閑話 神の悪戯(カナじい)
終わった!第2部!まさかここまで29話もかかるとは・・異世界行くまでが長すぎた?ごめんね!
次話からは第3部です!丁度30話からね!1話6000文字を目標にしてきました。
短いより長いほうが読者が楽しいと思ったので、少なくとも私は読む側の時はそう思ってました。
ただ3部からはなぜか全部1万文字を超えております。長すぎるのはどうなのかな?(汗`・ω・ι)タラー
まぁ、難しい事はいいですね、読んで下さってる方お楽しみ下さい。
ブックマークもヽ(・ω・。ヽ)ヨロ♪(ノ。・ω)ノ シク♪(σ。・ω)σでっす♪
人種が中心になって作れた国オーキラス。
種族差別はないが人種が中心になっている為、別種族には生きにくいと言っても良いかも知れない。
それでも別種族がこの国にいるのは工業の為。
人の文化を学び、自分の文化を教える交流を目指したい者達が集まる。
世界から見てもすぐに争いを起こす人種、しかしここは温厚な思想と持つ珍しい国。
1つの理由はここにある2つのダンジョン、1つは主のいないダンジョン。
もう1つは主のいるダンジョン。
このダンジョンを攻略しようと様々な種族が集まる。
もちろん女神への信仰も厚く、それでも柔軟な思想を持つ者が多い国。
その大聖堂は今数十年ぶりの女神の光臨に沸きお告げを告げられ歓喜した。
お告げにより『風』の来訪先に選ばれ誇りに思い準備を整えて来訪を待った。
そして『風』は女神のお告げどおり大聖堂に送られてきた。
国を挙げて祝ってもいいような出来事に大聖堂を仕切る大聖堂長は息を呑む
そして大聖堂に光が包まれた。
「うぴょとえんんけんぐろがみ」
そこには腕の関節が変な方に曲がった人種が奇声をあげて現れた。
そしてかつてないほど聖堂は静まり返った・・別の意味で。
-------------------------------------------------------------------------------
ボク達は広い豪華な部屋の中にいた。
近くでうるさい声が聞こえる。
正体は鶴川君だったので一応声をかけておく。
「鶴川君・・君だけなんで変なほうに関節曲がってるの?大丈夫?」
「奏君!冷静に突っ込んでいる場合じゃない!なぜ鶴川君だけこんな事に!?」
「すいません、周りにいる方々!お医者様はいらっしゃいますか!」
生徒会長と副生徒会長は鶴川君の状態を見てすぐに対処している。
飛行機でのパプニングみたいだな。
「み、皆の者!医者!いや治療士を回復魔法をして差し上げろ!」
周りにいた者の中で一際豪華な服を来た人が叫ぶ。
「鶴ちゃん!なんでこんな事になってるんだよ!」
「またあの神じいにやられたのかよ!」
仙田君も人志君もさすがに慌てているようだった。
「ど、どいて下さい!回復魔法をかけます!」
ここの人達の一人が魔法?白い光を腕の部分にかけると変な方向に曲がっていた腕が治っていった。
「はあはあ・・あの神野郎!!!」
「鶴川君と言ったか、まず治してくれた人たちにお礼を言ったほうがいい」
「そうですわ」
「生徒会長達の言うとおりだ、ここからは君達の態度次第でボク達にまで被害出ることを忘れないでくれよ」
周りにはたくさんの人がいる、たぶんここに勤めている人なんだろう、同じ服をきているし。
「『風』の方々、ようこそおいで下さいました、私はここオーキラスにある大聖堂で長ををしておりますバーザルと申します。女神様から貴方方が来訪されるとお告げを受け待っておりました、よろしくお願いします」
一際豪華な服の人が丁寧な挨拶で軽く頭を下げて対応してくる。
ボク達は顔を見合わせた。
「会長、代表して挨拶をお願いします」
「お願いしますわ」
「僕かい!?い、いや奏君お願いできないかな?実はまだちょっと冷静じゃなくて・・頼むよ」
「いいですけど、ちゃんとフォローはお願いしますよ?特にボクだけじゃあの3人組みを抑え切れないかもしれない」
「あ、ああ任せてよ」
「頑張りますわ」
はぁ・・正直乗り気じゃない。確かにボクは今は冷静に振舞うのは得意だけど結構短気なんだよ、でも仕方ないか。
「丁寧なご挨拶ありがとうございます、ボクの名前は奏と言います。代表して話させてもらいます、貴方達の言うその『風』らしいです、正直まだ状況を理解してるとは言いがたいですがどうぞよろしくお願いします」
「おお、良かったさすが女神様の選んだ方々だ、話の通じる人種の様でよかった」
「どういうことですか?」
「ああ、すみませんな、『風』と言うものは私達も世界には多数の記述があるのですよ、大昔から何度も女神様によって『風』は送られてきました。でも中には話の通じない生物もおりまして苦労したとも伝えられております」
「そうなんですか」
どうしよう、コミュニケーションが取れるのに話が通じない3人組がいることを最初に説明しなきゃいけないかもしれないな・・。
「おい!おっさん!」
あ~!心配してるそばからこの男は!
