鬼
次の話でついに異世界に!
頑張れ美紅(*´・ω・*)
「眩しいのぅ、ここは」
「うぅぅ・・」
「なんじゃ、泣いておるのか」
「か、悲しいと嬉しいが同時に来たかも」
「まあ、気持ちはわかるわぃ、短い付き合いじゃがスィーニー、お前さんのことは大体理解できたしのぅ。どうせ素直になったのは少しだけってところじゃろ?」
「・・・うん」
「そうか、お前さんはそれでもしっかりした子じゃと思うとる、これから期待もしておるのでな」
「ありがとう」
そう言ってカナじいはあたしを慰めてくれる、カナじいも辛いはずなのに。
「それでそっちはどうだったの?」
「順調に言ったよ、ちょっとやっかいな小僧もおったがな・・」
「3人程じゃない?」
「知り合いのようじゃな・・なんじゃあれは!!!!」
「あたしに言われても・・マジであたしもあんまり関わりたくないし」
「わしもじゃ!!神やってて色んなのを見てきたがあんな人種は驚きじゃぞ!!」
「・・・観賞用と思って大目にみよ?」
「・・・うまい事言うのぅ」
あの3人やっぱりカナじいに迷惑かけてたか~、お兄ちゃんをいじめてた3人組、たしかにあたしもちょっとムカついた事もあったけど実際被害をこうむっていたお兄ちゃんがまったく気にしてなかったのであしたもどうもでよかった。だから気にしないようにしてた。実際話したのだって数回だしね。
「カナじい、これからはどうすればいいの?」
「そうじゃな~、とりあえず各地での女神の仕事をこなして貰いながらの情報を集めるといった所かのぅ」
「それだけでいいの?カナじいはどうするの?」
「今はまだそれしか出来ん、すでに全部ではないが世界に女神交代の通知が届いておるが、前任の女・・神・・・を熱狂的信者達がいて納得してない者もおる」
「頑張ってカナじい!前任の女神言えてないよ!気持ちわかるけどしっかり!」
ちょっと涙目だし!どんだけ好きだったのさ!いやわかるけど・・・。
「・・・その者たちが何か問題を起こさないとも限らん、それを代理とはいえ立派な後任のスィーニーはその事を世界に認めさせねばならぬ」
「大変そうだね~」
「心配しなくてもスィーニーなら出来ると信じておる、焦らずじっくりやっとくれ」
「はい!!!」
「いい返事じゃのぅ」
「カナじいはどうするの?」
「わしか?わしは奪われた力の事と残った力の制御、さらに残った力をこんな事がもうない様に管理の強化じゃな、もしかしたら残りも狙われるかもしれん」
「確かにそうだね~」
「そうなのじゃ、神とて万能じゃないのはもうわかったと思う、この作業にも時間がかかるからのぅ。だからスィーニーには迷惑をかけるが出来るだけわしも手を貸すので頼むぞ」
「うん!頑張る!」
よ~し!頑張って解決して目的達成だ!
「ところで兄の協力は取り付けたか?性別変えてくれとか言われとったようじゃが?」
「それが聞いてよぉぉ、お兄ちゃんすっごい我侭なんだよ!あたしの体に入れるっていうチャンスを棒に振ったんだよぉ」
「それ通話でも聞いたわぃ、どっちかと言うとわし兄派なんじゃがなぁ」
「裏切り者!!!!」
「酷い言い方するでない!わしも男なんで兄の気持ちもわかるだけじゃ!まったく・・」
「裏切った女神が戻って謝って謝罪の代わりに『わたしくの体を1日だけ貸してあ・げ・る♡』とか言ってきたら?」
「入っちゃうわぃ!!!!!」
「・・・・うわ~」
「罠じゃ!!!酷い罠じゃ!!!」
「いや、素で即答だったし・・」
確かに引っかかるとは思ったけどここまで見事に大声で答えるとは思わなかったし・・カナじい見てると神様ってこと忘れるんだよね~相当未練残ってるねこれは!
「仕方ないじゃ仕方ないんじゃ仕方ないじゃ」
「はいはい、引っ掛けたあたしも悪かったけど下を向いてブツブツ言わない」
「はあ・・しかし性別のことはスィーニーも納得せい、もう遅いのじゃし」
「納得はしたけどグチを聞いてもらいたかったの!」
「グチついでに傷口えぐるのやめてくれんかのぅ」
「ゴメン!!」
「お前さん本当にいい性格しとるのぅ」
「よく言われない!あたし外面いいらしいし!」
「兄だけか苦労したのは」
「あたしの我侭はお兄ちゃんの大好物だよ!」
「・・いつか会って見たいのぅ兄に」
「変なことしないでね?」
「せんわぃ!」
怪しい、女神に裏切られて女は暫くいいって言ったし、同姓に興味もつ可能性も・・。
「つまり兄の協力は得られたんじゃな?・・なんじゃその目は」
「別に?うん、お兄ちゃんには説明しておいた」
「そうか、今はどんな些細な情報でもほしいからのぅ」
そうなのだ聞いた話では裏切った女神はとても優秀で頭が切れる女神らしい。
カナじい曰く『美しく聡明、そして健気で一途な上にいい体』だそうだ。
褒めすぎ、あとこれ言った時ちょっとキモかった!口には出さなかったけど。
「ところでカナじい」
「なんじゃ?」
「肝心な裏切り逃亡女神の名前を聞いてないんだけど?」
「・・・・・・・・・」
「・・何で黙るの??」
カナじいは下を向いて押し黙った。
さすがに泣いてはいないけど何故か口を開かない。
「おーーい?」
「だって名前出すと思い出しちゃうんじゃもん!!!」
えぇぇ・・悲しいのわかるけどそこは神様でしょ?割り切ってよー!どうせ調べればわかる事だと思ったけど、
一応あたしカナじいから聞かなきゃいけない事だと思って思い切って聞いたのにこの反応は予想外だよさすがに!
