第22話「"蒼核"の兆し影法師の新たな殺戮者」
黒爪との死闘から一晩後。
アリアたちは影法師本隊の奥、崩れかけの通路で休んでいた。
俺はアリアの膝の上で横になっていたが――
蒼核の脈動はまだ続いていた。
■蒼核の異変、進行
アリア「ねえ……また光ってる。
あの時ほどじゃないけど……苦しくないの?」
俺
(苦しい……けど、嫌な感じじゃない。
何かが呼んでるみたいな……)
リオが周囲を警戒しながら言う。
リオ「“呼ばれている”? スライム、お前……
蒼核は影法師の術式とは関係ないはずだ。
なら、いったい何に反応している?」
アリアが心配そうに俺を抱きしめる。
アリア「また……私を守ろうとして無理してるんじゃないよね?」
その瞬間、蒼核が微かに震え、小さな光を放った。
俺
(……え? アリアの声で反応した?)
リオは目を細める。
リオ「……“感情リンク”か。
スライム、お前の進化……普通じゃないぞ。」
⸻
■影法師、新たな殺戮者の気配
突然、洞窟の奥から
“コツ、コツ、コツ”と、金属の爪のような足音が響いた。
アリア「……誰?」
冷たい声が闇の奥から返ってくる。
???「――黒爪の魔力反応が途絶えた。
原因は、お前たちで“確定”だな。」
アリアが身構える。
リオは剣を抜きながら小さく呟く。
リオ「最悪のタイミングだ……来たな、“屍姫”。」
姿を現したのは、
白い着物に銀色の髪。
瞳だけが血のような紅に染まった少女。
屍姫「任務。
《反逆者リオの抹消》《魔女アリアの回収》《蒼核体の捕獲》。
対象、三つ。」
俺
(ちょ、待て、捕獲って俺も!?)
屍姫はこちらを一瞥した後、無表情で言う。
屍姫「スライム。珍種。価値、高い。
……壊さないよう注意。」
壊されるのは嫌すぎる!!
⸻
■屍姫の圧倒的速度
屍姫は一歩踏み出しただけで――
景色が一瞬で“歪む”。
次の瞬間、
アリアの喉元に短刀が迫る。
アリア「っ!!」
しかしリオがその刃を受け止めた。
リオ「アリア、下がれ!!」
金属音が火花を散らし、
二人の距離が一瞬で開く。
屍姫の瞳が僅かに揺れる。
屍姫「反応、速い。
……さすが“影法師最高傑作”。」
アリア
「リオ……?」
リオ
「昔の話だ。今は関係ない。」
俺
(いや今の刺し方、マジで速すぎるだろ……!)
⸻
■アリア覚醒の兆し、しかし…
アリアが魔力を込めて杖を構えるが――
屍姫が目だけを向けた瞬間、
アリアの魔力が“ざらり”と乱れた。
アリア「っ……何これ……身体が勝手に……」
屍姫が淡々と説明する。
屍姫「“影縛り・上位式”。
対象の魔力経路を逆流させ、不安定化させる。」
アリアは崩れ落ちそうになる。
アリア「くっ……また……暴走……!?
嫌……またみんなを……!」
リオ「アリア、落ち着け! ここは俺が――」
その時だった。
俺の蒼核が突然、強烈な光を放つ。
ドンッ!!
影縛りの術が一瞬で霧散した。
屍姫の瞳が初めて大きく揺れる。
屍姫「……これは……術式キャンセル?
スライムに……こんな出力……?」
俺
(アリアが苦しんだ瞬間、身体が勝手に動いた……!
俺、いま……術式を消した!?)
アリアが驚きながら言う。
アリア「スライム……今の、あなたなの……?」
屍姫は短刀を下げ、冷たい瞳で俺を見る。
屍姫「蒼核体……危険度、再評価。
優先度――“最上位”に引き上げ。”保護対象”から“排除対象”へ。」
俺
(いやいやいや、敵の“最優先で殺す対象”になった!? 俺!?)
リオが低く呟いた。
リオ「……スライム、覚悟しろ。
もう“ただの仲間”じゃ済まない。」
アリアが震える声で言う。
アリア「でも……絶対に守る。
誰にも、あなたを奪わせない……!」
屍姫の目が紅く光る。
屍姫「では、次。
“殺しの工程”へ移行する。」
次話――屍姫との本格戦闘が始まる。
【エピローグ】「蒼核の"呼び声"と動き出す影の王」
屍姫が姿を消した後。
アリアは杖を握りしめたまま震えていた。
アリア「……私、また暴走しかけた。
スライムが止めてくれなかったら……怖かった……」
俺
(アリア……気にすんなよ。俺は――)
蒼核がまた微かに光った。
アリアはその光に安心したように微笑む。
アリア「スライムは、私の“恐い”を消してくれるんだね。」
しかしリオの表情は硬かった。
リオ「……アリア。
その言葉が一番危ないと気付いているか?」
アリア
「え……?」
リオは俺をじっと見つめる。
リオ「スライムの蒼核は“感情リンク”している。
お前の感情に反応するたび、力が上がる。
だが同時に……“依存”も強くなる。」
俺
(依存……?)
アリアの顔から血の気が引く。
アリア「じゃあ、私が不安になれば……スライムも……?」
リオは静かに頷いた。
リオ「ああ。
そして──影法師の狙いはそこにある。」
アリア
「どういうこと……?」
リオは少しだけ言いよどみ、
まるで封印を開くように語り始めた。
リオ「“蒼核体”は、本来……
影法師が“魔女制御計画”のために作ろうとした禁断の核だ。
魔女の感情と魔力をリンクさせ、暴走すら自在に操る……。」
アリア
「……ッ!?」
俺
(ちょ、待て、俺そんな危険物だったの!?)
リオが続ける。
リオ「だが……影法師が造った核は全部失敗した。
だから、スライムの蒼核は“本来存在しないはずの完成形”なんだ。」
アリアは俺を抱き締める腕をぎゅっと強くする。
アリア「そんなの……絶対に嫌。
誰も、スライムを利用なんてさせない!」
リオはそんなアリアを見て、小さくため息をついた。
リオ「……アリア。
その言葉は、もっと早く言うべき相手がいる。」
アリア
「え……?」
リオは闇の奥を見つめる。
リオ「“影王”が動いた。
第三章はここからだ。」
俺
(影法師の“王”……!?)
その瞬間、蒼核が不気味なほど強く脈動した。
ドクン……ドクン……!!
アリアが俺を抱いたまま焦り声を上げる。
アリア「スライム!? どうしたの!?
痛いの!? 返事して!!」
俺
(ちが……う……
遠くから……声が……聞こえる……
誰かが……俺を……呼んで……)
リオが険しい声を出す。
リオ「来るぞ……
“蒼核の主”が。」
蒼核の光が洞窟一杯に広がり――




