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第17話「決戦前夜━━影法師本隊接近━━」

夜明け前。

空が蒼から白へ移り変わる静寂の時間。


アリアとスライムは丘の上で息を整えていた。


アリア「……スライム。昨日のリオちゃん……

 あれ、絶対に助けられるよね?」


俺「……あぁ。

 あいつは“完全に染まってねぇ”。

 まだ心は残ってる」


アリアは胸に手を当て、深く息を吐く。


アリア「なら……私は戦うよ。

 リオちゃんを取り戻すためにも」


そこへ、足音が草を踏みしめて近づく。


カイ「――来たか。

 お前ら、本気で影法師とやり合うつもりなんだな」


俺「カイ。準備は?」


カイは短く頷いた。


カイ「偵察部隊の報告だ。

 影法師の本隊が、この丘に向かって進行中。

 規模は……小隊級。

 白面の幹部も混じってる」


アリア「幹部……!

 じゃあリオちゃんも……?」


カイ「可能性は高い。

 だが――」


カイは振り返り、俺を見る。


カイ「お前の新能力“無詠唱”は、まだ完全じゃないだろ?」


俺「大技は無理だな。

 だが《蒼障壁》《蒼閃撃》は使える。

 それで十分だ」


カイ「無理するなよ。

 魔力暴走を起こしたアリアみたいに、自分がぶっ壊れるぞ」


アリア「……その言い方……」


カイ「けど、俺は信じてる。

 スライム、お前ならやれる」


アリアは俺を見つめ、微笑む。


アリア「うん……一緒に戦おう」



◆風が止まり、足音が始まる


丘の下から、黒い波のような気配が押し寄せてくる。


影法師兵「……全隊、前進」


アリア「来た……!」


白い霧をまとった兵が、数十体。

そしてその中心に――


白面将(幹部)「……逃がしませんよ……アリア=クリスタリア」


アリア「……っ!」


俺は前に出る。


俺「アリアには指一本触れさせねぇよ」


白面将「あなたは……例の“異界産スライム”ですね。

 器の暴走を抑え、魂をリンクさせた……危険因子」


俺「危険で悪かったな」


白面将は微笑む。


白面将

「ではまず……あなたを消しましょう。

 “器”の制御が安定する前に」


アリア「スライムに触らないで!」


白面兵が一斉に動く。


その瞬間、カイが剣を抜いた。


カイ「アリア、スライム!前を頼む!

 俺は側面から叩く!!」


俺「了解!」


アリア「うん……!いくよ!!」



◆スライム・アリア連携


俺「《蒼閃撃ソウブレイク》!!」


無詠唱で蒼い閃光を放つ。

前衛の影兵が一気に吹き飛ぶ。


アリア「すご……!

 無詠唱なのに、こんな……!」


俺「まだいけるぞ!」


アリアは胸に蒼色を集める。


アリア「スライム、タイミング合わせる!

 《蒼煌ソウコウ・シフト》!」


俺「来い!」


アリアの魔力が俺の核とリンクし、光が走る。


白面将「……連携魔法?

 器のくせに……!」


俺&アリア

「《蒼双弾ツイン・ブルーレイ》!!」


蒼い双弾が白面兵の陣形を崩す。


丘全体が光に包まれ、影兵が次々に倒れていく。


アリア(息を荒げて)

「スライム……すごい……!」


俺「お前のおかげだ。

 魔力リンク、安定してきてる!」


だが――


白面将「……甘いですね」


白面将が指を鳴らす。


地面から、巨大な白い影が姿を現した。


アリア「……っ!?

 あれ……召喚兵器……!」


カイ「まずい、規模が違う!」


白面将「これが……影法師“本隊”の手です。

 絶望していただきましょう」


俺は一歩も引かなかった。


俺「絶望ならもう経験した。

 アリアが連れ去られた日にな」


アリアは驚いたように俺を見て、

少しだけ微笑んだ。


アリア「じゃあ……一緒に超えようね?」


俺「あぁ。俺たちでな」


白面将「……器の癖に、ずいぶんな絆ですね。

 しかし、ここで終わりです」


白い兵器がアリアに照準を向ける。


アリア「……来る!」


俺「アリア、背中預けろ!」


アリア「もちろん!」


影法師本隊との、

決戦が始まる――。



(17話・終)

【エピローグ⑬】「揺らぐ"器"━━リオ、反逆の兆し」


薄暗い部屋。

影法師の拠点・白闇領域。


白い光が床にひび割れのように流れ、

その中心に――リオが膝をついていた。


胸の紋章が淡く脈打つ。

だがその光はいつもより“弱い”。



◆◆影法師を前にして◆◆


影法師・導師

「……リオ。

 あなたがアリアを取り逃がすとは、失望しました」


リオ「……すみません……」


導師

「言い訳は不要。

 あなたの存在意義は“器を完成させる”ことだけ」


リオ「……存在、意義……」


導師の目は冷酷だった。


導師

「心を迷わせるようなものに触れましたね?

 “青い魔力”……あれは異界の混沌。

 器に不要な感情を呼び起こす毒」


リオはぎゅっと胸を押さえた。


リオ「……毒……?」


導師

「あなたは従うだけでいい。

 疑うな。迷うな。

 アリアという“器”だけを連れてくればいい」


リオ「…………」


導師が背を向けると、

白い紋章がさらに強くリオを締めつけた。


導師

「あなたの心は……

 そのうち完全に消えます」


リオ「……!」


導師

「心を持つ器など、不完全。

 私たちには“空の魂”だけが必要なのです」


導師が去っていく。


残されたリオは、震える声でつぶやいた。


リオ

「……アリアさん……

 どうして……

 あなたの言葉だけ……消えないの……?」



◆◆胸に残る“名前”◆◆


リオはそっと胸に手を当てる。


脳裏に浮かぶのは――

アリアの涙、

そして彼女が呼んだ自分の名前。


アリア

『リオちゃん……!』


アリア

『あなた……誰かに名前を呼んでもらったこと……ある?』


あの声は、胸の奥でまだ温かい。


リオ「……呼んで……くれた……

 “リオ”って……」


白闇の風が吹き、彼女の銀髪を揺らす。


リオの瞳から、

ひと粒の涙がこぼれた。


だが――


その涙は、

白くならずに透明のまま

地面に落ちた。


リオ「……?

 どうして……消えない……?」


涙は蒸発せず、

白い床の上で静かに広がった。


リオ「……私……

 まだ……“心”が……?」


その瞬間、胸の紋章が激しく痛む。


リオ「っ……!!」


白い光が暴れまわり、

リオは苦痛に顔を歪めた。


リオ

「心はいらない……って……

 でも……アリアさん……」


涙を流しながら、

リオは小さく微笑む。


リオ

「心があるから……あなたの声が、まだ聞こえる……」


胸の光が弱まり、

代わりにリオの瞳に“淡い蒼色”が灯った。



◆◆リオの小さな反逆◆◆


リオ(立ち上がりながら)

「……アリアさん。

 次に会ったら……」


白闇の奥へ向かって歩き出す。


足取りは迷いながらも、確かだった。


リオ

「“器”としてじゃなく……

 あなたに……聞きたい。

 あの日の答えを……」


胸に残る“蒼の温かさ”を握りしめ、

少女は影法師に背を向けていく。


白い紋章が弱まり、

彼女の魔力がほんの少し“色づいて”いった。


リオ

「アリアさん……

 私……きっと……」


小さな声で、


リオ

「あなたを傷つけたくないって……思った……」


白い世界に、

かすかな反逆の火が灯った。


――17話エピローグ・終――

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