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第30話『黒翁戦開幕/アリアの紅炎解放』

【プロローグ】『青と紅、運命の灯火』


――空を裂き、蒼い光が走った。


夜空を貫く蒼い残光は、

まるで星が尾を引きながら落ちていくようだった。



黒塔の最上階。

鎖に縛られたアリアは、かすかにその光を感じていた。


アリア

「……この光……ユウト……?」


震える指先が、強く握りしめられる。


アリア

「ごめんね……私、弱かった……

 でももう、泣いてるだけじゃ終われない」


瞳の奥に、紅い魔力が揺らぎ始める。


アリア

「私も行く。

 たとえ全部失っても、私は――あの人を守る」


重く閉ざされていた心の扉が、

キィ、と音を立てて開いた。


響き渡る紅い脈動。


???(塔の外)

「……目覚めたか、“炎姫えんき”アリア」


不気味な笑い声。

黒い仮面の男――影法師幹部《黒翁こくおう》が

塔の外壁に立ち、アリアの紅光を見下ろしていた。


黒翁

「だが無駄だ。

 “影王”様の計画は既に完成している」


アリア

「私は……ユウトを信じる」


黒翁

「信じるだけで世界が救えるなら、

 誰も苦しまぬわ」


黒翁が指を鳴らすと、

鎖が赤黒く光り、アリアの身体に激痛が走る。


アリア

「く……ッ!!」


黒翁

「抗うほど苦しみは増すぞ。

 絶望してこそ、真の力は開花する」


アリア

「なら私は絶望しない。

 私は――希望を選ぶ!」


その瞬間、

塔の外から蒼い光が爆音と共に突入した。


ガァァァン!!!


ユウト

「アリアァァァ!!!」


黒翁

「来たか。蒼のスライムよ」


アリア

「……ユウト」


蒼い光の翼が舞う。

ユウトは一歩前へ踏み出し、

アリアを守るように立ちはだかる。


ユウト

「迎えに来た」


アリアの瞳から、涙がひと粒こぼれた。


アリア

「遅いよ……バカ……」


ユウト

「悪い。迷ってた。

 でももう――迷わない」


黒翁

「感動劇は終わりだ。“決戦”を始めよう」


影が膨れ上がり、黒翁の背後から

無数の黒い化物が出現する。


ユウト

「上等だ。

 全部まとめて――倒す!!」


蒼光と紅炎が交差する。


アリアの瞳が燃え上がるように輝く。


アリア

「私も戦う。

 もう、隠れてなんていない」


ユウト

「一緒に行こう、アリア」


二人

『絶対に、負けない!!!』


光と影の戦いの幕が上がる――。


黒塔最上階――。

蒼光と紅炎が、黒い闇の中で激しく揺れた。


黒翁

「滑稽だな、転生スライム。

 人間ひとり助けるために、世界を敵に回すか」


ユウト

「世界全部を敵に回してでも――守るって決めたんだよ!」


黒翁

「その意思、砕け散れ」


黒翁が片手を払うと、

黒い魔力の渦から 影獣えいじゅう が次々と出現した。

狼、巨鳥、重戦士……その数は数十体。


リオ

「ははっ……派手に呼んだな……!」


ユウト

「リオ、いけるか?」


リオ

「あったり前だ!!

 死ぬまで戦うのが親友ってやつだろ!」


ユウト

「死ぬなよ!?」


リオ

「やかましい!」


影獣たちが一斉に吠え、襲いかかる。


ユウト

「――来いッ!」


蒼核が輝き、蒼光剣が手に生まれる。


《無詠唱魔法》――《ソニックブレード》!


蒼い斬撃が光の槍となり、

影獣をまとめて吹き飛ばした。


リオ

「おいおい、チートかよ!」


ユウト

「まだまだいくぞ!!」


次の瞬間、黒翁が詠唱を開始する。


黒翁

「――《黒界解放こっかいかいほう》」


地面が黒い沼へと変わり、全てを飲み込み始めた。


ユウト

「くそ……足がっ!」


黒翁

「影に触れたものは、存在を削り取られる。

 このまま永遠に沈むがいい」


ユウト

「まだ終わってねぇ!」


しかし蒼光剣を振り上げようとした瞬間、

影の鎖がユウトの腕を絡めとる。


ユウト

「ぐっ……動かない……!」


黒翁

「口だけは立派だが、所詮はスライムよ」


アリア

「――ふざけないで」


静かな声が、蒼と影の戦場に響いた。


黒翁

「目覚めたか、“炎姫”」


アリアの目に宿る光は、

もう迷いも涙もなかった。


アリア

「私は弱くない。

 ユウトは、ひとりにしない」


紅炎がアリアの手に集まり、

炎が形を変えて紅い刀となる。


ユウト

「アリア……!」


アリア

「ユウトを傷つけるなら――」


全身から紅炎が爆発する。


アリア

「私は、世界を焼く!!」


紅い炎柱が塔の天井を突き破り、

影の沼を蒸発させるほどの熱量を放った。


黒翁

「馬鹿な……この魔力は……

 “紅核こうかく覚醒”か!!」


アリア

「ユウト、立って。

 ふたりなら、勝てる」


ユウト

「……ああ。

 待たせてごめん。行こう、アリア」


黒翁が両手を広げ、影が荒れ狂う。


黒翁

「ならば力の全てを見せてやろう!

