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異世界に落ちました

長めに書きました。やっと異世界。

        序章3

      助けを求める声



 ーーー


 モニタールーム(会長さんが無茶ぶりしてたやつね)から本当に五分ほどで連絡がきて、竜神が向かったであろう屋上へと急いで三人で足を進めた。

 うん、走ってますが。チラッと地図を盗み見たところ、めっちゃ遠い。アイツあとでぶん殴ってやろう。

 というか、何で私も行かないといけないんだろう…

 「樹ノ下サン、会長に目をつけられたのが運のツキだったね!ドンマイ!」

 私の不満そうな顔を見て察したのか、会長さんに聞こえないよう鈴宮先輩に小声でコソッと、だがにこやかに言われ、苦笑するしかなかった。

 ドンマイ!じゃねーよ!コンチクショー!



 ーーー



 …長かった。いや、もう広すぎて萎える。授業で移動するときとか、どうするんだろう。そんなことをぼやぁっと考えながら、最高に機嫌が悪いであろう会長さんの後ろをついていった。


 体力があまりないんだと、鈴宮先輩が教えてくれました。まぁ、運動部とかじゃないとキツいと思う。そのくらいの距離はあった。

 会長が屋上のドアを開けると、広大な景色が見えた。


 こんな時じゃなかったらゆっくり景色見ながらお弁当でも食べるのに…と思いつつ、竜神を捜すために辺りを見渡す…が、見当たらない。

「どーいう、こと…フザケテルノ…」

 鈴宮先輩、なんか会長さんのオーラがこわいです。


 彼を見たら、口笛吹きながら明後日の方向を見ていた。

 この人知らんぷりした!ヒドイ!

 とりあえず会長さんが爆発する前に、竜神が屋上にいるとき大体どこら辺に隠れていたか、過去の記憶を遡る。


 ーーホントは嫌なんだけど。


 ………………ケ……テ………


 ん?何か聞こえたような。


 まぁ気のせいか。

 「あー先輩方、まだ見てないとこありますよね。多分あそこです」

 そう言って私は、ドアの反対側にある梯子を指差した。

 さっきから俯いて無言だった会長の目が光ったような気がした。

「鈴宮…連れてこい」

「へーい」


 何で鈴宮先輩は会長のドスの効いた声を聞いても平然としていられるのだろう。

 わたし、ちびるかと思いました。

 とにかく近くにいるとこわいので、鈴宮先輩に付いて梯子を登った。


「うわーお、大胆!」

 ……足蹴にしてもいいですか。

 梯子を登った先には、大の字で気持ち良さそうに寝ている竜神がいた。


 ………タ……………スケ……………


 また。何か聞こえる。これは…声?


「鈴宮先輩、何か言いました?」

「え?何の話?」

 うーん、やっぱ気のせいなのか、なぁ…

 何故だかすごく、胸騒ぎがした。


「んー揺すっても全然起きないなぁ。それより樹ノ下サン、先に降りてくれる?竜神くん降ろすから。…樹ノ下サン?」

「え、あ、はい。降ります」


 いかんいかん、ボーッとしてた。とりあえず梯子を降りた。会長は座って体力回復していたようだ。鈴宮先輩は、軽々と片腕に竜神を持って降りてきた。


「やっときたわね。もう時間もだいぶ過ぎてる。校長の話が長引いてれば間に合うと思うけど」

 雨が降る前に早く行きましょ、となんだかヤケクソな会長さんは立ち上がる。

 そういえば、随分周りが暗い…というか真っ黒?

