初めての街
「うっきゅ。ちゃんと装備したきゅね」
アクセルはリーゼを見て満足する。
「今日は宜しくっきゅ」
「うっきゃ、では行きましょう」
ペコリとリーゼが頭を下げると、アクセルが満足して頷く。
アクセルとリーゼが部屋から出ると、バーバラがその後を追い掛ける。
……有給申請して良かったきゅ。アクセルだけじゃ心配きゃ。
バーバラは追い掛けることにした。
屋敷を出ると、アクセルと共にリーゼは初めて貴族街に出る。
「うっきゃあ……。あっちはマダムババロアのデザインショップ、こっちはスイーツ職人ギルドのスイーツ店、あれなんか王族専用シェフがオーナーを務めるレストラン【おしくらまんじゅう】だっきゅ!!」
あちこち見てリーゼは目をキラキラさせる。
「リーゼお嬢様、冒険者ギルドは平民街にあるきゅ」
微笑ましくリーゼを見詰めつつ、アクセルは答えた。
「平民街……今まで一度も見たことないっきょ!!」
更にリーゼはキラキラと目を輝かせる。
「では、この門の先だきゅ」
アクセルが笑って言うと、門番がゆっくりと開けた。
「うっきゃあ~~!!」
リーゼの目に映ったのは……
「安いよ安いよ!!今朝採れた大根が半額の10ゼニだよ!!」
「こっちは今朝獲れたサンマだよ!!今ならスルメイカもおまけでついてなんと150ゼニ!!」
市場の活気に満ちた声掛けだった。




