告白
この話でとりあえず2部完です。
こんなにももかかるとは思いませんでした。
見て下さった方ありがとうございます。
ブックマークもよろしくおねがいします
あ!あと美紅はエルフ耳だけが好きなので別に耳フェチじゃないですよ?
あと後書きも読んでね、たまーに繋がってる場合があるの(*´・ω・*)
僕はスラビーさんの家で旅の出発の準備をしていた。
これから行く場所は決まっていないけどこの場所に留まってもしょうがない。
ていうかスラビーさんという恩人がいるけど・・正直留まりたくない!
ずっとメス呼ばわりされるのは嫌なんだよ!
「美紅、準備は出来たのか?」
「はい、いつもでも出発できると思います」
「そうか、それじゃあ、スラビー副聖堂長との約束の時間までもう少しだからちょっといいか?」
「何です?昨日に続いて?」
「う、うん、美紅はこれから行く場所は決まってのか?」
「いえ、その辺は適当ですよ、別に変なしがらみもないですしどこでもいいかと思って」
この世界の事情がわからないのでどこに行っても同じだしね。
できれば普通の町がいい・・あ・・この町が普通じゃないって事を正直に言ってます!きりっ!
「それはあぶない!」
「へ?」
「この世界に来て間もないかもしれないが危険な国や思想を持った場所もある!適当なんて言ったらどういう目に合うかわからないぞ?」
「そう言われるとそうですね~」
「だから私が一緒に行ってやる」
「ふぁ!?」
「旅について行ってやると言ってるんだ」
「で、でもですよ?ヒルマさんはヒルマさんで所属してる組織とか目的があるわけで!」
「そんなものどうでもなる」
「なるの!?」
そんな簡単に!今回だって命がけで止めようとしてたのに!?
いいの!?そんな事1人で決めても!?
「私達は別に一箇所に集まって何をこうするとか話合う様な組織じゃない、定期的に連絡を取り合う程度だ、今回だって一番近くにいた者がという理由で私が来た」
「そんな理由できたんですか・・」
「当たり前だ!じゃなければこんな町に来るわけない!」
あ~、それはわかります、よ~くわかりますよ。
「で、でもこれ以上ヒルマさんに迷惑をかけるわけには・・」
「迷惑なんて事は絶対ない!むしろついて行かせてくれ!」
何その有無を言わせない感じは・・たしかにこの世界の人が一緒だと助かるけど・・僕には非常に重大な問題がありまして・・。
「ダメか?別に他意はないぞ?美紅と一緒にいたいだけだ!」
それって他意に入らないんですか?そこまでストレートに言われると逆に困るんですけど・・。
ヒルマさん・・エルフ・・ダークエルフ・・耳・・耳・・ああああ!いやでもずっと一緒だと確実にぃぃ!
「・・・ダメか?」
うつむいて子犬のような目で見てくる・・そんな目で見られたら揺らいじゃうよ!卑怯だ!
「あのですね、僕にもちょっと事情がありまして・・」
「じ、事情?」
「はい」
どうしよう・・でもコレを言わないとついてきそうだし・・この町にいる間は絶対隠しておこうと思ったけどコレを告白することで諦めてくれるかもしれないのも事実・・言ったら嫌われちゃうかな?でも隠してる罪悪感もあるんだよね~、勘違いして抱きつかれたりもしたし、卑怯者になった気もするし。
「美紅??」
「あ、あのですね、ヒルマさん今から言うことは昨日言った事の比ではないですけど驚かないで聞いてくれますか?」
「な、なんだ『風』より驚くことなんてあるのか!?」
「はい・・たぶんですけど、出来ればです!出来れば聞いた後に僕を嫌いにならないとまでは言いませんが軽蔑しないで貰えると嬉しいかな~って思います」
「私が美紅を嫌うことなどありえない!」
凄い自信だ!って言いたいけど無理だろうなー、騙してたもんだし。
「じゃあ言います、覚悟してくださいね」
「わかった!」
いざ言うとなると緊張するんだよねー。
「僕・・男なんです」
「それがどうかしたのか?」
「へ???」
「美紅が男だからどうかしたのか?」
「え??いや僕女の子じゃないんですよ?」
「男なんだろ?」
「はい、こんな容姿ですけど男です、ごめんなさい」
「なぜ謝る?」
「いや、ヒルマさんが女の子って勘違いしてたのも知ってますし、それなのに本当の事を言わなかった卑怯者ですし」
「たしか言わなかったのはあるが美紅にも事情があったのだろ?」
「はい・・この町で男とバレたら僕の人生終わってました」
スラビールート確定でした、僕の異世界生活終了でした。
「なら別にいいんじゃないか?誰だってそういうことはある」
「いやいや!でも性別ですよ!?ヒルマさんだって同姓と思って抱きついたりしてたんでしょ!?」
「?????」
「違うんですか!?」
「な、何か勘違いをしてないか?私は女が好きなわけじゃないぞ?」
え!?違うの!?ごめんなさい!この町の人が男好きのようにヒルマさんはその逆で女の子が好きだと思ってました!
