第18話「白光の侵攻━━覚醒の蒼、その前兆━━」
【プロローグ第18話】「白面の異変━━影法師、揺らぐ秩序━━」
白闇領域・中央神殿。
影法師の幹部たちが集う、巨大な“白い部屋”。
壁も床も天井も、氷のように無機質。
その中心で、白い仮面の幹部たちがざわめいていた。
⸻
◆◆影法師、異常を検知◆◆
白面幹部A
「報告。
リオの胸部紋章に“色相異常”が発生」
白面幹部B
「蒼色の魔力反応が混じったとのことだ」
ざわっ……
白面幹部C
「蒼……?
異界スライムの魔力残留か?」
白面幹部B
「その可能性が高いが……問題はそこではない」
沈黙が走る。
白面幹部A
「――器に、心の残滓が戻りつつある」
白面幹部全員「……!!」
⸻
◆◆導師、激昂◆◆
静かに足音が響く。
白い蝋燭がゆれるような光の中から、導師が現れた。
導師
「……心の残滓?
それは本当なのですか」
幹部A
「間違いありません。
リオは“蒼”を帯びています」
導師の表情がひび割れた仮面のように歪む。
導師
「ありえません……
あの子は徹底的に感情を排除し、
名前すら忘れたはず……!」
幹部B
「スライム、そしてアリアとの接触が原因で――」
導師
「黙れ!」
神殿全体が震えた。
導師
「器に心が芽生えれば、計画は破綻する。
アリアだけでなく――
リオの“魂”までも汚染される!」
幹部C
「ですが導師……
リオの異変はすでに始まっています。
このままでは――」
導師は冷ややかな声で言った。
導師
「――リオは“処理”します」
幹部たちが息を飲む。
幹部A
「……処理、とは……?」
導師
「器として失敗した者の末路は決まっている。
魂を解体し、新たな器の“核”として再利用するだけ」
幹部C
「ですが……リオはアリア奪還の要……!」
導師
「もう不要です。
“心を持った器”は邪魔でしかない」
その言葉は、氷より冷たかった。
⸻
◆◆標的は二人へ◆◆
導師
「次に優先するべきは――
アリア=クリスタリアの完全器化」
導師
「そして……
リオの魂の回収」
幹部B
「両方を確実に行うには……?」
導師がゆっくりと手を上げる。
白い光が神殿全体に広がり、
床に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
導師
「――“白面兵器・第二波”を出す。
反逆因子ごと消し去れ」
幹部たち「はっ!」
冷たい風が吹いた。
その瞬間、別の部屋――。
⸻
◆◆リオ、遠くで震える◆◆
リオ(独房のような部屋で)
「……胸が……痛い……」
胸の白紋章が波打つ。
リオ
「アリアさん……スライムさん……
また会いたい……」
頬を透明な涙が流れる。
リオ
「どうして……涙って……
こんなに……あったかいの……?」
涙が床に落ちる。
次の瞬間――
白闇の壁の向こうから、
導師の声が微かに響いた。
導師
『リオは処理対象とする。
魂の回収を急げ』
リオ「…………え?」
胸がひどく締めつけられる。
リオ
「……わたし……
消される……?」
小さく震えながら壁に寄りかかる。
しかし――
その瞳には、昨日にはなかった色が宿っていた。
リオ
「……消されるなら……
最後に……一度だけでも……」
涙をぬぐい、
強く息を吸う。
リオ
「アリアさんに……会いたい」
小さな声。
でもその想いは、強烈な“反逆”だった。
白闇の中で、
少女の心がかすかに光る。
――18話プロローグ・終――
朝霧の中。
丘の上に蒼い残光が漂い、
スライム、アリア、カイの三人は白面兵器の出現に備えていた。
地面が低く唸り、
白い魔力が地平線の向こうから“濁流”のように押し寄せる。
⸻
◆◆影法師・白面本隊、来襲◆◆
カイ「……来るぞ。
前のより桁違いの圧だ」
アリア「こんな魔力……初めて感じる……!」
俺「後ろに下がれアリア。
まずは俺が受ける」
アリア「ううん。もう逃げない。
スライム、隣にいさせて」
俺「……仕方ねぇな」
そう言って陣形を整えた瞬間――
白い激光が丘の斜面を焼き裂いた。
白面兵器「――――■■■!!」
巨体。
四足でうねり、
白い仮面のような“顔”が咆哮する。
カイ「《白面兵器》……!
第二波の主力型じゃねえか!」
アリア「大きさ……私たちの3倍以上……」
俺「でも――デカいほど当てやすい」
⸻
◆◆スライム VS 白面兵器◆◆
白面兵器が地を這うように迫り、
膨大な白光を口へ溜め始めた。
カイ「撃つぞ!避けろ!!」
アリア「待って……スライム、リンク!」
俺「あぁ。合わせろ!」
アリア「《蒼環》!」
蒼い輪がアリアの手から飛び出し、
俺の核と瞬間リンクする。
俺
「《蒼閃盾》!!!」
蒼光の盾が二人を包み、
白面兵器の直撃を真正面から受け止めた。
ズガァァァァァァン!!!
丘が震えるほどの衝撃。
だが、蒼盾は砕けず――
アリア「……耐えた……!?」
俺「お前の魔力、前より強くなってるな」
アリアは驚きながらも頷く。
アリア「胸の奥が……熱いの。
白い鎖が取れて……“自分の魔力”が戻ってくるみたい……!」
俺はその言葉に一瞬だけ目を見開く。
(アリア……覚醒し始めてる……?)
