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龍の傳人―光と闇の羅針盤(青木家サーガ第3作)  作者: 光闇居士


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5. 龍の覚悟

義成は、まだ、由紀に、すべてを、打ち明けてはいない。

彼が、青木義成であると、同時に、張義成でもある、ということも。

彼の、父と、母が、背負ってきた、壮絶な、人生の、物語も。

そして、彼が、この、平穏な、日常の、裏側で、どれほど、危険で、巨大な、闇と、対峙してきたか、ということも。

彼は、わかっていた。

自分が、過去の、すべてを、捨てたつもりでも、過去は、決して、彼を、手放しては、くれない、ということを。

中国共産党という、巨大な、怪物は、一度、敵と、認識した、人間を、決して、忘れることはない。

彼らは、今は、沈黙しているかもしれない。

だが、いつか、必ず、その、復讐の牙を、剥き出しにして、彼を、そして、彼が、愛する人々を、襲うだろう。

由紀と、共に、生きる、ということは。

彼女を、その、計り知れない、危険の中に、巻き込む、という、覚悟を、意味していた。

彼に、その、資格が、あるのだろうか。

再び、愛する人を、危険に晒し、そして、また、失うことになるのではないか。

その、恐怖が、時折、彼の心を、苛む。

だが、彼は、もう、逃げないと、決めた。

彼は、由紀の、その、穏やかな、寝顔を、見つめながら、静かに、誓った。

今度こそ、守り抜く、と。

この、光を。この、安らぎを。

たとえ、再び、自らが、龍となり、地獄の、業火の中に、身を投じることになったとしても。

彼の、魂の、羅針盤は、今、確かに、一つの、方向を、指し示していた。

それは、北でも、南でもない。

光でも、闇でもない。

ただ、中畠由紀という、一人の女性が、いる、場所。

それこそが、彼の、進むべき、道であり、生きる、意味なのだ。

これは、激動の、物語の、終わりではない。

これは、嵐の後の、凪。

次なる、さらに、巨大な、嵐が、訪れる前の、束の間の、しかし、かけがえのない、幸福の、時間。

皆よ、今は、しばし、この、二人の、穏やかな、愛に、心を、委ねてほしい。

そして、記憶してほしい。この、光の、眩しさを。

なぜなら、龍は、激動の戦場へと、これから呼び戻されるのだから。

彼が、守るべきものは、もはや、彼、一人の、魂だけではなかった。

愛する人の、未来、その、すべてなのだ。

彼の、本当の、そして、最後の戦いの一部始終を、これから皆に解き放そう。

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