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第31話『幹部殲滅作戦、開始』

第4章


【プロローグ】『世界崩壊まで48時間』


――空が、鳴った。


それは雷でも、爆発でもない。

世界そのものが悲鳴を上げた音だった。


黒雲に覆われた空一面に、

巨大な魔法陣が浮かび上がり、赤黒く脈動している。


アリア

「……あれが、影王の術式……?」


リオ

「スケールが桁違いだ……

 国どころか、大陸ごと飲み込む気かよ……」


ユウト

「……いや、もっとだ」


蒼核が低く唸る。

嫌な予感が、骨の奥まで染み渡る。


ユウト

「あれは“世界更新術式”。

 成功したら――この世界は、書き換えられる」


アリア

「書き換え……?」


ユウト

「影王の都合のいい世界に、だ」


沈黙。


遠くで、都市の警鐘が鳴り始める。

避難を告げる鐘。

恐怖と混乱が、世界中に波及していく。


リオ

「……どれくらい時間がある?」


ユウトは空を見上げ、静かに答えた。


ユウト

「48時間。

 それ以上は、持たない」


アリア

「……48時間で、影王を止める」


リオ

「止めるだけじゃ足りねぇ。

 “ぶっ倒す”だろ?」


ユウト

「その通りだ」


その時、蒼核と紅核が同時に光り、

脳裏に映像が流れ込む。


――各地で暴れ始める影獣。

――陥落していく都市。

――必死に逃げ惑う人々。


アリア

「こんなの……放っておけない……!」


ユウト

「だから動く。

 影王の計画を、根元から潰す」


リオ

「つまり?」


ユウト

「影法師幹部の殲滅。

 術式の要を全部壊す」


アリア

「無茶だけど……やるしかない」


リオ

「いいねぇ。

 世界を救うカウントダウンってやつか」


ユウトは拳を握りしめる。


ユウト

「俺はこの世界に――

 逃げるために転生したんじゃない」


蒼核が、強く輝いた。


ユウト

「守るために来た」


アリア

「……うん」


リオ

「じゃあ行こうぜ、英雄様」


ユウト

「英雄じゃない。

 ただのスライムだ」


三人は並び、崩れかけた街を見下ろす。


赤黒い空の下――

世界崩壊まで、残り48時間。


時計の針が、音を立てて動き出した。

――夜明け前。

赤黒い空の下、三人は崩れた都市の高台に立っていた。


ユウト

「影王の術式は、多重構造だ。

 支点は全部で――四つ」


アリア

「四人の幹部……」


リオ

「全員、生きて帰る気で行くぞ」


ユウト

「ああ。だが油断はするな。

 どいつも“黒翁”以上だ」


蒼核が地図状の魔力投影を空中に描く。


ユウト

「第一目標――

 東部:《血喰いの修女ブラッド・ノン》」


アリア

「……嫌な名前」


リオ

「いかにもだな」


ユウト

「人の命を糧に術式を維持してる。

 止めなきゃ、街が一つ消える」


アリア

「行こう。今すぐ」



――東部廃聖堂。


かつて祈りに満ちていた建物は、

今や血と黒魔法で汚染されていた。


???

『……来ましたか。

 蒼の転生者、炎姫、剣士』


奥から現れたのは、

白衣を血で染めた修女。


ブラッド・ノン

『あなたたちの血も、

 きっと美味しいでしょう』


リオ

「うわ……完全にイカれてる」


ユウト

「アリア、気をつけろ。

 こいつは“吸収型”だ」


ブラッド・ノン

『祈りましょう。

 ――《血界礼拝けっかいらいはい》』


床一面に血の魔法陣が広がる。


アリア

「足元が……!」


ユウト

「跳べ!!」


三人が宙へ躍ると同時に、

血の槍が無数に突き上がる。


リオ

「初手から全力かよ!!」


ユウト

「俺が切り開く!」


《無詠唱魔法》――《蒼裂連斬》!!


蒼光が聖堂を横断し、

血の槍を粉砕する。


ブラッド・ノン

『素晴らしい……!

 もっと……もっと血を……!』


彼女の背後から、

無数の血の手が伸びてくる。


アリア

「……気持ち悪い」


紅炎が静かに燃え上がる。


アリア

「ユウト、リオ。

 私が焼く」


ユウト

「任せた」


アリア

「――《紅炎解放・灼浄》」


紅い炎が聖堂を包み、

血の魔法陣を一気に浄化していく。


ブラッド・ノン

『ああ……私の……祈りが……』


リオ

「今だ!!」


リオが一気に距離を詰め、

渾身の一撃を叩き込む。


リオ

「――終わりだッ!!」


剣が閃き、

修女の身体が光に包まれる。


ブラッド・ノン

『……影王様……

 どうか……世界を……』


その声は、消えた。


――東部支点、崩壊。



聖堂の外。


アリア

「……終わった」


ユウト

「一つ目、完了だ」


リオ

「でも残り三つ。

 時間も……」


ユウト

「急ぐぞ。

 次は――」


蒼核が強く脈打つ。


ユウト

「南部:《獣王バルガス》。

 正面衝突になる」


リオ

「望むところだ」


アリア

「……気を抜かないで。

 ここからが、本当の地獄」


三人は、次の戦場へ走り出す。


赤黒い空の下――

世界崩壊まで、残り41時間。


【エピローグ】『獣王、咆哮』


――大地が、唸った。


聖堂を離れ、南へ向かう途中。

遠くの山脈から、空気を震わせる咆哮が響き渡る。


リオ

「……今の、聞こえたか?」


アリア

「ええ。

 胸の奥まで……来る」


ユウト

「間違いない。

 獣王バルガスだ」


蒼核が警鐘のように脈打つ。


ユウト

「あいつは、力そのものが支点。

 倒さなきゃ、術式は止まらない」


リオ

「つまり――真正面から殴り合い、か」


ユウト

「逃げ道はない」


アリア

「……ユウト」


ユウト

「分かってる。

 危険なのは俺たち全員だ」


三人は、山の麓で立ち止まる。


そこには――

木々がへし折られ、岩が砕け、

巨大な足跡が刻まれていた。


ズゥン……ズゥン……


重低音の足音。


霧の向こうから、

山のような巨体が現れる。


バルガス

『来たか……小さき者ども』


獣王バルガス。

獅子の頭、熊の胴、竜の鱗を持つ魔獣王。


リオ

「でっか……!」


アリア

「魔力、黒翁の比じゃない……!」


ユウト

「覚悟しろ。

 ――一撃も、もらうな」


バルガスが爪を鳴らす。


バルガス

『影王様の世界に、不要な存在がまた増えたな』


ユウト

「俺たちは、消えない」


バルガス

『ならば――』


獣王が天を仰ぎ、

肺いっぱいに空気を吸い込む。


バルガス

『吼えろ、我が魂――《獣王咆哮》!!』


咆哮が衝撃波となり、

山肌が崩れ落ちる。


アリア

「きゃっ……!」


ユウト

「耐えろ!!」


三人は必死に踏ん張る。


バルガス

『この一声で、

 貴様らの意志ごと砕いてくれる』


ユウト

「……上等だ」


蒼核が激しく輝く。


ユウト

「吼え合おうじゃねぇか。

 ――俺たちの覚悟を!!」


三人は、咆哮の中心へ踏み出した。


赤黒い空の下、

決戦の火蓋が切って落とされる。

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