だが白面兵器は怯まず構え直した。
白面兵器「■■■■!!」
地面に魔法陣を展開し、
無数の白光弾を空へ撃ち放つ。
カイ「頭上からくるぞ!」
俺「任せろ!《蒼連弾》――!」
アリア「スライム、リンク強化する!」
俺とアリアの蒼光が絡み合い、
放たれた蒼弾は大気を切り裂くように白光弾を迎撃した。
空で爆発が連続し、
霧が吹き飛んだ。
⸻
◆◆アリア、覚醒の前兆◆◆
アリアの呼吸が荒くなる。
アリア「……胸……痛い……でも……
この痛み、前の“暴走”とは違う……」
俺「無理するな。
嫌な痛みなら止まれ」
アリア「ううん……違うの。
“閉じてた扉”が……開きそうな感じ……!」
(やっぱり……覚醒だ)
アリアの蒼光は濃く、深く、
まるで“生きているように”脈動していた。
白面兵器が再度突っ込む。
アリア「スライム!!
合わせて!!」
俺「来い!!」
二人
「《蒼双断》!!!」
蒼い刃が二本、白面兵器の胴を深く斬り裂く。
白面兵器「■■■……!」
ついに巨体が揺らいだ瞬間――
影法師の兵が左右から現れ、
一斉にアリアを狙う。
影兵「器確保!捕縛せよ!」
アリア「……やっぱり……私を……!」
スライム
「させねぇよ!!」
俺は跳び上がり、
蒼光を無詠唱で放つ。
俺
「《蒼衝波》!!」
影兵の群れがまとめて吹き飛ぶ。
⸻
◆◆白い影が一瞬だけ揺れる◆◆
その時――
丘の上に“白い少女”の影が一瞬見えた。
リオ(遠くから)
「……アリアさん……」
アリア「えっ……?
今の、リオちゃん……?」
俺「気のせいじゃねぇ……
確かに感じた……白と、“蒼”が混ざった気配……」
カイ「だが今は兵器を倒す方が先だ!」
影法師本隊の圧力は増す一方だった。
俺はアリアの方へ振り返る。
俺「アリア……もう時間がねぇ。
覚醒しなきゃ、押し切られる!」
アリア「……怖いよスライム。
でも……
私……この力が“誰かを守れる力”なら……!」
アリアは胸に蒼光を集中させた。
アリア
「スライム……
私を、信じてくれる……?」
俺は即答した。
俺「当たり前だ。
お前の心ごと全部、信じてる」
アリアの瞳が揺れ――
次の瞬間、蒼光が爆ぜた。
白面兵器が警戒し、後ずさる。
アリア
「いくよ……スライム……
私、“覚醒”する――!」
白い霧と蒼い輝きがぶつかり合い、
丘はまるで空が割れたように光に包まれた。
――18話・終――
【エピローグ⑭】「白い檻の中の少女」
白い空。
白い壁。
白い床。
まるで“世界から色を奪った箱庭”のような部屋に、
ひとりの少女が座り込んでいた。
リオ。
白い仮面を額に下げ、胸元には重い封印具。
カツ……カツ……
遠くで足音が響く。
研究員A「リオ、どうだ? 同調率は上がっているか?」
リオ(小さく息を吸い)
リオ「……はい。
でも、これ以上は……アリアさんの気配が強すぎて……」
研究員B「気配?
ふん、あの“器”がまた暴れているのだろう」
リオの指がピクリと揺れた。
リオ(心の声)
(違う……アリアさんは、暴れてなんかいない。
“戻ろうとしている”……
自分の力へ……自分の心へ……)
研究員A「ま、どのみち。
お前が完全に覚醒すれば“蒼の器”など必要ない」
研究員B「予定どおり、アリアは“回収”する。
白面兵器が時間を稼いでいる間にな」
リオ「あ、あの……!
アリアさんに……危害を加えるのは……」
研究員A「黙れ、道具が口を出すな」
その瞬間。
リオの胸で、淡い“蒼光”が点滅した。
研究員B「……? 今、光ったか?」
リオは顔を伏せ、
震える声で呟いた。
リオ
「……もう……やめてください……
アリアさんは……道具じゃ、ない……」
研究員A「なんだと? 反抗か?」
リオ
「……あなたたちこそ……
人の心を……なんだと思ってるの……!」
刹那。
部屋の空気が震え、
白い床に細かい亀裂が走った。
研究員B「お、おい!? 封印具の出力は!?」
警報が鳴り始める。
赤いランプが狂ったように回り、
職員たちが慌てて駆け込んできた。
「対象リオ、魔力暴走の危険!
封印強化しろ!」
リオは痛みに顔を歪めるが、
それでも胸の前で両手を握りしめた。
リオ(心の声)
(行かなきゃ……
アリアさんが……呼んでる……
私が行かないと……!)
白い髪がふわりと舞った。
リオ
「アリアさん……待ってて……
私……絶対にあなたを――」
「迎えに行くから……!」
封印具が火花を散らし、
部屋全体が白光で満たされ――
リオは拘束を破った。
研究員A「バカな――!? どうやって封印を……!」
研究員B「非常扉を閉めろ!!」
警報が施設全体へ鳴り響く。
走り出すリオ。
震える足。
握る拳。
その瞳は“純白と蒼”が交じりあい、
強い決意で燃えていた。
リオ
「アリアさん……
今度は私が――助ける番です……!」
⸻
――第18話エピローグ 完――