「鶴川君!口の利き方に気をつけたほうがいいと思うよ!」
「うるせー!奏さんは黙ってろ!」
「「そうだそうだ~」」
はぁ・・誰かなんとかしてくれ・・なぜ彼らはこの状況で初対面の人達にこんな態度がとれるんだろう。
今ボク達はこの人達頼らないといけない立場なのにそんな態度をしたら自分達の立場がどんどん悪くなるだけだろう。
「おい!俺達はどうなるんだ?彼達はこんな場所に来たくて来たわけじゃないんだ!お前がここの責任者ならちゃんとしてくれるんろーな?」
「とりあえずさ、何で鶴ちゃんだけ怪我してたか説明してくれる?」
「あ~俺は可愛い獣耳の女の子紹介して欲しいな~」
「君達!いい加減にしてくれ本当に!」
「お、おい、奏君が話してるんだ、それにそんな口の利き方をしたら・・」
生徒会長もさすがに不味いと思ったのかフォローしてくれるみたいだ。
「はぁ?大事な事だろ?俺らこれからこの世界で暮らすことになるかもしれないし、普通聞くだろ?」
「鶴ちゃん頭いいなー」
「だ、だからそれは奏君がこれから代表して聞いてくれるところだったんだよ」
横で慧も3人を睨む、慧が他人に嫌悪感を隠さないのは珍しい、さすがにこの状況はいけないと思ったのだろう。
「すいません、バーザルさんこの3人は無視して下さい」
「いやいや、奏さん獣耳大事でしょ~」
頭が痛い・・。
「いいんですよ、お気持ちはわかるとは言えませんが皆様のおかれた状況は理解しております。説明いたしますとこれから貴方達は大聖堂預かりとなり私達はお世話をさせていただきます、こちらの世界の事を色々教えますので勉強していただき理解を深めていただきます、もちろん基本は自由ですので安心してください」
大人の対応だ、何故あの神様は2組に分けて送ると言ったのにこっち側にこの3人を・・知り合いは都合するとか言ってたけどもしかして顔見知りだったからなんだろうか・・それだったら少し恨むよ。
「くそっ!力使えねーじゃねーか!嘘つきやがってくそじじい!」
「本当だ、カーペット!!叫んでも出ないし!」
「俺も~さっきから力んでるけど別のものが出ちゃいそうだよ~」
別のものを出したら殴ろう・・。
「何をしようとしてるんだい!本当にいい加減にしてくれ!」
馬鹿なのかこの3人組は、説明を求めておいて聞かずに「ギフト」を使おうとしてたらしい。こんな大勢いる前で使おうとするなんて馬鹿としかいえない、どんな力かもわからないのに何を考えてるんだ
「ま、まさかあの3人が『風』の力のギフトを使用としようとなさっているので?」
「ギフト知ってるのですか?す、すみません、今止めますので!」
「い、いえ、大丈夫ですよ、さすがにちょっと動揺しただけです。そこの3人の方ここでギフトは使えません、貴方達が送られてくる場所に何かあってはいけないと言う事で被害が出るような魔法や力は女神様のお力であと半日は使用不可能ですよ」
よかった・・口の聞き方ならまだ何とかなるが何かを壊したり怪我させたりしたら、最悪この国を追い出されるかもしれない。
「ふざけんなっ!タダでさえふざけた名前の力なのにすぐ使えねーだと!くそくそっ!」
ふざけた名前?たしか鶴川君だけあの時ギフトの名前を言わなかったな?そんなに変な名前だったのかな?
「鶴ちゃーん、俺良い事考えた、便所行くって言ってそこで使おうぜ!」
「いいね~!俺もやっちゃよ~?」
「ボクが行かせるとでも思ってるのか君達」
だんだん腹が立ってきたボクはこの3人のお守りじゃない!