 ――《影魔獣融合えいまじゅう ゆうごう》!」


影獣たちの体が黒翁の身体に吸収され、

巨大な影の魔神が姿を現した。


影魔神

『滅びよ、人間共――ッ!!』


アリア

「ユウト!」


ユウト

「分かってる!」


二人は並び立つ。


ユウト

「蒼光、全開!!」


アリア

「紅炎、解放!!」


二人

『――《デュアルコア・オーバードライブ》!!!』


蒼光と紅炎が合流し、

巨大な灼光の刃となって魔神へ向かう。


影魔神

『無駄だ!!!』


ユウト

「無駄じゃねぇ!!」


アリア

「絶対に負けない!!」


二人

「うおおおおおおッ!!!」


灼光が影魔神を切り裂き、

塔の上空に眩い爆光が広がった。


――そして、黒い巨体は光の粒となり消えた。


黒翁(砕けた仮面の奥で)

「……よくぞここまで。

 だが忘れるな……

 お前たちの戦いは――」


黒翁

「今、始まったばかりだ」


黒翁は闇に溶け、消えた。


アリア

「ユウト……ありがとう」


ユウト

「ありがとうは俺のセリフだ。

 助けてくれて、ありがとう」


アリアは微笑み、ユウトは手を差し出す。


ユウト

「一緒に戻ろう」


アリア

「うん――帰ろう、みんなの元へ」


二人の手が触れた瞬間――

塔全体が大きく揺れ、崩れ始める。


リオ

「おい!! 撤退だ!!」


ユウト

「行こう、アリア!!」


アリア

「うん!!」


蒼光と紅炎を引き連れて、

三人は崩れゆく塔から飛び出した。


【エピローグ】『影王、目覚める』


――黒塔の崩壊が、夜空に響き渡った。


瓦礫が流星のように落ち、

塔の残骸が黒い砂となって消えていく。


ユウト、アリア、リオの三人は

瓦礫の山に着地し、大きく息をつく。


リオ

「っはぁ……っはぁ……

 生きてる……?俺たち生きてるよな……?」


ユウト

「ああ。死ぬにはまだ早い」


アリア

「ふふ……本当に無茶するんだから」


ユウト

「そっちこそ。

 ――ありがとう、アリア」


アリアは少し顔を赤らめ、目をそらす。


アリア

「べ、別に……助けたかっただけ」


リオ

「どっちにしろ最高のタイミングだったよ。

 紅炎覚醒とか、マジで反則」


アリア

「……私も、まだ全然だよ。もっと強くならないと」


ユウト

「なら、一緒に強くなろう」


アリア

「うん」


三人の間に、温かな静寂が流れた――

その時だった。


――ズゥゥゥゥン……ッ


地鳴りのような低音が大地を震わせる。

空気が凍りつくような“圧”が世界を覆う。


リオ

「……何だ、この魔力……」


アリア

「息、できない……ッ」


ユウト

「これは……違う。

 さっきの黒翁とも、影獣とも違う……」


突然、空が裂けるように黒雲が渦巻き、

巨大な影の門が開いた。


門の奥から、

黒い玉座がゆっくりと姿を現す。


そして――


???

『騒がしいな。

 ただの小競り合いにしては、随分と光った』


玉座に座る男が立ち上がる。

黒い王衣、顔を覆う白の仮面、

全ての魔力を呑み込むような漆黒の気配。


リオ

「まさか、あいつ……!」


ユウト

「――影王かげおう


影王

『よくここまで来た。

 称賛してやろう、蒼の転生者よ』


ユウト

「……アリアを奪ったのはお前だな」


影王

『ああ。

 そして次に奪うのは――“世界そのもの”だ』


影王が指を鳴らす。


カチッ。


大地全体が震え、

空に巨大な魔法陣が浮かび上がる。


アリア

「こんなの……起動したら世界が……!」


影王

『止めたいなら、力で示せ。

 お前の“覚悟”とやらをな』


ユウトは一歩前に出る。


ユウト

「望むところだ。

 逃げる気なんて一秒もねぇよ」


影王

『ほう?その目……悪くない。

 では――待っていろ。

 次はお前たちの番だ』


影王の姿は闇に溶け、消えた。


残された魔法陣が、赤く脈動する。


ユウト

「……ついに本番だ」


アリア

「怖いけど……逃げない」


リオ

「覚悟決めろよ、相棒」


ユウト

「決まってる。

 必ず――勝つ。

 世界と、仲間と、未来のために」


蒼核と紅核が同時に光を放つ。


三人

『――さあ、反撃だ』


夜空の下、決戦の幕が上がる。


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