父伯爵の苦笑い
「私は冒険者になるっきゅ!!」
「駄目だっきゅ!!」
「うっきゅー!!」
「うきゃー!!」
リーゼとバーバラは言い合いになると、威嚇のポーズをして睨み合う。
「もうすぐ夕食の時間になりますきゅ。お嬢様、ドレスに着替えてください」
先に戻ったのはバーバラの方だった。
「むっ!!」
リーゼはぷくうと頬を膨らませる。
リーゼは他のメイド達によってドレスに着替えるのだった。
バーバラは溜め息をつくと、リーゼの部屋を出てある部屋と向かう。
向かったのは当主の執務室。
この時間は王城に務める伯爵が帰って来ていた。
コンコンコンッ
「誰だ?」
「バーバラです」
ノックすると声が聞こえバーバラが答える。
「入りたまえ」
「失礼致します」
許可を貰ったので、バーバラは中へと入った。
「またリーゼの事か?」
机から立ち上がったチビエマがバーバラに聞く。
リオン・ポッマ・エリシェンド(35)。エリシェンド伯爵家当主で、リーゼの父。
王宮魔術師として日々王宮に出仕している。
「はい、お嬢様はまた冒険者にはりたいと仰有ってまして……決意は固いようなのです」
困った顔をしてバーバラはリオンに答える。
「妻ビオーナも冒険者と、貴族の両立をしていた。血は争えんな」
リオンは机に飾る一人のチビエマの写真を見て苦笑いする。




