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第二部:情欲の巣窟 2. 破壊の女王 ― 華々(カカ)



義成が、肉体と精神のメンテナンスを、聖なる癒しの女神・王麗紅に委ねていたとすれば、彼の、心の奥底に溜まった、破壊的な衝動と、獣のような欲望を、一切の建前なしに解放する場所もまた、必要だった。

それが、上海郊外の、巨大な総合娯楽施設「ゴールデン・ドラゴン・パレス」の、最上階にある、超VIP専用のサウナだった。

そこは、法の及ばない、治外法権の空間。金と権力を持つ男たちが、その、最も醜悪な欲望を、白日の下に晒す場所だった。

そのサウナの、女王として君臨していたのが、華々(カカ)という名の、小姐シャオジエだった。

挿絵(By みてみん)

彼女は、まだ二十歳そこそこだったが、その妖艶さと、男を堕落させる手練手管は、伝説的ですらあった。長い手足、引き締まったくびれ、そして、何よりも、一度見たら忘れられない、挑戦的な、肉食獣の瞳。彼女は、男に媚びない。むしろ、男を、挑発し、試す。そして、自分の価値を認めさせた男にだけ、その、野生的で、底なしの肉体を、許した。

義成は、腐敗官僚・馬東との関係を深める中で、この、秘密のサウナの存在を知った。馬東は、自らの権威を誇示するように、得意げに、義成をこの場所に案内したのだ。

「青木社長、ここが、男の天国だ。そして、あの華々という女を、モノにできた時、男は、本当の皇帝になれるのだ」

義成が、初めて華々と出会った時、彼女は、彼を、鼻で笑った。

「ふん、また、日本の、線の細いお坊ちゃんか。あんたに、アタシを満足させられるわけ?」

彼女は、バスローブ一枚の、挑発的な姿で、彼の目の前に立ち、その顎を、指でくい、と持ち上げた。

義成は、笑った。そして、彼女の腕を掴むと、力強く引き寄せ、その、反抗的な唇を、問答無用で、奪った。

挿絵(By みてみん)

「…っ!?」

華々は、驚きに目を見開いた。だが、彼女は、抵抗しなかった。むしろ、その瞳の奥に、面白い獲物を見つけた、という、興奮の光が灯った。

「…いい度胸じゃない。気に入ったわ。今夜、あんたを、試してあげる」

その夜、サウナに併設された、豪華なプライベートルームで、二人の、獣の交わりが、始まった。

そこには、王麗紅との儀式のような、繊細さも、神聖さも、一切なかった。

薄暗い静寂が、キングサイズのベッドに横たわる義成を包み込んでいた。彼の視線が注がれる先、天井の闇から二本の深紅の縄が、まるで生き物のようにしな垂れている。そこに、一条のスポットライトが射し込み、磨き上げられた一本の彫刻のような、官能的な裸体が浮かび上がった。

ポールダンサーのように、彼女は重力に逆らい、その滑らかな脚を深紅の縄に絡ませている。ゆっくりと、しかし決して止まることなく、回転しながら義成の元へと舞い降りてくる。一回転するごとに、長く艶やかな髪が宙を描き、肌を伝う汗がきらりと光を反射する。その様は、天から降臨する女神か、あるいは心を惑わす妖精か。

挿絵(By みてみん)

義成の吐息がかかるほどの距離で、彼女の降下は止まる。挑発的に細められた瞳が、じっとりと義成を射抜く。濡れた唇がゆっくりと開き、彼の龍を咥えた。その瞬間、世界の時間が止まったかのような錯覚。

次の瞬間、彼女は縄の束縛から身体を解き放つ。逆方向への強烈な解放。遠心力だけが彼女の唯一の支配者となり、義成を咥えたまま、目も眩むほどの高速回転が始まった。乱れる髪、飛び散る汗、そして彼女の恍惚とした表情が、残像となって義成の目に焼き付く。

「これが、馬東が言っていた、男たちを虜にする彼女の技か…」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

義成の意識が、その官能の渦に飲み込まれていく。熱く、激しい回転は、何度も、何度も繰り返された。まるで永遠に続くかのように。そして、義成の理性が、そのすべてを解き放つまで…。

