゃいけない気がする」
とめるんだ!カナじい!(*´・ω・*)