「あ?あのさ奏さん俺ら別に奏さんの部下とかじゃないんだぜ?自由にしていのになんで命令きかなきゃなんねーの?」
「そうそう俺らの代表は鶴ちゃんだし」
「美人だから言う事聞いてたいけどね~」
「き、君達、今は状況やこれからの事を聞くのが重要だと思わないのか!」
「そうですわ」
無駄だよ生徒会長、彼らには言葉は通じない、今わかった・・きっと最初の間接が捻じ曲がっていたのは神様の最後の戒めか何かなんだろうと、最初に体力を使わせて今のこの状況で静かにさせようと気を使ってくれたんだろう。どうせならあの黙る力のまま送って欲しかった・・。
「・・・大聖堂長」
慧!?いきなり慧が前に出てきた。
積極的な行動は稀なのに。
「なんですかな?可愛いお嬢さん」
「あの3人は国外追放でいい、あの3人以外の私達9人はあの3人とは関わりたくない、あの3人は会話が出来ないし、馬鹿な魔物が送られて来たと思って対応してほしい」
慧・・久しぶりに積極的に前に出てきたと思ったら毒舌すぎることを・・。
ボクの事を思ってくれたのはわかるがストレートすぎだよ、でもありがとう慧。
「え・・あの・・それは」
ほら、バーザルさんも戸惑っているし、それにそんな事を言ったら・・。
「おい!奏さんの妹だからって今のは言い方はなんだ?」
やっぱり反応してきた、普段人の話を聞かないくせに悪口には反応するのかい?
「ちょっとまってよ、魔物ってあ~でもあの子に言われると興奮するかも」
「俺はちょっとムカついたかな~国外追放って俺たち犯罪者じゃないし~」
ボク達がいなかったらすぐに君達は犯罪者になるよ、保障する。
「すまない、妹は良くも悪くも正直なんだよ」
「あのなぁ、謝るのはそっちの妹だろ?ちゃんと頭下げろや」
こんな事で謝らなきゃいけないなら君達は地面に全身めり込むまで土下座しなきゃならないよ。
「・・・お姉ちゃん黙っててね」
「おい!慧」
「・・・私は貴方達が大嫌い、この状況に置かれてるのは貴方達だけじゃない、ここにいる9人や他の場所に飛ばれたた12人みんな同じ気持ちなの、怖いとか悲しいとか思ってるの。それを貴方達は関係なくぶち壊して、考える頭がないなら喋らないで欲しい。本能で動くなら野に帰れ」
慧・・そうだな慧はこんな子だったな・・他人に厳しい子だったな。
本当に久しぶりにキレた慧をみたよ、あの日以来か。
「なななな、クソチビ!!女だからって殴れないと思ってないだろうな!!」
「ちょっと喧嘩はいけませんわ」
「け、慧君と言ったかな?ちょっと言いすぎかと」
生徒会長と副生徒会長もさすがに危険と感じたのか間に入ってくる。
「『風』の方々!争いのほうはどうか・・」
バーザルさんも慌てて止めに来ていた。
しかしボクは止める気はない。
「すみません、ボクが責任を持つので皆さん少し黙っててくれますか?」
「「ええ?」」
少し強めな口調で言ったためみんな驚いて黙ってくれた。
「慧、責任は僕が持つから慧の好きなようにするといい」
「・・いいの?」
「慧のお陰で認識した、会話が出来ない生物に対する対応は別にあるらしい、今思えば少しやりすぎかと思っていたあの神様の対応は正しかったと思うよ」
「あん?あのくそじじいが正しい?ふざけるな!あのじじいのせいで俺らはこんな目にあってんだぞ!」
「鶴ちゃん、あの慧って子殴るの?できれば顔はやめてあげてね、俺タイプなんだわ」
「行っておくけど~鶴ちゃんムカついた奴には男女差別しないから殴るよ~」
「・・・喋るのが疲れてきた、自分達は悪口を散々言っておいて自分達が言われると暴力で解決しようとする時点で獣なの、どうせ人と会話できないなら部屋の隅でワンでもニャーでも叫んでいればいい。心配しなくてもここの人たちにお願いして餌ぐらいなら運ぶ」
「あ・・あははははは・・おらぁぁぁ!!」
そう言って我慢の限界が来たのか慧に向かって右拳を振りぬく。
だがそれを慧は軽々避ける、そして・・。
「・・・私は貴方達3人を、数年前始めて見た時から大嫌いだった」
そんな事を言いながら何度目かの自分に向かってきた拳にタイミングを合わせた。
「ぐはっ!」
次の瞬間鶴川君は慧に投げられて石作りの床に叩きつけられて意識を失っていた。
慧は鶴川君の腕を掴みそのまま力の流れに逆らわずに逆方向に背負って投げたのだ。
