表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/39

第20話「蒼白交差点(クロスポイント)」

【プロローグ第20話】「交差する蒼と白」


白い霧が薄く漂う戦場跡。

風が吹くたび、砕けた白面の欠片がカラカラと音を立てて転がった。


アリアは蒼い光をふわりとまといながら、

遠くの空をじっと見つめていた。


スライム(俺)「……無理するなって言ったのに。

 覚醒したてでフラついてんじゃねぇか」


アリア「うん……ちょっとだけ、ね。

 でも……力が、ちゃんと馴染んできてる」


カイ「妙だな……

 敵が突然引き始めた。

 まるで“本隊”そのものが混乱しているような……」


アリアの眉がわずかに震えた。


アリア「……呼ばれてるの。

 もっと近くで……

 もっと強く……」


スライム「呼ばれてる?」


アリア「うん……

 白でも黒でもない……

 “私に似た、蒼に近い気配”」


スライムは気づいていた。

アリアの言う“気配”が誰のものかを。


(リオ……お前もこっちへ来てるのか)


そんなときだった。


――ドォン!!


遠くの森が白光で弾けた。


カイ「爆発!? どこだ!?」


スライム「位置的に……影法師の内部施設近くだ。

 まさか……脱走者か?」


アリアは胸元を押さえ、目を細めた。


アリア

「……間違いない……

 あの光は……リオちゃん……!」


スライム「やっぱりか……!」


アリア

「怖い……

 だってあの光……“私を守ろうとしてる”みたいで……

 悲しそうで……」


彼女の声が震える。


アリア

「リオちゃん……どうして泣いてるの……?」


スライム(心の声)

(リオ……お前の“心の鎖”がついに切れたのか……

 影法師、お前ら本当に最低だな)


カイ「おい、何か東側に動きが――」


そのとき。


霧の向こうから、

まるで迷子のように揺れる“蒼白の光”が近づいてきた。


アリア「……来る……!」


スライム「この気配は――」


次の瞬間、森が爆ぜるように開き、

白い髪が風に舞った。


そこに立っていたのは――


リオ。


片側の仮面を割ったまま、息を荒らし、

今にも泣き出しそうな顔で。


リオ

「アリアさん……っ!!」


アリア

「リオちゃん――!!」


スライム

「……来やがったな」


三つの光(蒼・白・蒼白)が、

ついに同じ場所で交錯した。


これが――

後に“蒼白交差点クロスポイント”と呼ばれる運命の瞬間の始まりだった。


(第20話プロローグ・終)

森が割れ、

白い髪の少女がふらつきながら姿を現した。


リオ

「……アリアさん……!」


アリア

「リオちゃん!! 本当に……来てくれたの……?」


リオは息を荒らし、

今にも倒れそうな足取りで近づいてくる。


白と蒼の光が身体から漏れ、

彼女の周囲の空気を歪ませていた。


スライム(俺)

「ちょ、近づきすぎんな!

 リオ、その状態は――危険だ!」


リオ

「……スライムさん……ごめんなさい……

 でも……私、もう……抑えられなくて……!」


アリア「リオちゃん、痛いの!? どこが――」


リオ

「ちがうの……痛いんじゃなくて……

 胸が……寂しいの……!」


リオが震える手をアリアへ伸ばす。


リオ

「ずっと……

 会いたかった……アリアさん……!」


アリアはその言葉に驚き、

そっとリオの手を握った。


アリア

「……ごめんねリオちゃん……

 私、あなたを置いて……」


リオ

「ちがうの……アリアさんが謝ることなんて……!」


二人の手が触れた瞬間。


――キィィィィィン……!!


蒼と白の光が接触し、

まるで高密度の結晶が共鳴するような“音”が響いた。


スライム(俺)

「待て……その光、やばい!!

 二人とも離れ――!」


だが遅かった。


蒼光アリア

白光リオ

そしてスライムの核心が持つ《蒼核》が――


同時に共鳴を起こした。


三者共鳴トリプリ・シンク


アリア「え……なに……この感じ……?」


リオ「アリアさん……スライムさん……

 私、ふたりの“声”が聞こえる……」


スライム(俺)

(やばい……洗脳の残滓と、アリアの覚醒、リオの解放が混ざって……

 このままだと三者の魔力が暴走する!!)