「ちょ、ちょっとあたしがいじめてるみたいじゃん!たしかにちょっとさっきいじめたけどこれはちゃんとカナじいから聞かなきゃって思ったの!辛いのは知ってるけど頑張ろう!ね!」
「・・・・神・・・ナ」
「大きい声で!!!」
「この世界では通り名はこうじゃ『純潔の女神フレアナ』じゃ」
「フレアナ?純潔?」
「名前はフレアナじゃ、純潔のほうは彼女の存在が認知されてすぐに人々がフレアナに対してつけたのがその二つ名じゃ」
何それ!ちょっとカッコイイし!純潔かー!いいなー!裏切ったのに純潔・・。
なんかちょっと嫌だし、あたしの女神の仕事にまずこの純潔って二つ名を変えてやる工作活動も入れようかな?
決めた!いつか変えてやる!見てろフレアナ!
「ほら~カナじい、名前言っただけでそこまで落ち込まないで!」
「すまんのぅ、じゃが暫くは引きずるかもしれん」
「凄い正直に言われたら責めれないし・・」
「落ち込みはするかもしれんがわしも管理者じゃ、これからやることに私情ははさまん!」
「その通りだよ!」
頑張って!なんかあたし罪悪感あるから!頑張って!
「話を戻すが今回の『風』は2つの国に送った、お前さんとわしで検討した場所じゃ」
「たしか比較的に思想が大人しい国だっけ?」
「そうじゃ、あの国の者たちなら受け入れるもの早い、対応もしてくれるじゃろうて」
「あの3人組も?」
「国から押い出されなきゃええがのぅ」
「それはほら!ちゃんと説明したんでしょ!?ギフトは渡すし向こうでは自由にやっていいって!例え何があっても温かく見守ろう!」
「・・力の悪用せんといいのじゃが、ただわかっているのかのぅ、ギフトは唯一無二じゃが最初は別に強くもなく珍しいだけだと・・」
「さあ?あたしも初だし」
「そういうもんじゃ、力を理解せんと何もならん」
「するかな~奏ちゃんと慧とか生徒会長あたりは早そうだけど」
「あの者達は話したがちゃんと自分達の状況を理解する姿勢が見て取れたのであまり心配はいらんのぅ」
「へー」
さすが奏ちゃん達かも、巻き込んじゃったのは罪悪感あるけどきっとめげずになんとかしてほしいな~。
「そうじゃ、兄のほうはどうだったのじゃ?性別の以外に問題はなかったのじゃな?」
「うん、伝え忘れはなかったと思うよ??」
「なぜ疑問系なのじゃ!!」
「・・別に~」
「怪しいのぅ」
・・・アレは兄を思う妹の気持ちが感情を超えて現れただけであたしのせいじゃない!たぶん?
「平気平気!!」
「・・・怒りはせんから話してみぃ?」
「なんで!?今あたし平気って言ったよね!?」
「忘れておるかもしれんがスィーニーわし一応神じゃよ?お前さんが何か隠しておるぐらいわかるぞ?」
「うん!度々カナじいが神ってこと忘れる!」
「そこは忘れてないよ!って言っとくれよ・・」
隠し事できないって言われたから正直に言ったのに隠して欲しかったらしい、どっち!!
「でもまぁ、渡す宝石がみんなと違っちゃったぐらいだよ?」
「お前さんそれは贔屓になるじゃろ・・」
「えぇぇ・・女神も間違いぐらいあるよ~神だって間違いあったし」
「そこでその話を出されたら責められんじゃろ!」
つい究極の防衛方法を使ってしまった、ちょっと自重しよう。
「正直に言うとあたしも出してから気づいたの。だから間違えた!それ回収?とかさすがにお兄ちゃんに言えなくて!むしろあたしの思いのなせる技と思ってそのままに」
「・・ちなみに何色を渡したんじゃ?」
「くすんだ茶色と灰色とあと緑だったかな?」
「緑のはくすんでおったか?」
「綺麗だったみたい!」
「それは他のものと大分差がついたのぅ」
やっぱりちょっとまずかった?でもあんまりその辺説明されてないしな~。
「ダメだった?」
「ダメではないがな、そうか純色か、緑ならギリギリセーフにしてやるわぃ」
「わーい!カナじいありがとう!」
「お前さんの笑顔は得じゃなぁ、大抵のことは許しそうじゃ」
マジで?失敗したら笑顔で行こう!