「うん、口から泡を吹いてあとは打撲程度かな、慧は一応うちの道場ので護身術を身につけていてね、段持ちだ」
「ふ、ふざけるな!鶴ちゃんの仇~」
「や、やってやるよ~」
そう言って残った二人もそれぞれ慧に向かってかかってくるが腰が引けている。怖いならやめればいいのに。
「はぁ・・まったくこんなのが最善なんてね」
ボクは慧の前にでると仙田君の拳に合わせてカウンターを顎に人志君は避けて足をかけるだけで勝手に転んで近くにあった柱にぶつかり意識を失った。
「なんなんだ・・この3人は・・」
「・・・今のうちに野に捨ててこればいい」
「さ、さすがにそれは可哀想ですわ」
副生徒会長もちょっと動揺してる。
「君・・強かったんだね」
「・・・別に」
そう言うと慧はいつもの場所、僕の後ろに戻っていった。
「あのぉ」
「お騒がせしてすみません、こうでもしないとまともに話ができなかったので」
「そ、そうですか、事情は大体わかりますので・・き、気にしないで下さい」
気にしないで下さいって言われてもバザールさん声震えてるし。
「ここにいる9人は会話は成立するものばかりです、続きを話しましょう」
「この3名はどうしましょう?」
「・・・ゴミの分別の話なら粗大ゴミ」
ボクの後ろからちょこっと顔だけ出して言う、慧・・そこまで嫌いなのか、わかるけど。
「い、いえこのまま寝かしておいてよろしいのですかと、よかったら回復魔法をかけましょうか?先ほども見たでしょうが危害を加えない魔法は使えますので」
「それはいいです。一番酷い状態の鶴川君は恐らく打撲と脳震盪ぐらいですから、それに回復なんかしたらまた騒ぐので困ります」
「わ、わかりました、貴方達が言うのなら気が付くまでこのままにしておきます」
「・・・なら気が付かないようにトドメを」
「慧」
「・・・調子になったかもゴメンなさい」
「気にしなくていい、ボクのぬるい対応より慧の判断のほうが絶対正しかった、ありがとう」
そう言ってボクは慧を撫でる。
慧は大人しく嬉しそうに撫でられたままだ。
その横でなぜか副生徒会長が顔を赤くして見ている。
「それではお話の続きをさせていただきます」
「お願いします」
「まずそこに倒れている方の質問で順番が狂ってしまいましたが、ここがどこかを説明しますここはオーキラスという国でございます、そしてこの場所はオーキラス大聖堂です、女神を崇める為の建物を聖堂といい世界で大聖堂と認められているのは3つありその1つでございます。この国は人種が中心となって興した国ではありますが別に種族差別はありません、街を歩けば多くはありませんが別種族も見かける事もございますでしょう、現在戦争も行なってはおりませんので完全ではありませんが平和と言っていいと思われます」
「なるほど、先ほど私達はこちらの世界を理解するための勉強すると言ったのはここでですか?」
「はい、ここには色々な書物もございます、もちろん観覧禁止もありますが大抵の常識は知識は私達や図書館の書物をみればわかると思いますので覚えてもらおうと思っております」
「それは期間とかはあるのですか?」
「それはありません、私達は女神様に『風』の方々を任せられました、ですが『風』方々ももうこちらの世界に来た時点でこちらの世界の者です、知識を覚えたあと何かをしたいとお思いならばご自由にしていいのです、例えば他の場所に行きたいと言うならば自由意志で出て行ってもらって構いません、ただしその場合は私達の管理下を離れるので何があったとしてもすみませんが責任を負いかねます」
「なるほど、例えばこの国で暮らして生きたいとかならばどうなるのですか?」
「その場合はこちらでできるかぎりの事はさせて頂きます、お仕事をしたいと言うならばご紹介もさせていただきますし、ただ『風』の場合こちらにない知識を持っている方が多く貴族や王族の方からお声をいただく場合もあると思います、存在自体が貴重になりますので」
ということはこの3人も貴重に入るみたいだ、一緒にされたくない。
「王様がいるんですか?僕達のことも知ってるのですか?」
「もちろんでございます、女神様に『風』の来訪を告げられ後に私から王にはご報告いたしました、大変喜んでおいででした、あとご存知なのは王族に連なる大貴族ぐらいですね、国民にはまだ知らせるかは保留でございます」