「ごめんなさい、正直に言うと今までの態度からヒルマさんはその・・女の子が好きな人なのかと思ってました」
「ち、違う!私はノーマルだ!」
「嘘!?」
じゃあ、今までのアプローチは何なの!?あれは完全にそっち系の人のすることでしょ!
「嘘とは心外だぞ!美紅が性別を教えてくれなかったことより、私は女性好きと思われていたのか・・
そっちの方がショックだ!」
ええ・・性別より勘違いされてたことのが優先度が大きいの?
「あの~、じゃあ今までの僕にその・・抱きついてきたりとかは?あれは僕が女の子だと思ってやってたんじゃ?」
「確かにそれもある!だが私は女が好きなんじゃない!むしろ男性が好きだ!」
「じゃあなんで!?」
「私は可愛い物が好きなんだ!美紅の姿は私の理想の可愛さだっただけだ!」
・・・蒼ちゃん、君の体のせいで今現在とんでもないことになっております。蒼ちゃんが可愛い事は兄は認めております、でも蒼の体になって気づきました。可愛いって大変なんだね?
「・・はぁ」
「そ、その態度は傷つくぞ!私だって可愛いからって恥知らずに無差別にあんな行為はしたことはなかったんだ!その美紅を見てたら我慢できずに・・こんな事に体がいう事を聞かないのは初めてなくらいだ!」
これってどうなんだろう?可愛いから好きって言われてるんだよね、勘違いしちゃうよ普通・・。
「すみません、色々勘違いしてて」
「まったくだ!」
なんか女の子のフリをしていた事よりも、もう完全にヒルマさんを女好きだと思ってたという事をで怒らせてしまったみたいだし。
「とりあえず、僕は男なんでもうむやみに抱きついたりしないほうがいいですよ」
「なぜだ??」
「なぜって異性ですし」
「今更だな、断る」
「いや、断られても困るんですけど」
「断固拒否する!」
「・・・・・・」
譲れないものでもあるの?ヒルマさん
「あの~、そういうわけで男なんで旅のほうはご遠慮していただくという方向で~」
「なぜだ!?」
「だって男と女の子の旅ですよ?普通はダメでしょ?」
「美紅、見解の相違があるようだがこの世界で男女が一緒にパーティーを組んで旅をするなんて普通だぞ?冒険者がダンジョンを求めたりしてな、それとも美紅は私が嫌いなのか?私と旅は嫌なのか?」
「そんな!ヒルマさんは嫌いじゃないですよ!物知りな人がいてくれるだけで安心ですし、短い間でしたけど信用もしてます。で、でもですね!僕は女の子のフリをして・・嘘をついてたわけで・・そのヒルマさんがいやじゃないかなって思ったわけで」
「全然問題ない」
「・・ソウデスカ」
「よし!決まりだな!改めて頼む美紅!」
「ヨロシクオネガイシマス」
あああ!どうしてこうなったー!正直に告白して諦めてもらうつもりだったのにー!嫌われたくはなかったけどこうなるとは・・せっかくエルフ耳への願望も諦めたのに・・ヒルマさんが来てくれるのは正直嬉しいけど耳という凶器を持ってるからなぁぁ!
僕がちょっと頭を抱えて考え込むと横でヒルマさんも何がぶつぶついって考え込んでいる。
「そうか・・美紅は男か・・全然問題ないのに・・むしろ好都合・・美紅はダークエルフでも気にしないようだし・・これで結・・」
僕は一通り頭に整理を付けてヒルマさんに言った。
「あのお願いがあるんですけど」
「え?あ?なんだ?」
「この町をでまでは僕は女の子ということでお願いします、できればスラビーさんは特に」
「別に吹聴する気はないが理由を聞いても?」
僕はこの町で女の子のフりをしようと決めたきっかけを話した。そう・・スラビーさんと初めて会った記憶に封印した思い出を。
「あはは、なるほどそれは確かに美紅が男に興味がなければ女のフリをするだろうな」
「はい、それしか方法はありませんでした」
「そうだろうな、しかし美紅が可愛くて助かったな」
「自分で言うのも何ですがこの容姿で本当に助かりました」
蒼ちゃんありがとう!この容姿じゃなかったら蒼にスラビーさんを義理のお姉さん?として紹介する未来だったよ!
