4. 暗黒の独房
李霃帘は、彼女が持つ、すべての、権力と、コネクションを、使って、義成の、置かれている、状況を、探った。
そして、彼女は、戦慄した。
義成は、公式な、どの、拘置施設にも、収監されていなかった。
彼は、中央規律検査委員会の中でも、特に、過激で、野心家として知られる、董苅という、若手の、副書記が、独断で、管理する、北京郊外の、非公式な、「黒監獄」に、幽閉されていたのだ。
そこは、地図には載らない、法の支配が、一切、及ばない、暗黒の空間。
容疑者は、弁護士との接見も、家族との連絡も、許されず、ただ、終わりのない、拷問と、尋問に、晒される。
董苅は、今回の事件を、自らの、手柄とし、党内で、のし上がるための、絶好の、チャンスだと、考えていた。彼は、青木義成の口から、日本の、国家情報機関との、繋がりを、「自白」させ、それを、手土産に、最高指導部への、忠誠を、示そうと、企んでいたのだ。
そのためには、義成が、精神的に、壊れるまで、追い詰める必要がある。
そして、もし、彼が、最後まで、口を割らなければ…。
「不慮の、事故」として、この世から、消すことさえ、彼は、躊躇しないだろう。
それは、外交問題にさえ、発展しかねない、あまりにも、危険な、賭けだった。だが、野心家の董苅にとって、そのリスクは、成功した時の、リターンに比べれば、取るに足らないものだった。
李霃帘は、理解した。
これは、もはや、自分一人の手には、負えない、と。
彼女が、義成を、救い出すための、唯一の方法は、一つしかない。
自らの、パトロンであり、愛人でもある、河北省の、絶対的な、権力者、王書記に、すべてを、打ち明け、その、政治力に、すがるしか、ない。
だが、それは、彼女にとって、最大の、屈辱を、意味していた。
自分の、判断の、甘さを、認め、そして、一人の男のために、権力者の、愛人に、泣きつく。
彼女の、鋼鉄の、プライドが、それを、許さなかった。
彼女は、数日間、一人、苦悩し、葛藤した。
自分の、プライドを、守るのか。
それとも、あの、生意気で、しかし、どうしようもなく、魅力的な、龍を、救うのか。