「あ・・あと聞きたいことあるの」
「まだ兄の事でか?」
「うん、能力のこと」
「ふむ」
「お兄ちゃんね『興味否定』ってギフトが出たんだけど知ってる?」
「そんな変なのは聞いたことないのぅ、たぶんユニークじゃないかのぅ?」
「やっぱそっか、でも使ってみて被る可能性もあるんだよね?」
「あるな、仕方のないことじゃ」
「ふ~ん」
ちょっと気になることもあるけどこれは自分で調べよっと。
「ところでスィーニー、お前さん兄をどこに送ったんじゃ?あとで教えてあげると言っておったが」
「あ・・そうそう!性別の件でちょっと送る場所に影響でるかもしれないけどあたしのお兄ちゃんならなんとかするでしょ、たぶん!」
「なんじゃ?意味ありげな言い方じゃな」
「いや~性別変えたけど思いの他可愛くなっちゃって!さすがあたしの体!見る?」
「どれどれ?」
あたしはカナじいに性別を変えた時の記憶を見せた。
「可愛いでしょ!」
「・・どこかこれ変わったかのぅ?」
「お兄ちゃんといいカナじいといい節穴なの?大事な胸がないでしょ?」
「そこだけじゃ!これは誤解される容姿じゃ!」
「知ってる?可愛いは正義なんだよ?」
「なんじゃその説得力のある言葉は初めて聞いたが・・」
「あたしの元の世界の常識だよ」
「そうか・・しかしこの容姿は兄が苦労しそうじゃのぅ」
「はぁ?あたしの容姿で得する事はあっても苦労することとかないよ!」
「どこから来る自信じゃそれは!」
きっと今頃お兄ちゃんも涙を流しながらあたしの事を思っているに違いない!きっとそうだ!
「それでどこに飛ばしたんじゃ?そろそろ教えておくれ」
「えっとね、『オストピア』って場所!どう面白いでしょ!」
「お前さん鬼か!!!!!」
「えぇぇ、だってお兄ちゃんが性別さえ文句言わなきゃ面白い場所だったのに、まぁ予定狂ったけどなんかとかるでしょ、きっと!それにあんまり変わってないしきっと平気だよ」
「兄の名前なんと言ったかのぅ」
「へ?美紅だけど」
「わし、ラザルカーナの管理者カナギウスは『風』美紅に祝福と同時に飛ばされた場所での安全を切に願うことをここに宣言する」
「なんで美紅個人にいきなり神として祈ってるの?」
「お前さんが飛ばした場所のせいじゃな」
「絶対大丈夫だって!あたしに感謝してるって!」
「お前さん見てると兄に何をしても絶対嫌われない自信があるのがすごいとおもうわぃ」
「???当たり前でしょ???」
「美紅よ、会えたら今度酒でも一緒に飲むかのぅ」
わからない独り言を言うカナじいが言ってるけどあたしのお兄ちゃんは信じてる!
「それではスィーニー、そろそろいくぞ!気合をいれて仕事じゃ!」
「おーー!」
あたしはカナじいに掛け声で答えてた。
そして頑張れお兄ちゃん!寂しかったらあたしの名前大声で呼んでもいいからね!!!
------------------------------------------------------------------
前略、パパママお元気でしょうか。
実は数年ぶりに蒼が僕を『お兄ちゃん』と言ってくれました。
鳥肌もたち嬉しくて涙も出ています。
それはさておき僕は今新しい世界にいます。文字通り違う世界です。
信じられないかもしれませんが妹は女神に、僕は人ですがその手伝いをちょっとだけすることに。
そして妹から色々説明を受け、力を貰い、可愛い笑顔をいっぱい貰いました。
兄として感動で胸いっぱいの出来事でした。
僕の他にもこちらへ来た人たちがいます。
でも僕だけ妹の計らいと特別待遇で皆さんと違う場所に飛ばされました。
妹は面白・・とてもいい場所と言ってた気がします。
僕は妹が何をしても許せます、だって世界でたった1人の妹なのですから・・。
そして僕は飛ばされてすぐ目の前には綺麗な泉が広がっています。
水辺で綺麗な水を飲む小動物、周りの見たことない植物まるで楽園です。
さすが妹の選んだ場所、僕は妹の気遣いに涙します。
そして綺麗な泉とは別に・・僕の視界に入ってる不思議なものが一つ・・・。
「ぎいいいゃゃゃゃゃゃゃああああ覗きよ覗き!メスよ!メスの覗きよ!誰か!誰か!わたしの純潔が奪われるぅぅぅぅぅっ!!!!!」
テレビでしか見たことないようなマッチョで巨漢なお兄さんが優しくこちらを見て叫んです。
「蒼ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
僕も釣られて愛しい妹の名を叫びました・・・。
蒼「はっ!お兄ちゃんがあたしを呼んだ気がする!
感だけはいいけど蒼!それは美紅の心の悲鳴だ!(*´・ω・*)