表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍の傳人―光と闇の羅針盤(青木家サーガ第3作)  作者: 光闇居士


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/92

第三部:龍、天を欺く 7. 奇蹟の、十分間

作戦決行の夜。上海の空には、厚い雲が垂れ込め、星一つ、見えなかった。

提籃橋刑務所の、特別医療棟。

「日中友好医療交流団」の、医師に扮した義成と、看護師に扮した王麗紅は、「紅」の、病室の前にいた。

中では、偽の「紅」が、麗紅の施術により、本物の、多発性硬化症患者のように、ベッドの上で、苦しげに、喘いでいる。

義成は、腕時計を見た。午後十一時、五十分。

すべては、これから、始まる、奇蹟の、十分間に、かかっていた。

同時刻。

刑務所の、まったく別の、厳重警備棟。

そこに、本物の、紅は、収監されていた。彼女は、長年の、過酷な拷問により、心身ともに、衰弱しきっていた。

その、彼女の、独房の扉が、音もなく、開かれた。

現れたのは、看守の制服を着た、二人の、屈強な男。彼らは、祖苑が、金で雇った、プロの、傭兵だった。彼らは、鳴風が、事前に、意図的に作り出した、警備の、ほんの僅かな隙を突いて、内部への、侵入に、成功していたのだ。

彼らは、衰弱した紅を、担ぎ上げると、音もなく、闇の中へと、消えていった。

鳴風が、システムの電源を落とした、西側の、塀へ。

そこには、一台の、偽装された、救急車が、待機していた。

一方、特別医療棟。

午後十一時五十五分。

「患者の、容態が、急変した!緊急搬送が必要だ!」

義成が、医師として、叫んだ。

病室に、担架が運び込まれ、偽の「紅」が、それに乗せられる。

彼らが、病室を出た、その瞬間。

義成は、病室の、ベッドのシーツの下に、仕込んでおいた、小さな、発火装置の、スイッチを、押した。

シーツが、激しい煙と共に、燃え上がる。

「火事だーっ!!」

けたたましい、火災報知器の、ベルが、鳴り響く。

刑務所内は、一瞬にして、大パニックに、陥った。看守たちが、消火活動と、囚人たちの、暴動鎮圧に、右往左往する。

その、完璧な、混乱の、中で。

義成と、麗紅、そして、偽の「紅」を乗せた担架は、誰にも、怪しまれることなく、刑務所の、正面ゲートから、堂々と、出ていった。

待機させていた、もう一台の、救急車に、乗り込む。

その、すべてが、わずか、十分間の、出来事だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