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第27話『蒼核人格との初対面』

【エピローグ】『蒼核、第二段階』


──暗黒の空が、不気味にざわめいた。


影王領域の最奥へと続く大峡谷。

その中心に立つユウトの胸で、蒼核がまた脈動する。


ドクン……

ドクン……ドク……!


ユウト

「……ッ、また来た……!」


アリア

「ユウト! しっかりして……!」


蒼核の光が先ほどよりも濃く、深く、そして鋭い。

まるで“何か”が殻を破ろうとしているような――そんな危うさ。


リオ

「……間違いない。

 蒼核が“第二段階”へ移行しようとしている」


アリア

「第二段階……って、どういうこと?」


リオ

「本来、蒼核は三段階に分かれて覚醒する。

 一段階は既に持っていた“高速成長と魔力吸収”。

 そして第二段階は――」


ユウト

「……なんだよ……」


リオ

「**“自律思考・蒼核人格の発生”**だ」


アリア

「人格……!?

 つまり、核が……ユウトの中に“もう一人”生まれるってこと……?」


リオ

「そうだ。

 蒼核は強すぎるため、持ち主の精神を守るために“代理人格”を生む。

 だが……場合によっては、それが持ち主を支配する」


アリア

「そんな……!」


ユウト

「おいおい、冗談じゃねぇぞ……

 俺の中にもう一人?

 しかも乗っ取ってくる可能性ありって……!」


リオ

「だが避けることはできない。

 第二段階に入った時点で“発生”は確定だ」


蒼核がまた強く光り、ユウトの影が地面に滲み、形を変えた。


アリア

「ユウトの影が……!」


ユウト

「……勝手に動くなよッ!」


影はフラリと揺れ、ユウトとは別の表情を見せる。

その瞳に宿るのは――蒼く、冷たい光。


蒼い影

『…………』


アリア

「……ユウト……じゃない……?」


影は声を発しない。

ただ静かに、しかし確実に“存在”している。


リオ

「これが……蒼核人格の原型か」


影の王の声が遥か遠くから響いた。


影の王

『蒼の核よ……

 その目覚め、実に愉快……』


ユウト

「黙れ……!」


影の王

『いずれ分かる。

 貴様自身の深淵が、いかほどの“闇”かをな……』


蒼核が激しく脈打つ。


アリア

「ユウト! 行こう!

 影王の心臓部はもうすぐ――

 ここで立ち止まったら、核に飲まれる!」


ユウト

「……わかってる。

 俺は俺だ。

 人格がいくつ生まれようが……絶対に自分を手放さない」


リオ

「目標はただ一つ。

 影の王を倒し、アリアの呪縛を解き、ユウトの核を安定させる」


三人の視線が前を向いた瞬間――


蒼い影が、ユウトの背後へゆっくり寄り添った。


まるで「これから離れない」と告げるように。


ユウト

「……ったく。

 妙な同居人ができちまったな」


アリア

「ユウト……絶対に、負けないで」


ユウト

「当たり前だ。

 ここからだろ、第2章の……本当の地獄は」


蒼核の亀裂が、静かに広がり始める。


影王領域・最奥へ続く廃れた大回廊。

壁は脈打つ影で覆われ、地面は青白い光の筋が走っている。


ユウト・アリア・リオの三人は慎重に奥へ進んでいた。


だが。


ドクン……ッ

ドクン、ドクン……!!


ユウト

「ぐっ……また来やがった……!」


アリア

「ユウト! 無理に歩かなくても……!」


ユウト

「いや……この先で絶対何かが呼んでる……

 止まれねぇんだよ……!」


そう言うと同時に、

蒼核がユウトの胸から蒼光を噴き出し――


バチィィィィィッ!!