昂ぶりの余韻がまだ部屋の熱気として漂う中、義成の視線はシーツの海に横たわる華々に釘付けになっていた。

ゆっくりと身を起こした彼女の顔が、間接照明にぼんやりと照らし出される。そこには、先程までの激しさを物語るように、濡れた光沢を放つ深紅のルージュが、わずかに乱れていた。そして、そのふっくらとした下唇から一筋、真珠のような白い雫がこぼれ落ち、艶めかしいコントラストを描いている。

華々は、その雫を拭うこともなく、挑発的な笑みを唇の端に浮かべた。そして、猫のようにしなやかな動きで身を翻すと、ベッドの上で四つん這いになる。乱れたシーツの上に、彼女の滑らかな背中のラインがくっきりと浮かび上がる。

次の瞬間、義成の視線に、キュッと引き締まった豊満な臀部が突き出された。光と影がその完璧な丸みに官能的な陰影を落とし、まるで熟れた果実か、あるいは最高級の大理石で彫られた彫刻のようだった。それは、左右にゆっくりと揺れる、生き生きとした誘惑。

しかし、義成はその挑発の渦に安々と飲み込まれる男ではなかった。彼の目にあったのは欲望に曇った熱ではなく、極上の演目を鑑賞する支配者のような、冷静な愉悦の色だった。

華々が仕掛ける無言の誘いを、彼は薄い笑みで受け止める。そして、ゆっくりと手を伸ばした。その力強い指が彼女の腰のくびれに触れると、華々の身体が期待にぴくりと震える。

義成は、抗うことを許さない確かな力で、その豊満な果実をぐっと自分の方へと引き寄せた。

宴の主導権はどちらにあるのか。その答えは、もはや言うまでもなかった。義成は、その挑戦に、応えた。彼は、猛獣のように、彼女の背後から襲いかかり、その、豊かな黒髪を掴むと、力任せに、自らの硬い欲望を、彼女の、熱く湿った秘部へと、突き入れた。

「あああっん!!」

華々の口から、苦痛と、快感の入り混じった、甲高い嬌声が迸った。

「どうした、女王様。もう、終わりか?」

義成は、彼女の耳元で、嘲るように囁きながら、その腰を、容赦なく、激しく、突き上げた。

それは、もはやセックスではなかった。支配と、服従をかけた、闘争だった。

二人は、罵り合い、互いの体に、歯形や、爪痕をつけ、そして、相手のすべてを、自分のものにしようと、貪り合った。

華々は、義成の、底なしのスタミナと、その支配的な力に、徐々に、そのプライドを打ち砕かれていった。彼女は、生まれて初めて、自分を、完全にねじ伏せることのできる「雄」に出会ったのだ。

「…ま、参った…あんた、最高よ…!」

夜明け前、汗と体液にまみれ、ぐったりとベッドに沈む華々は、恍惚の表情で、呟いた。

義成は、彼女の隣で、荒い息を整えながら、タバコに火をつけた。

この、破壊的なセックスは、彼にとって、必要な行為だった。日々の、知的な戦いで溜まった、暴力的なエネルギーを、解放するための、浄化の儀式。ここで、獣になることで、彼は、昼間の、冷静で、冷徹な仮面を、保ち続けることができたのだ。また、これは馬東から互いの性快楽を共有し合う一種の儀式でもあるのだ。義成はそれを、華々を徹底的に自分の方に引き寄せた。

そして、この場所は、彼にとって、最高の情報収集の場でもあった。

華々の、巧みな枕営業に、上海の権力者たちは、いとも簡単に、国家の機密事項さえ、漏らした。

「ねえ、義成。面白いことを、聞いたわよ。あの、馬東の奴、最近、軍の、新しい通信システム開発の利権に、一枚噛もうとしてるらしいわよ…」

華々は、義成の腕の中で、猫のように喉を鳴らしながら、貴重な情報を、彼に貢いだ。

義成は、彼女の体を、快楽の道具として、そして、情報収集のツールとして、最大限に、活用した。

彼の中に、罪悪感は、なかった。憐憫の情も、なかった。

これは、ゲームなのだ。そして、ゲームに勝つためには、あらゆる駒を、非情に、使いこなさなければならない。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

こうして妖艶の華華は義成の性のはけ口と裏の情報網となった。


【しおの】

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