「あの~」
副生徒会長が手を上げる。
「なんですかな?お嬢さん」
「なぜ国民には保留なんでしょう?そもそも知らせるのですか?」
「それは『風』が送られてくるのは女神様の贈り物、世界的に神が地上に接触した証なのです、国を挙げてパレードする所もあるくらいですよ、しかしこの国ではそれは『風』の方々次第にさせて頂くと王に了承していただきました」
「わたくし達次第ですか?」
「はい、気を悪くしないで頂きたいのですか、『風』の方々は送られてくるまでどんあ生物かわかりません。もちろん女神様が送って下さるのですから、どのような『風』でも尊いのですが、見た目や性質が明らかに私達と違う場合があります、その場合は騒ぎになり場合もありますので」
それを言われた瞬間その場にいた全員が気絶している3人を見ていた。
「バーザルさん、ボクだけじゃないとは思うけどボクたちの歓待はまだ保留でお願いします。理由は言わなくてもわかっていただけると思っています」
「・・・この3匹だけ檻に入れて見世物として見せる方法もある」
またちょこっと顔だけだして慧が毒を吐いた。
「わ、わかりましたお気持ちもわかりますので」
この3人が起きたときが心配でならない。
「では続きを、皆様には希望する方には魔法適性も調べることもできます、私達は『風』の方々がすでにギフトを持っていることも知っておりますが魔法は別の力ですので希望する方は仰って下さい。もちろん習得できた方は訓練場もありますのでそこで我々ができる限りお教えします、そこではギフトなどの特訓をされても結構です」
「至れり尽くせりですね」
「気にしないで頂きたい、ただ皆様がどのようなギフトをお持ちかわかりませんができれば特訓場以外での使用は控えてもらえると嬉しいのです、その被害出たりしたら困るので・・」
「それはもちろんです」
「ありがとうございます、それでですがこちらからもお願いがございます」
「なんでしょう?」
「貴方方の世界の事が聞きたいのです、話せる範囲で構いません、話せないこと秘密にしたいことは話さなくて結構です。知識は宝と言います、この世界で『風』の来訪に選ばれた国は『風』の知識でこの世界にないものを作り利益や繁栄をしたとあります。しかし逆もあることも事実、だから強制はいたしませんのでできる限りでよろしいのでお話をお聞かせ下さい」
ボク達全員は顔を見合わせた。
そして頷いた。
「わかりました、でもボク達がお役に立てるかどうかはわからないですよ?」
「それは関係ありません、女神が選んだ世界の者の話が聞けることが私達は嬉しいのです」
この人たちに女神信仰は凄いな。
「皆様、他に何かご質問はありますか?」
そして数人手を挙げて細かい事を聞いていく。
「はい、部屋のほうは個室を用意させていただきます、大浴場は男女別です、お食事は部屋でも食堂でもどちらでも結構です、就寝時間はあります、街を見たいでしょうが暫くはここに留まって下さい、」
「「わかりました」」
「まだわからないこともあるでしょう、仰って頂ければ聖堂職員全員でお答えしますのでいつでもどうぞ」
バーザルさんはそう深いしわのある顔で笑うと話を終わらせた。
「さあ!お食事にしましょう、今回は食堂のほうで食べていただきます、こちらの料理がお口に合うかはわかりませんが存分に食べて飲んで下さい」
何人かは歓声をあげ案内された方へ着いて行った。
「あの~」
「なんだい?副生徒会長?」
「そろそろ名前で呼んで欲しいのですけど・・」
「え?あ?すまない名前を知らないんだ、先輩なのにすまない」
「いいのですわ、木葉 歩と言いますわ」
「木葉先輩ですね、わかりました、これからそう呼びます。では行きましょう」
「ち、違いますわ、呼ばれ方で呼び止めたわけではありませんわ」
「何をしてるんだい?みんな行ってしまったよ?」
生徒会長まで戻ってきた。
「あの、これですわ!これ!」
そう言うと木葉先輩は倒れている3人組を指を指す。
「「忘れてた」」
ボクと生徒会長の声が被る。
「どうしよう、奏君」
「そもそもこの人達どのくらいで目を覚ましますの?」
「ボクがやった二人は1~2時間で気が付くと思うけどな、鶴川君の方はコレをやった慧の力の入れ具合だから慧に聞かないと・・慧、どうなんだい?」