「わかった、このことはふたりの秘密だ」
「おねがいします」
「美紅、そしてそろそろ時間だ。行かないと見送りに来てくれるスラビー副聖堂長を待たせてしまう」
「あ・・はい、出発しましょう」
疲れた、たった1つの真実を告白するのがこんなに疲れるなんて思わなかった。
でもいい方向に転がって・・転がったのかな?
そして僕達は準備していた荷物を持って町の入り口に向かった。
「スラビーさんまだ来てないみたいですね」
「仕事が忙しくて家にも帰れない位だ仕方ない、少し待とう」
そう言ったヒルマさんはフルプレートに戻っている、素顔は知ってる人以外は見せたくないらしい。
「あ、貴方達は!?」
あ・・前にヒルマさんとこれから仲良くお出かけデートと言って騙した門番だ。
「あ、こんにちわ」
「何よ!また見せ付けに来たの!?貴方達のせいでこの前仕事を放棄したって言われて減俸されたのよ!どうしてくれんのよ!」
それはあんたがただショックを受けて仕事をほぽって走ってどこかに行っちゃっただけでしょ!
「なんだ?美紅どうかしたのか?」
どうしよう、ヒルマさんはあの時ちょっと絡んだけど僕がからかったを知らずにトドメを刺してたし。
「貴方達!また二人でどこかへ仲良くお出かけ?いい加減にしなさい!いくらメスでも羨ましいのよこの!」
羨ましいのか・・そんな理由か。
「ふっ、そうか、実はこれから私と美紅は仲良く二人旅に出発だ、片時も離れる事のない旅になるだろう。無事を祈っていてほしい」
「きぃぃぃぃ!片時もって!彼氏に言わせたいセリフを言いやがったわね!メスの分際で!ああああもう!他人の幸せなんて見てられないわ!お幸せに!!!!」
そういうと門番さんは町の中に走り去っていった・・おーい!また減俸されちゃうよー!
「なんだったんだ?あれは?」
こっちはこっちで知らずに煽っていたらしい、僕よりヒドイ煽り方だったしね天然怖い。
「お~ま~た~せ~!あら?何かあったの?」
「あ、スラビーさんこんにちは、なんでもありません、できればですけど僕達が出発したらでいいので、門番がいなくなったので手配してもらっていいですか?」
「よくわからないけどわかったわ」
「スラビーさんお仕事大変なのに見送りに来て頂いて本当にありがとうございます、そしてこの町にいた間本当に色々お世話になりました」
「私も美紅ちゃんには助けられたしお互い様よ、もしこの町にまた寄ることがあればぜひ声をかけて頂戴」
「はい、わかりました」
スラビーさんがいなければ絶対寄りません、寄ったとして留守だったら全力で出て行きます誓います。
「美紅ちゃんコレを持っていきなさい、この周辺の地図よ」
「え!ありがとうございます!」
「それとコレはあたしの紹介状、大抵の聖堂には快く受け入れられるはずよ、あとは実はこの町の姉妹都市が出来る計画があってそこへの紹介状もはいってるわ」
「あ、ありがとうございます」
大事にしよう聖堂の紹介状は、姉妹・・いや兄弟歳都市はスルーするので荷物の奥に入れます。捨てませんよ?グシャッ
「スラビー副聖堂長、実は美紅と話し合って私も美紅と一緒に旅をすることにした」
「あら~素敵ね、仲良くやりなさいな」
「ああ、凄く仲良くやると思う、スラビー副聖堂長、私もお世話になったお礼を言わせて下さい」
「いいのよ、貴方もあたしには恩人だから」
「こちらこそ感謝を」
あの~感動のシーンですけど凄く仲良くってとこ突っ込んでいいですか?ヒルマさん
「それじゃ、行きますスラビーさんまた会いましょう」
「美紅ちゃん!!!!」
抱きつかれた、って痛い!マジで痛い!これ抱擁じゃなくてサバ折りだから!ミシミシいってる!蒼の体は運動能力は高いけど耐久性はないの!あぁぁぁ!最後のお別れの抱擁だから叫べないし抵抗できないのが悲しい!てか力を入れても抵抗できない!!!
「美紅ちゃん本当にまた来てね!メスだけど妹みたいに思ってるから!また会いましょうね!」
痛いです!あとスラビーさんおかしいです!メスだけどっておかしいです!メスは本当に妹ですよ!あと最後まで絶対いいませんが僕は弟です!
「はぁはぁはぁ・・」
危うく旅にでるまえにHPが0になるところだった・・。
「美紅ちゃん、興奮するほど感動したのね」
違う!殺されかけたんだよ!
