第11話「影法師の本拠地へ〜救出編スタート〜」
夜。
森の奥、霧が立ち込める中。
俺、リリア、グランの三人は、密かに影法師の本拠地前に立っていた。
リリア「ここが……敵の本拠地……?
何だか、普通の建物みたいだけど……」
グラン「外見は誤魔化してあるだけだ。
内部に魔法結界と監視魔術が張り巡らされている」
俺「……アリアはどこだ?
白面のリオに連れ去られて……もうどれだけ経つ?」
リリア「少なくとも半日……
無傷とは考えにくいわ」
グラン「それでも、焦るな。
無理に突入すれば、アリアに危害が及ぶ」
俺「……わかってる……でも……」
俺の体から青い光がわずかにほとばしる。
決意が体中に満ちていた。
俺「アリア……絶対、助ける……!」
リリア「よし……じゃあ作戦を確認するわ」
グラン「まずは偵察。
結界を解除できる魔力を持つ奴が必要だ。
俺が前衛で突入、リリアは支援。
スライム……お前は“索敵と奇襲”だ」
俺「……任せろ。
アリアが待ってるんだ。何があっても助ける!」
リリア「スライム……その覚悟、聞いたわよ。
じゃあ行くわよ、静かに……!」
霧の中を進む三人。
木々の影が揺れ、怪しげな囁きが聞こえる。
俺「……この空気……ただならぬ……」
リリア「気をつけて。
外から見えないだけで、魔法監視は確実に張られてるわ」
グラン「さあ、目標は中央塔。
そこにアリアは監禁されているはずだ」
突然、背後から微かな光。
魔法探知の罠か――?
俺「くっ……来たな」
リリア「慎重に……動くわよ!」
グラン「突入するぞ。
光が消えた瞬間、一気に屋内へ!」
霧が切れるように、俺たちは屋敷の影へ飛び込んだ。
足音を消し、魔力を抑え、全神経を集中させる。
内部は想像以上に静かで、
だが、空気が重く、まるで生き物のように俺たちを監視している。
俺「……あそこだな……塔……」
リリア「行くわよ……!」
グラン「よし……一斉突入!」
俺たちは一斉に塔へ駆け上がる。
風が、扉を叩き、魔力の気配がピリピリと肌を刺す。
その瞬間――
奥から、微かな声が聞こえた。
アリア「……スライム……助けて……」
俺「アリア……いた!!」
リリア「聞こえたわね!? よし、あと一歩よ!!」
グラン「油断するな……敵はまだ周囲に潜んでいる!」
三人の目が互いに合い、無言の決意が交わる。
この塔の先に、アリアがいる――。
俺たちは、静かに、だが確実に、足を進めた。
(第11話・終)
【エピローグ⑧】
塔の最上階。
薄暗い部屋の中、アリアは白い光の中に座らされていた。
手足は拘束されていないが、魔法結界が体を囲み、動くたびに微かな痛みが走る。
リオ(白面の少女)が、ゆっくりとアリアの前に歩み寄る。
リオ「起きましたね、アリアさん」
アリア「リ、リオちゃん……?
なんで……ここに……?」
リオは首を傾げ、仮面の奥の目が光る。
リオ「怖がらなくていいですよ。
ここでは、あなたを守るのは私だけです」
アリア「でも……スライムたちが……!」
リオ「スライム? あの子たちは、あなたを守りたかったのでしょう。
でも……それは、力になれないんです」
アリア「そ、そんな……」
リオは床に膝をつき、静かに語りかける。
リオ「アリアさん、あなたの力は美しい。
でも、このままでは暴走してしまう……
私がいないと、誰も制御できません」
アリアの瞳に、わずかに不安と戸惑いが広がる。
リオ「ここで……安心してください。
あなたは私だけを頼ればいい。
誰にも傷つけられない。誰も助けられない」
アリア「……だれも……?」
リオ「そう。だから、もう――
私の言う通りにすればいいんです」
アリアの目が、少しずつ光を失い、白面リオを見つめる。
その瞳には、まだ迷いは残るものの、
リオの声に囚われていく兆候があった。
リオ「安心して……アリアさん。
もう、怖くない……。私だけが、あなたのすべてを見ている」
部屋の中に、静かな圧力が広がる。
外から塔へ迫る仲間たちの気配も、
アリアの世界には届かない。
アリア「……リオちゃん……」
その言葉が、希望なのか、絶望なのか――
まだ、本人にもわからなかった。
(第11話エピローグ・終)




