表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

現状把握

抜けてた話なので、少し短め。

          序章4

       勇者になります?





「ーー仮に、異世界だとして。

 私達のような一般市民を召還して、何をさせるつもりかしら」

 そう疑問を投げ掛けるのは生徒会長奈々島先輩。


 …はて。約一名、一般市民ではないやつもいますけど。

 まぁそう思うのも無理はない。私は、助けを求めるあの声のことはまだ話してなかった。


 なんだか、言うのは躊躇ってしまったから。なので一先ず、私の中におさめておくことにした。

「まぁ、よくある世界を助けてくれとか…お前たちは選ばれた勇者だみたいな」

 だろうね。竜神の言う通り、私の聞いた声が確かならばそういうことなんだと思う。…なんだか大変なことになったもんだなぁ。


「俺たち、ホントに勇者なのかなー!?面白そうだなー!ねっ会長!」

「…まったく、あんたは相変わらず能天気ね。私は頭が痛いわ…仕事途中だったし…まだ色々残ってたのにぃ…」

 そう言ってギリギリする奈々島先輩。真面目そうだもんな、この人。御愁傷様です…


「勇者なのかとかはとにかく、ここの周りの何があるか調べましょう…立ち往生も嫌だし」

「と言っても奈々島先輩、見渡す限り荒野ですよ…?」

「細かいものでも、何かわかりそうなものを探すの!異世界か、そうじゃないか…そんなものでも何でも」

「は、はぁ…」


 彼女は、まだこの現実を受け止められないようです。

「俺、無意味なことしたくねーし寝る」

「は…?」

 寝転がる竜神に対し、奈々島先輩はガシッと胸ぐら掴んでニコニコ迫っている。まるで背中に般若を携えているかのような迫力。

 …こ、こわひ。

 今までも思っていたけど、彼女に逆らうのは止めておこう。


「竜神クン、諦めよ?会長、こういうことは協力しないと地獄の果てまで追ってくるタイプだから。それに、資料見たけど君レベルだと多分会長には勝てないよ」

「………え」

 それを聞いた竜神は目の前の奈々島先輩を驚いた顔でガン見していた。


 竜神も唯一の跡取りだからか色々あって、習い事はかなりの数こなしてて実力はあるはずで。それを凌駕する先輩とは行ったときに、何者なのだろう…

 奈々島先輩は竜神に向かってニヤリと唇を歪ませたような気がした。


「……………………やります、やればいーんだろ」

「それでよし、いい子ね」

 彼女はニコリとして、竜神から手を離した。


 …なんだろう。こわいお母さんみたいです。

 それじゃあ、と奈々島先輩は私達に指示を出し、探索を開始した。



 

 ーーー15分後

「なーんにもない」

 言った通りですが。

 砂と石ころ。時々、草。きっと他の皆もそんなもんだろう。

 …こんなところで、私たちは死んじゃうのかなぁ。ついそんなマイナス思考がよぎる。

 なんでこんなことになったんだろ。

 石柱に背中を預け、ボーッとした。


 ーー杏ちゃん


 頭の中で、私の名を呼ぶ懐かしい女の子のことを思い出す。

「ねぇ、私たち、大丈夫かな…」


 ーーー


『杏ちゃん、私、杏ちゃんといるととっても楽しいし幸せだよ』


『私も〓〓といられて幸せ!ね、今度はあっちに行こうよ』


『うん、でも今日はもう遅いからまた明日ね?』


『…そだね。〓〓のお家厳しいもんね。

 じゃあ、また明日ね!』


『ごめんね杏ちゃん。また明日ね。

 ーーー大好きだよ』



 ………





「樹ノ下さん」

 傍で聞こえる声にハッとした。

 奈々島先輩が来ていたのに私は気付かなかった。

 記憶の奥に深くトリップしていたみたいだ。

 少し、あやふやだが。


「どうかした?呼んでも来ないから…それに顔色が酷いわ」

 大丈夫?と心底心配した顔をして私の肩を抱いてポンポン、としてくれる先輩。

 先輩、惚れていいですか?なんて思ったり。

 とにかく心配させないように努めて明るく返事をしよう。

「大丈夫です!ちょっとボーッとしちゃってました、エヘヘ、すいません」


「…まぁいいわ。成果なかったでしょ。他も変わらなかったし、とりあえず中央で休みましょ?

 水分も、取れないみたいだし…」


 はい、と答えようと彼女に付いていこうとした。

 ふと、何気なく。

 遠くの空を見ようと振り向いた時。


「…誰か、来てる」


 遠くで人が走ってきているのが見え、私は呟いた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