カイ「おい、光が塔みてぇに伸びてるぞ!?

 本気でこの森ぶっ壊す気かよ!!」


アリアは苦しげに胸元を押さえる。


アリア

「いや……リオちゃんの気持ちが……流れ込んでくる……

 私……守られてたんだ……ずっと……」


リオ

「アリアさん……アリアさんの涙が……!」


スライム

「おい!! 互いの感情まで共有してんのか!?

 こんな共鳴、制御不能だ!!」


だが二人とも、手を離さない。


アリア

「……だって……リオちゃん……

 こんなにも私を想ってくれてたなんて……!」


リオ

「アリアさん……私は……

 アリアさんの心がなくなるなら、私の心を全部あげてもいいって……!」


スライム(一瞬だけ絶句)

(……お前ら……どんだけ重いんだよ……!

 でも……その“重さ”が今、命取りになる!!)


蒼白の光柱がさらに増幅し、

地面の魔法陣を勝手に構築し始める。


カイ「スライム!! これマジで死ぬぞ!!」


「二人とも、離れろ!!

 覚醒と解放が互いを刺激して、暴発寸前だ!!」


だが――


アリアとリオは揃って首を振った。


アリア「離したら……この子が壊れちゃう!」


リオ「アリアさんを……また独りにしたくない……!」


「チッ……本気かよ!!」


スライムは光の中心へ飛び込み、

二人の手へ自分の核を押し当てた。


「三者共鳴なら――

 “俺”が制御してやるよ!!」


アリア & リオ「スライムさんっ!?/スライム!!」


俺の蒼核が蒼白の光を吸収し、

暴れ狂う魔力を引き寄せる。


だが――


俺(心の声)

(ぐっ……重い……!!

 二人の“心”まで流れ込んでくる……!!)


アリアの不安、後悔、憧れ。

リオの孤独、渇望、心の傷。


そのすべてが俺の核を刺すように流れ込んだ。


(だけど……)


「お前らの心なら……全部、受け止めてやるよ……

 これが俺の……“仲間”だろ……!」


光が一気に収縮し――


最後の共鳴が静かに収まった。


アリアとリオは膝をつき、

蒼と白が消えていく。


アリア「……スライム……大丈夫……?」


リオ「スライムさん……ぅ……ありがとう……」


「ふん……泣きそうな顔すんなよ……

 まだ“敵の本隊”が残ってんだ」


アリアとリオは顔を上げ、

そっと互いの手を握った。


アリア「……もう逃げない。

 リオちゃんも、私も」


リオ「はい……アリアさん……」


スライム(俺)

「よし、行くぞ。

 影法師をぶっ潰して――

 二人の“鎖”を終わらせるんだ!」


三者の決意が、

同じ方向を向いた。


(第20話・終)


【エピローグ⑯】「影法師、動く」


影法師本拠最奥。

円形の暗い部屋。


巨大な白面の仮面が壁に浮かび上がる。


幹部A「……三者共鳴を起こした、だと?」


幹部B「アリア、リオ、そして“バグスライム”……

 予想以上だな」


幹部A「ついに“蒼白のデュアル・キー”が揃ったか。

 ならば――」


影法師首領

「計画は第三段階へ移行する」


影法師幹部たち

「……御意」


首領の声が響く。


「アリアとリオを“回収”せよ。

 そして――

 蒼のスライムを破壊しろ

 あれがいる限り、計画は完成しない」


黒い霧が室内を満たし、

奇妙な白影たちが立体的に浮かぶ。


首領

「さぁ、蒼と白の“器”たちよ……

 逃がしはせぬぞ」


その頃――

森の外れでスライム、アリア、リオの三人は

次の戦いへ向けて静かに歩き始めていた。


影法師は、もう彼らを“脅威”として見ていた。



(第20話エピローグ・完)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