第7話「修行は地獄、友達は天使…と思ったら地獄だった」
翌朝。
俺、アリア、リリアの三人は町外れの訓練場にいた。
アリア「はぁぁ……気が重い……」
リリア「言っとくけど今日から本気で鍛えるわよ。
昨日みたいに狙われるなら、最低でも“自衛できる”くらいの魔法力は必要だもの」
俺「アリア、頑張るしかないな」
アリア「が、頑張るけど……私ほんと才能ないんだよぉ……」
そこへ、地響きのような声が飛ぶ。
グラン「――よし、まずは腕立てだ」
アリア「え!? 魔法修行じゃないの!?」
グラン「魔力は体力だ!」
リリア「(始まったわね……グラン流スパルタ)」
俺「アリア、南無……」
アリア「助けてよぉぉぉ!!」
⸻
◆地獄の修行開始
グラン「腕立て100回!
できたら魔力操作の基礎を100回!
終わったら走ってこい!」
アリア「う、腕立て無理ぃぃ!! 3回で限界っ!!」
グラン「じゃあ200回だ」
アリア「なんで増えるのぉぉぉ!!?」
俺「グラン、絶対性格悪いだろ」
リリア「だけど効果は抜群なのよね……」
アリア「助けてスライムううう!!」
俺「見守るしかできねぇ……」
アリアは泣きながら砂地を這い、腕立てをし、
手のひらで魔力をぐちゃぐちゃに暴発させながら転がっていた。
アリア「むり……無理……ぜったい無理……」
リリア「アリア! 魔力の流し方は“細く、一定”よ! そんなに一気に押し出したら――」
ばふっ!!!
(いつもの爆発)
アリア「いやああああああ!!」
俺「今日の爆発はちょっと豪華だな」
リリア「褒めるとこじゃない!!」
⸻
◆修行の成果……?
三時間後。
アリア「……し、死ぬ……」
俺「いや生きてる。まだ目開いてるもん」
リリア「でも……ちょっと魔力の流れ、前より整ってるわよ」
アリア「え……ほんと……?」
リリア「ほんとほんと。
魔法はセンスもあるけど……練習量がすべてよ」
アリアは少しだけ笑った。
アリア「じゃあ……私も、二人の役に立てるかな……?」
俺「立てるに決まってるだろ」
リリア「もちろんよ」
アリア「……うん、もっと頑張る!」
その時だった。
ぱち、ぱち……
拍手の音。
???「すごい……あなた、頑張り屋さんなんだね」
三人が振り向くと――
白いワンピース
銀色の髪
表情のない白い仮面
白面の少女が立っていた。
アリア「あ……こんにちは……?」
白面「……アリア、さん……ですよね?」
アリア「え、えっと……はい。
あの、誰……?」
白面「私はリオ。
ただの旅人です……でも、アリアさんの魔力が見えて……つい、声をかけてしまって」
リオ(白面)は静かに微笑む。
仮面越しの声は優しくて、耳に優しい響きがあった。
リオ「あなた、とても綺麗な魔力を持ってる。
だから……もっと力になりたいなって」
アリア「え……綺麗……?」
その言葉に、アリアの頬が赤くなる。
アリア「そんな……初めて言われた……」
リリア(ちょっと待って嫌な予感しかしない)
俺「おいアリア、気をつけろよ。
見た目で判断しちゃダメだぞ」
リオ「ふふ……私は味方ですよ。
アリアさんが“もっと魔法を使えるように”なる方法……教えてあげられます」
アリア「わ、私に……?」
リリア「ちょっと待ちなさい。あなた、何者?」
リオは首をかしげる。
リオ「ただの旅人ですよ。
アリアさんの“友達になりたいだけ”」
アリア「とも、だち……?」
リリア(引っかかってる!?)
リオはアリアの手をそっと取る。
リオ「また会いに来ますね。
アリアさんの魔法が……“もっと強くなる手伝い”をしたいから」
アリアは戸惑いながらも、うなずいた。
アリア「……は、はい……」
リオは踵を返して去っていく。
音も気配もなく、影のように。
去ったあと、沈黙。
俺「……なぁリリア」
リリア「……うん。
絶対あれ敵よ。」
アリア「えっ!? ど、どこが!? とても優しかったよ!?!?」
俺「アリア……優しいやつが敵の可能性もあるんだぞ……」
リリア「むしろ一番危ないタイプよ!!」
アリアは少しだけ寂しそうに首をかしげた。
アリア「でも……誰かが“綺麗な魔力”って言ってくれたの、初めてで……
友達、できたらいいなって思っただけ……」
俺とリリアは顔を見合わせる。
リリア「……アリア。
友達になるのは悪くないけど、私たちの前で話すこと。
絶対に一人にならないこと」
アリア「……うん。わかった」
俺(あの白面……アリアを狙ってるのは確実だ)
修行の汗が乾くころ、
空は夕焼け色に染まり始めていた。
アリアの瞳には、
不安と、憧れと、少しの期待が入り混じっていた。
その瞳が、
これからどんな未来を見るのか――
まだ誰にもわからない。
(第7話・終)