「・・・二度と目を覚まさない」
「死んでますの!?」
「木葉君冗談だよたぶん・・」
「慧、本当はどのくらいなんだ?」
「・・・手加減は一応したつもり、したくなかったけど。たぶん3時間以上は目を覚まさないと思う」
「・・そうか」
「あ、まだここにいらっしゃったのですか?皆様もう食堂にお着きに・・どうしたのですか?」
バーザルさんが戻ってきたので事情を話す。
「・・・どうなさるおつもりなのですか?」
「ボク達がやっておいてなんですがこのまま起きれば暴れると思う」
「だろうね」
「わたしくもそう思います」
「私もそう思われます」
バーザルさんまで同意してきた、どうやら短い時間でバーザルさんもこの3人がおかしな生物と認識したみたいだ。
「だ、誰かいい案はないかい?」
生徒会長がそんなことを言った。
「わたくしは・・気が付くまでベッドか何かに寝かせてあげるのが一番かと」
「それでもいいがボクは暴れないような対策が必要だと思う、この場所以外ではギフトが使えるのでしょう?まだボク達は試してないけど使えないわけじゃない、この3人は本能で動くので危険だ」
「た、たしかにそうだな」
「・・・この国に死刑制度はないの?」
いつの間にかボクの後ろから消えてバーザルさんのローブをクイっと引っ張りながら慧が物騒な事聞いている。
「し、死刑制度ですか?相当な重罪を犯したもの、国家反逆罪など細かいですがあることにはありますが・・」
バーザルさんはいい人だな、真面目に答えているし。
「バーザルさん、なんとか暴れない方法はありませんか?出来ればですが僕たちは彼らとあまり接触すらしたくない、僕たちだけじゃなく貴方達にも危害を加えかねない3人組です。まだわかりませんが攻撃的なギフトかもしれません」
「・・・・実は方法はあることはあります」
「どんなですの!?」
「大聖堂には女神様がお力を振るわれた場所が1つあります、『無力の部屋』と言います。あらゆる力が使えない部屋です、もちろん鍵もかけれますし、広いのでちゃんとすれば部屋としても機能するでしょう、本来は瞑想などに使うのが正しい使い方なのですが・・」
「「「決定」」」
3人とも揃って声を出した。
「よ、よろしいのですか?そのような事をして!?」
「他に方法が?」
「・・・・わかりました、暫くはそこに入ってもらいましょう」
「・・・死刑は?」
慧・・。
「ですがずっとそのままでも困るでしょう、さすが色々この3名にも覚えていただかなければなりませんし」
「それはわかりますわ、でもそこから出したら暴れますわよ?」
「貴方達の対応を見てこの方たちがどんな方かもわかりました、ならば似たような対応をとりましょう」
「武で対応すると?」
「察しがよろしいようで、聖堂にも武や魔法の実力者がおります、私が信用できる武に長けたのが1名おりますのでその者をこの3名の面倒を任せましょう。多少手荒になるかもしれませんが、その者なら万が一はありません。この国でも有数の使い手です」
「へー、会ってみたいです」
「わ、わたしくはご遠慮願いたいですわ」
「お、同じく」
「ほほほ、大丈夫ですよ、強者ですが人格は保障します」
「・・・死刑」
慧が残念そうだ。
「では3名を無力の部屋に運びます、そこに食事も運んでおきましょう」
「「「よろしくおねがいします」」」
「はい、では皆様お待ちです、食事に向かいましょう」
そしてボク達は食堂に向かった。
これからボク達は新しい生活を迎えるが気になってることがある。
横で慧もなにか心配そうに呟いた、気にしてることは同じか。
「・・・みっくん」
結局会えなかったな、違う場所の12名の方に飛ばされたか、または別の場所か・・。
運がよければ・・か、会えるといいな。
そう思いながらボクは慧を慰めるように撫でて歩き出した。
蒼「なにしてるの?」
カナじい「スィーニーか、ちょっとお主の幼馴染が送られた大聖堂を覗いておった」
蒼「なんで?」
カナじい「鶴川を送る際に悪戯をな、実は関節を曲げて送ったのじゃ」
蒼「そんなことしてたの・・」
カナじい「その方が手っ取り早くアレがどんな奴かわかると思ってのぅ、それに奏と言う者の援護にもなると思ったのじゃ」
蒼「あ~納得かも!良い事したねカナじい!」
カナじい「じゃろ!」
この・・二人・・(*´・ω・*)