 なんかおかしい。空が。いや、私達の周りがどんどん暗くなってる気がする。


 そして、どんどん視界がなくなっていく。

 えーと…何も見えないです。こわい。

「会長、なんか前が見えないんですけど大丈夫っすか?樹ノ下さんも、大丈夫?」

「え、ちょ、何これ…やだ!やだ!鈴宮!」

「あー大丈夫ですけどこわいです」

 パニクる会長さん可愛い。じゃなくて…


 ………………タスケテ、ユウシャサマ


 人の声が聞こえた。と同時に足元の床が無くなるのを感じる。


 「あ、これヤバイヤツ」

 鈴宮先輩の声が聞こえた時には、私たちは。

 「「きゃああああああああああああ!!!」」


 暗闇の中を落下していた。





 ーーーーーーー





 「ん…ったたた…」

 とりあえず生きているみたいだ。身体に不調とかはなさそう。背中が少し痛いくらい。

 そうだ、他の三人は。


 慌てて周りを見渡すと、私と同じように倒れていた。急いで傍に駆け寄り、心臓が動いているか確認する。

 …三人とも、無事みたいだ。良かった。私と同じくらい軽傷なら、じきに目も覚めるハズ。


 とりあえず。状況を把握しないと。


 辺りを見渡すと、私達は随分前に崩壊したであろう神殿跡地の真ん中にいるようだ。天井はなくなっているので、広範囲に太陽の光が射し込んでいる。


 さしずめ、パル○ノン神殿といったところか。まーあんな感じ。

 「外国…かなぁ…」

 神殿の外は、荒野しか見えない。


 んー?これ詰んでる?言葉とかわかんないよ…こりゃ困った。

「う…ってー…」

 うんうん唸っていたら鈴宮先輩が目を覚ましたようだ。

「先輩!大丈夫ですか?」

「…?おー樹ノ下サン。大丈夫。俺頑丈だからサ!それより…」

「…っあいたた…もう、なんなの…」

「会長!」

 ちょうど会長さんも目が覚めたみたいだ。よっぽど心配だったようで、鈴宮先輩は会長さんのところへすっとんでいってしまった。

 良かったー!会長に何かあったら…

 こ、こら!どさくさに紛れて抱きつくな!ばか!


 なんかいちゃついてる。あーいうの、いいなぁ…じゃなかった。竜神もそろそろ目が覚めるハズだし、起こしてやるか。

 そう思って竜神の傍に行って揺すってみる…が、起きない。

 …コイツ、この期に及んでまだ寝てるんじゃね?大体、元はといえばコイツのせいで…と思い出したら腹が立ってきたので、

「おーい起きろー」

 ゲシゲシと竜神を蹴りながら起こすことにした。


 あの子竜神くん蹴ってるわよ…頭でも打ったんじゃないの?こわいわね。

 いや、でもさっき話した時は普通でしたけどね~

 後ろで何やら言われている気がするがこの際気にしない。


「………う」

 蹴り続けた甲斐もあって、やっと目が覚めたようだ。ゆっくりと起き上がったがまだボーッとしている。


「目、覚めた?相変わらず寝起き悪いね、アンタ」

「………樹ノ下?お前、話しかけんなって言ったよな。何でいんの…ていうか腰のあたりがやたら痛い気がする」

「気のせい気のせい」

 サラッと流した。


 とりあえず、改めて現状の把握をするために私達四人は中心に集まった矢先。

「…だれ、この二人」

 竜神の疑問はそこからだった。




「そういえば、自己紹介とかしてなかったわね…。

  ななしまいずみ

 私は、奈々島伊澄。生徒会会長をしています。この春に三年生になったわ。改めて、樹ノ下さんと竜神くんよろしくね。」


   すずみやほくと

「俺、鈴宮北斗!一応、生徒会副会長!二年生だぞー二人ともよろしくな~」


「あー…竜神騎士。どうも」

「樹ノ下杏里です。よろしくお願いします、奈々島先輩、鈴宮先輩」

「で、何で俺たち四人こんなとこにいんの?」


 てめーを捜しに行ったらこうなったんだよ!って言いたい…

「あの、樹ノ下さん?声に出てるわよ…」


「えっ」


 やめてください皆でそんな目で見ないで。


「え、えーっと、竜神クン。かくかくしかじか…というワケでさ、俺たちも現状が良く解んないんだよ」

「ふーん…」

「アンタ、年上に対してその態度は…!」

「あーいや大丈夫だよ、樹ノ下サン!俺、そーいうキャラで気にしてないから!」

 …先輩がそう言うなら、しょうがないけど。昔から、こういうとこ全然変わってない。


 竜神はそんなやり取り見てないかのようにキョロキョロしたかと思えば、何かを考えているのか無言で立ち尽くしていた。


「…とりあえず、ここがどこかわかれば良いんだけれど」

 ウ~ンと三人で頭を抱えていると、竜神が一言。

「思ったんだけど、異世界なんじゃね。ここ」



 え。何いってんのコイツ。頭イカれた?

「…アンタらの顔で何を考えてんのかわかるけど」

 軽く苛立つのも無理はない。竜神以外の私達三人の顔は明らかにドン引きして彼を小バカにした顔だったからだ。


 彼は苛立つのを抑えつつ、言葉を続ける。

「まずあり得ねーだろ。黒い霧みたいなものに覆われたと思ったら落ちてたっていう状況が」

「…た、たしかに…でもそんな、非現実的なことが…」

 そう言いかけた私は、あることを思い出した。



 ……タスケテ ユウシャサマ……

 落ちる瞬間、聞こえた声。

 か細い声で助けを求める、そんな声。


 彼の推理はあながち間違いではないのかもしれない…




 

先輩二人のフルネームがやっと出ました。

次回から第一章。

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