表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
台湾事変   作者: 独楽犬
1/11

一.背景

 現在、鳩山政権で最大の問題となっているのが沖縄の普天間基地移設を巡る問題です。自民党政権時に辺野古沖に移転することで一応の決着をしましたが、民主党は国外ないし県外移設を主張し、辺野古沖案を白紙にしました。しかしアメリカは普天間基地の存続か現行案である辺野古移設の履行のどちらかを求め、鳩山政権との関係が悪化しています。

 なぜアメリカは普天間基地の継続使用か現行案の履行を求め、グアムなどへの国外移転を拒絶するのか?その背景には台湾有事への対処に沖縄の基地が必要であるとアメリカが考えているからです。具体的には著名な軍事ブログなどで詳しく書かれていますが、今回はそれらの記述を参考に、アメリカ軍が想定する台湾有事のシナリオを小説化してみました。

 在日米軍を巡る問題については、皆さんそれぞれ意見をお持ちであると思います。この小説について在日米軍兵士による犯罪行為や地位協定の不備、沖縄県民の様々な被害、苦しみについて正当化するような意図はなく、あくまでアメリカが沖縄を求める理由について明らかするのが目的です。1つの参考にどうぞ。

 20XX年、新たに就任したアメリカ大統領は親中政策を推進して日本や韓国といったアジアの同盟国との関係を軽視するようになった。同時に軍縮政策や国連との連帯を進めたこともあり、新政権の姿勢について中国は誤ったシグナルを受け取ることになった。そう、湾岸戦争直前のイラクのフセイン大統領がブッシュ大統領に、朝鮮戦争前の金日成がトルーマン大統領から受け取ったのと同様にである。

 中国は20世紀末から安価な工業製品の輸出を武器に経済力を伸ばした。その源は中国の通貨である元の対ドル安である。

 各国の通貨の相対的価値は経済的状況によって変化をする。例えば日本が経済成長をすれば日本の通貨である円の価値がドルなどの他国の通貨に比べて高まる。円高と呼ばれる状態である。具体的には100円と1ドルが同じ価値と評価されていたのが、90円だけでも1ドルと同じ価値になるというような状況である。この場合、同じ1ドルの製品でも日本円では円高分の10円安くなる。つまり輸入品の価格が下がるのである。一方、日本円で100円の価値のある製品は円高化以前には1ドルで売ることができたが、円高以後では1ドル10セントで売らなければ元がとれない。輸出品の価格が輸出相手国で上がり、輸出産業が厳しくなるのである。日本円の価値が他国通貨に対して低くなる円安の状況であると、まったく逆になる。輸入品が高くなり、輸出品が他国では安価になるのだ。

 さて中国は急激な経済成長を遂げているが、その通貨である元の為替相場は経済の実態に比べてかなり低い。中国政府は元の価値をドルなどの他国通貨に対して低く抑えることで輸出を伸ばそうとしているのだ。

 これに反発したのがアメリカである。アメリカの視点で見れば中国は不当に安い製品の輸出を拡大し、アメリカの国内産業を圧迫しているのだ。その是正を求めるのは当然の事であった。21世紀初めよりアメリカは中国に元を経済情勢に似合った価値まで高めるように圧力を強めた、これが“人民元切り上げ”問題とされるものである。

 一方、元安は中国国内にも悪影響を与えていた。先ほども言ったように自国の通貨価値が他国に比べて下がった場合、輸出品が相手国で安価になると共に輸入品の価格も上がるのだ。特に経済成長によって資源輸入国に転落した中国には重要なことである。資源の価格上昇により経済情勢とは関係なく国内でインフレが始まったのだ。

 アメリカの圧力と国内のインフラ。中国は元安による輸出攻勢という経済政策を維持しつつ、この2つの問題を解決する方法を探っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