後ろを見るとヒルマさんがなぜか羨ましそうにこっちを見ている?あれですが?スラビーさんの抱擁・・サバ折りが羨ましいんですか?いつでも変わりましたよ?なんななら今からでもお願いしましょうか?でもその場合ヒルマさんの立派な青い鎧の全損も覚悟してください。
「そ、それじゃ、スラビーさん本当に出発しますね、ヒルマさん行きましょう」
「ああ、スラビー副聖堂長また会う日まで」
「気をつけるのよ~!盗賊もでるからね~!無事を祈るわ~またね~!」
僕達は手を振って町の外へと歩き出した。
後ろを振り向くとずっとスラビーさんは手を振ってくれている。
変な町だったけどスラビーさんのお陰でいい思い出になった町だった。
そしてスラビーさん盗賊でるとか最後に言わないで下さいもっと早く教えて下さい。変なフラグ立てないで下さい。
「そういえばヒルマさん」
「なんだ美紅?手でも繋ぎたいのか?」
「いえ、違います、馬はどうしたんですか?」
「・・・あれは町のレンタルだ」
ヒルマさんはなぜか落ち込んで答えてくれる、馬のレンタルなんてあるのね。馬も乗りたいし乗れるようにならないとな~!そうだ!まず剣をつかえるようにならないと!
「ヒルマさんって魔法剣士ですよね?」
「剣の方が得意だがな」
「じゃあ、旅をしながら剣を教えてくれませんか?」
「手を繋いでくれたらいいぞ!」
簡単だな!おい!
僕はすぐヒルマさんの手を取った。
「これで教えてくれますよね」
「も、もちろんだ、だが私は美紅には甘いぞ!?」
「え・・・・」
そこは私の剣の教えは厳しいぞ!って決めるところでしょ・・。
僕達は町を離れながらそう約束して次の場所を目指して旅立った。
さよならオストピア!出来ればもう来ません!
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遡る事10日ほど前。
ここは大都市オーキラス
世界には大聖堂と認められた聖堂が3つある。
これは大昔女神によって承認されたと言われている。
ここはその1つ、オーキラス大聖堂。
「大聖堂長!『風』です!『風』の方々が到着する予兆が現れました!女神スィーニー様のお告げの通りにございます!」
「そうか、では行くぞ」
「大聖堂長、私はこのような瞬間に立ち会えることを誇りに思います」
「そうだな、『風』が送られてくる聖堂に選ばれた事、そしてその時期に聖堂にいる事、その全てを女神様に感謝し、誇りに思うのが聖堂に勤める者としての信仰の証だ」
「その通りにございます」
「大聖堂長は今回の『風』の方々については知っておられるのですか?」
「知らぬ、そしてそれは知らなくても良い事だ、我々は女神スィーニー様に『風』の保護、管理を任せられたのだ、感謝しコレを完遂するだけだ」
「申し訳ありません!出すぎた事を!」
「よい、興味があって当然だ」
「しかし、もう1つがナディガム大聖堂というのが気になります」
「・・・言うな、今はこれからの事、我が聖堂の事を考えよ」
「はい」
そう言うと大聖堂長とその部下はひときわ大きい部屋についた。
部屋の真ん中には円になっているスペースがありその周りには囲むように聖堂の職員たちが目を潤ませて見つめている。
「くるぞ」
「おおおぉぉぉぉぉ」
大聖堂長がそう言うと円が金色に光り出した。
聖堂職員達も驚きと歓声をあげる。
次の瞬間円の中には12人の男女。
それを大聖堂長を始め職員達は静観して見ている。
光が収まると送られてきた『風』達が周りを見ている、ここがどこかを確認しているのだろう。
そして『風』の中で1人の男が声を出した。
「うぴょとえんんけんぐろがみ」
「鶴川君・・君だけなんで変なほうに関節曲がってるの?大丈夫?」
奏が冷静に突っ込んだ。
蒼「カナじいどうしたのニヤけちゃって、気持ち悪いよ?」
カナじい「気持ち悪いとは失礼じゃぞぃスィーニー!」
蒼「だって・・」
カナじい「思い出しただけじゃ、ちょっと『風』達を送る時に悪戯をいたのでな」
蒼「そんなことしたの?」
カナじい「神の悪戯じゃ、許されるはずじゃ」
蒼「神とかつけると尊大に聞こえるけど悪戯は悪戯だよ?何したの?」
カナじい「鶴川にちょっと・・な」
蒼「一体何をした・・」
カナじい「フォローじゃよ!」
鶴川の雄たけびはカナじいの仕業か(*´・ω・*)