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その子はきっとヒロイン

ヒロインの登場

        第一章

        road1



 ーーー


          ・・

 走ってきた女の子は超絶!(強調!)美少女だった。歳は、私たちくらいか少し上に見える。


 キラキラと輝いて綺麗な金の腰まで長い髪、左目は翡翠のような瞳、右目は髪の毛と同じ綺麗なゴールドの瞳…オッドアイ。そして豊満な、胸元………もうお分かりだろうが、スタイル抜群な美少女。


 う、羨ましくなんかないけどね!私だってこれから成長す…って違う違う。


 彼女は恐る恐る、私たちに話しかけてきた。

「あ、あのう…」

 ん?この声…

「えぇ、私たちが勇者よ」



 ……………………………。



「「はやぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」」

 私と鈴宮先輩のツッコミは、広い荒野に響き渡ったのだった。



 ーーーーー




 私たちの年長者がフライングしましたまる。

 …いやもう過程ブッ飛ばしすぎでしょ…美少女もオロオロしてて可愛い…じゃなかった、とにかく困り顔してるよ…奈々島先輩…


 とりあえず美少女には聞こえないように少し離れた場所で、奈々島先輩を鈴宮先輩と二人で説得?することにした。

 竜神は柱にもたれかかって、ボーッとしている。お前もなんとか言えよ。


 奈々島先輩はなんなの、と突っ込まれたことに気分を害したのか不機嫌そうな顔をしていた。

「話は早い方がお互い良いかと思ったんだけど?」

「いやいや先輩、さすがにはしょりすぎっす…彼女はテンプレ展開とか知らないんっすよぉ?」

「そうですよ…一応この世界の事とか聞くこと色々あるんですよ先輩…」

「……む。そうね、わかった。そこら辺はあなたたちに任せるわ」

 ホッ。納得してくれたようだ。

 とりあえず、改めて彼女…美少女に話を聞くことにした。



 ーーー


「あーコホン。ごめんね、困らせてしまったみたいで。あ、私たちの言葉はわかる…のかな?」

「え?あ、はい。大丈夫、です…」

 良かったー!話が出来るなら大体大丈夫…かな?

 すかさず、鈴宮先輩が彼女に質問をする。まぁ先ほどの奈々島先輩ほどではないが、話が早く済むならそれに越したことはない。


「それで、キミはその…俺たちに何か、用事?」

「…えっと…あのぅ…わたしの祖母が占い師で…死の間際未来視をして、最後の予言をしたんです。

    ・・・

 伝説の本物の勇者が召還されるだろう、と。

そして数日経った今日、この神殿から光の柱が昇ったのが見えて…急いでここに向かったらあなたがたがいて…その、伝説の勇者さまなのかと、お聞きしようと…」


 うむ。大体予想通りのお話でしたね。でも死の間際ってなんか…

 まぁとにかく話を続ける。この世界のことを聞かなければ、前には進めない。


「…勇者かどうかはアレだけど。確かに、私達はここのことがわからない。

それで聞きたいんだけど…ここは、どこ?なんていう世界なの?」



        はねなし

「………ミデリア。人間界の、ミデリア」



 ーーー



 はねなし

「人間界?」

 とりあえず私たちのいた日本ではないことは確かなようです。

 THE!異世界。ファンタジー!…はい。

 やっぱり竜神の予想通りだった。

 薄々わかってたとは言えなんかくやしい。


 そして、彼女は詳しく説明してくれた。


 はねなし

「人間界は私たち…背中に翼のないヒトの世界です。ここは、そのミデリアの南西部オルダーネスという地域です。

 あとは…大まかに説明しますが、南のサウスサウザンドデザート、西のウエストルーンジュエリア、東のイースタンセントラルガーデニア、北のノースアイシクルクリスティアという地域でミデリアは成り立っています」


 ほうほう。横文字いっぱいだー。でも、名前に東西南北がそれとなく入ってる。言葉はそんなに私たちの世界とは変わらないのだろうか。

 あ、奈々島先輩が後ろでメモってる。手帳とペン持ってたんだ…


 確かにメモらないと覚えられない。グッジョブ先輩!

「それはつまり…翼のある人種がいるということか?」

 な、なんと!竜神が口を挟んできたよ!ちゃんと聞いてたのね…ビックリ。


 まぁ一応、私たちの先のことに関係してるしね。

 彼女は竜神に聞かれたことに少し顔色を悪くすると、俯きながら話してくれた。


        てんよくじん

「…はい。白い翼の天翼人。


       まよくじん

 そして黒い翼の魔翼人。ミデリアは今、天翼人によって支配されているんです…天翼人は傲慢で強欲。私たちヒトをヒトと思ってない。家畜同然だと。それに今…町が脅迫されていて、私は…っ」

 彼女は今にも泣き出しそうに、言葉を詰まらせる。彼女をそれほどに追い詰めるモノは、一体…


 鈴宮先輩が、横から彼女の背中をさすってあげた。

 こういうさりげない気遣いが出来る人って単純にすごいな、と思う。

 

 鈴宮先輩にありがとうございますと感謝を述べつつ、彼女は声を絞り出すかのように話した。

「生け贄に…選ばれたんです」

 とてつもなく話が重くなってきたが。ちなみに私はとても憤っているが。


 悪いヤツをぶん殴るかしないと収まりそうもない。


 とにかく。話を聞く限り、天使と悪魔?にしか思えないが…


   ・・・

 ん?天翼人に支配されている…?天使がヒトを支配?天使が傲慢で強欲?なんじゃそりゃ。私たちの世界で崇められている(想像?創造?されてると言った方がいいのかな)天使は慈悲深くて、人間たちに祝福をもたらす存在なのに。


 しかし、彼女を助けることにはなるだろう。むしろ絶対助けるけど。美少女を泣かすヤツは問答無用で死あるのみである(※ものの例えです)


 とにかく、天翼人について詳しく聞こうと思った矢先。

「…それ「樹ノ下さんストップ。なんか、まだ長くかかりそうな話だし…とりあえず移動しない?」

 う、確かに。奈々島先輩さすがです。ずっとここにいるわけにもいかないよね。

 ましてや寝泊まりなんて…石畳は嫌だ!


「あ…そうですよね、気が利かなくてすみません。勇者さまたち、疲れてらっしゃるハズなのに…」

 あぁそんな、泣きそうな顔しないで…でもやっぱり可愛いです。

「そんな顔しないで?私たちは大丈夫だから。とりあえず…移動するところはあなたの住んでいる所で良いのかしら?えーと…名前、聞いてなかったわね」


「あ、すみません!名乗ってなかったですね。

 私、ミノア。ミノア・マリアージュ・ランスレットと言います。

 今から、町まで案内しますね」


 そう言った彼女の儚い笑顔に、胸が苦しくなった。


 それから私たちも軽く自己紹介をして、その神殿を後にした。

 


 ーーーーー



 彼女の祖母が予言をし、彼女の近くで私達は召還され、今は生け贄候補。

 なんとも繋がりの深いミノアちゃん。


 まだ誰にも言ってはいないけど、召還の時に聞こえたあの声も、彼女の声と瓜二つ。


 あなた、きっとこの世界のヒロインだよ。

 そう確信した私だった。




まだこのサイトに慣れない。


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