周囲の空間ごと、ユウトの視界が“蒼”に染まった。


アリア

「ユウト!!?」


リオ

「……始まったか。

 蒼核人格の、誕生……!」



◆◆蒼核内・精神領域◆◆


そこは青い水面が地平線の果てまで続く静かな世界だった。


ユウト

「ここは……俺の精神世界……?」


足元の水が波紋を作り、その中央から

ゆっくりと“人影”が立ち上がった。


蒼い影

『……やっと来たね、ユウト』


ユウト

「お前……俺の“影”か?」


蒼い影は微かに笑い、ユウトに近づく。


蒼い影

『違うよ。

 僕は“蒼核に生まれた君のもう一つの可能性”。

 名はまだない。

 ただ……』


影がユウトの目の前で止まる。


蒼い影

『君が折れた時の“代わり”になる存在だ』


ユウト

「代わりって……

 俺を乗っとる気じゃねぇだろうな?」


蒼い影

『そんな乱暴なことしないよ。

 ただ……君が壊れたら、僕が外に出るだけ』


ユウト

「それを乗っ取りって言うんだよ!!」


蒼い影

『言葉の問題だよ、ユウト』


影は片手を差し出す。


蒼い影

『でもね。

 敵じゃない。

 むしろ僕は君を強くするために生まれた』


ユウト

「強く……?」


蒼い影

『第二段階の力──

 “無詠唱魔法の真化・蒼天位そうてんい”。

 君がまだ扱いきれてない火力と速度を、

 僕が制御する』


指先に蒼い炎が揺れ、世界を青く染める。


蒼い影

『ただし力の共有には条件がある』


ユウト

「条件……?」


蒼い影

『僕を“信頼する”こと』


ユウト

「いや無理だろ!! 初対面で乗っ取る宣言した奴をどう信じろってんだ!!」


蒼い影

『ふふ……やっぱり君は面白い。

 ――だからこそ、僕は君を好きでいられる』


ユウト

「は?」


蒼い影

『君という“可能性”が。

 君が選ぶ道が。

 君が守る人が。

 全部、僕の未来でもある』


影はそっとユウトの胸に触れた。


蒼い影

『だから支えたい。

 君の弱さも、強さも、全部』


ユウト

「…………」


蒼い影

『ねえユウト。

 僕と一緒に行かない?

 影の王を倒すために。

 アリアを守るために。

 “僕ら”は一つだ』


ユウトは迷った。


だが、迷いながらも――


ユウト

「……絶対に裏切るなよ」


蒼い影

『約束するよ。

 僕は“君だから”』


影はユウトの手を取った。


蒼い影

『ユウト、行こう。

 第二段階の力を――解放しよう』


蒼光が爆ぜ、世界が白に染まる。



◆◆現実世界◆◆


アリア

「ユウト!! 目を開けて……!」


リオ

「蒼核の反応が急上昇してる……!

 これは覚醒だ……!」


ユウトの身体から噴き出す蒼光が、周囲の影を一瞬で吹き飛ばす。


そして。


ユウト

「……待たせたな。行こう」


アリア

「ユウト……!」


リオ

「……人格との契約、成功したのか」


ユウト

「まあ、なんとか。

 アイツ……めんどくさいけど悪い奴じゃなさそうだ」


アリア

「良かった……!」


ユウトの背後で、蒼い影が一瞬だけ揺らぐ。


蒼い影(声)

『よろしくね、アリア』


アリア

「え……?」


ユウト

「……アイツ、外にも声届くのかよ……!」


リオ

「第二段階覚醒完了……

 これで戦力は大幅に跳ね上がった。

 よし、進むぞ。影王の心臓部へ」


ユウト

「ああ!」


アリア

「うん!」


蒼い影

『……来るよ、ユウト。

 王が、こちらを見ている』


ユウト

「望むところだ……!」


影王決戦が、静かに幕を開ける。


【エピローグ】『蒼核人格の“名前”』


影王領域・心臓部手前。

三人はしばしの休息を取っていた。


ユウトは胸の奥がまだじんじん熱い。

第二段階覚醒の余韻だ。


アリア

「ユウト……本当に大丈夫?

 さっきからずっと胸を押さえてるけど……」


ユウト

「大丈夫だよ。

 痛みっていうより……なんか、むずむずする感じ?」


リオ

「人格が定着し始めてる証拠だ。

 核の中で“形”を得ていく」


アリア

「形……つまり、あの子が……?」


ユウトの背後で、蒼い影がふわりと揺れた。

現実世界でも、その存在感は濃くなってきている。


蒼い影

『……アリア』


アリア

「ひゃっ……! ま、まだ慣れない……!」


ユウト

「人を驚かすな!

 てか、お前……名前とかないのか?」


蒼い影

『ないよ。

 だって僕は“ユウトが生んだ可能性”だから』


ユウト

「ややこしいんだよな……。

 名前がないと呼びづらいし」


アリア

「じゃあ……ユウトがつけてあげれば?」


ユウト

「俺が!?」


リオ

「人格安定のためにも、名前で呼ぶのは悪くない。

 精神的な“定着”が進むからな」


ユウト

「……マジかよ。俺が……」


蒼い影は静かにユウトを見つめる。

その目は、どこか嬉しそうで、どこか切なそうだった。


蒼い影

『……呼んでよ。

 ユウトの言葉で、僕に“意味”を』


ユウト

「…………」


アリア

「ユウト……」


少し考え、

そしてユウトはゆっくりと口を開いた。


ユウト

「――ソウ。

 “蒼”って字をそのまま読んだだけだけど……お前に似合うと思う」


影はしばらく黙っていた。

そして、ふっと微笑んだ。


ソウ(蒼核人格)

『……うん。

 嬉しい。

 “ソウ”……僕の名前』


アリア

「ソウくん……! よろしくね!」


リオ

「これで人格も定着する。

 戦闘中に暴走するリスクも少しは減るはずだ」


ユウト

「そう願いたいけどな……俺の中の同居人が増えるとか、複雑すぎるだろ……」


ソウ

『でも安心して。

 僕はユウトを支えるために生まれたんだから』


ユウト

「……頼りにしてる」


ソウ

『うん。

 さあ、行こう。

 “王”はもう、すぐそこだよ』


影王領域の奥から、低く重い振動が響きわたる。


アリア

「……来るね」


リオ

「ああ。

 これより先は、本物の地獄だ」


ユウト

「望むところだ。

 アリアと……ソウと……みんなで勝ちに行く!」


蒼核が、静かに、しかし確かに輝いた。

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