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忘却の果てで君を待つ。  作者: 夜凪
第1章 別れ、出会い、そして入学。
3/3

第3話 小さな魔法使いの大いなる一撃

六歳にして魔法学校の試験に臨むシャーロット。 筆記試験は楽勝でも、実技試験は未知の領域。 果たして、彼女の力はいかほどか。


そして、かつて迷子だった少女との再会。 小さな勇気と、積み重ねてきた努力の証が、試験会場に轟音を響かせるーー。


「シャル、魔力量はいくらだった?」


「はい、400でした」


「400か、6歳にしては上出来だな。ああ、そうそう。誕生日おめでとう。何か欲しいものはあるか?」


「ありがとうございます。……そうですね、杖とかですかね」


「杖か、わかった。ちょうど良い腕の職人を見つけたから作らせておこう」


「ありがとうございます、父上」


 こうして父と一緒に昼ご飯を食べるのは久しぶりだ。職業柄父は忙しく、俺は1人でご飯を食べる事が多い。寂しく感じることは無かったが、誰かと食事するのは悪いものではない。


「そういえば魔法学校には家から通うのか?」


「いえ、寮に住みたいと考えています」


「なぜ?」


「兄上や姉上も寮に住んでいますし、早いうちから人脈を作ろうと思いまして、ダメですか?」


「いや、構わない。ただ、1つ条件がある」


「条件?」


「アガサも同行させる。エルヴィス家をよく思わない者もいるかもしれないし、念の為だ」


「わかりました」


「よろしい。アガサもそれでいいか?」


「はい、勿論です」



---


 そうして、俺は今、魔法学校の2次試験会場にいる。


「凄い人の数ですね、600人ほどでしょうか?」


「ええ、初等科の募集人数は450人なので、150人ほど落ちてしまいます。魔法学校へ初等科から通う者は少ないと聞きますので、中等、高等科になれば編入生でもっと増えるでしょう」


「なんだか緊張しますね。筆記試験は満点だと思いますが、私より凄い魔法使いがいたら……」


「首席合格は遠のきますね」


「うう……」


 筆記試験は至って簡単だったのだが、魔法の実技試験は経験したことがない。


(アガサは本気を出さずとも首席は容易だと言っていたが、本当だろうか)


「次の10人は入ってください」


「呼ばれましたね、シャルお嬢様、頑張ってください」


「はい、いってきます」


 実技試験はシンプルなものだ。好きな魔法で正面の的に当てるだけ。俺は7番目だから、余裕はある。


「1番、どうぞ」


「はい!」


(緊張しすぎだろ、大丈夫かあの子)


 1番目の少年は詠唱で魔法を行使している。ファイアーボールと言ったところか。的には命中したが、威力は高いとはいえない。


 そうして着々と順番が迫り来る。


「次、7番。どうぞ」


「はい」


(もちろん俺は無詠唱。力試しのつもりで少し強めにいこう。的に当てれば良いと言っていたな)


 そうして俺は手を伸ばして魔力を込める。燃え盛る炎をイメージしてーー


 大きな轟音を鳴らし、周囲は黒煙が立ち上る。的は見る影もなかった。


「嘘、無詠唱で、しかもこの威力……?」


「僕落ちちゃうかも、ママごめんなさい……」


(やり過ぎたか?)


 的は破裂し、地面は黒く変色している。試験官も度肝を抜かれていて、尻餅を付かせてしまった。


(手加減してこれか。まあでも、これで首席は確実だろう)


「い、いいでしょう。次、8番。あっちの的に撃ってください」



---


 そうして、無事2次試験を終えた。


(これで首席は間違いなしだな)


 俺は騒然とする受験生を通り抜けて、1番にアガサに会いに行く。


「アガサ、無事終わりました」


「シャルお嬢様、お疲れ様です。何かすごい轟音が聞こえましたが?」


「少々手加減を間違えてしまいました」


「もう、まあいいでしょう。今は最後の組が試験中ですので、もうしばらくここで待ちましょう」


「ですね」


 それから10分ほど経った頃だ。アガサと俺はたわいない会話をしていたとき、試験中の部屋から轟音が響いた。


「凄まじい音ですね」


「ええ、シャルお嬢様と良い勝負かもしれません」


(6歳児でここまでやるとは、いったい誰だろうか)


 部屋から出てきたのは顔をひきつった数人と、見覚えのある少女だった。整った黒髪のボブに、赤い瞳。6歳とは思えない可憐さ。


(もしかして……)


「……シャーロットちゃん?」


「あ、お久しぶりです。スフィアさんも魔法学校へ入るのですね」


(あのとき助けた少女が、いつの間にか凛々しくなっている。きっと魔法の鍛錬に励んだのだろう)


「うん、シャーロットちゃんも一緒で安心した。ずっと会いたかったんだ。あの時はありがと」


「いいんですよ。私もちょうど貴方のことを考えていたところですよ。……ところで、さっきのあの音は?」


「あっ、私だよ。とても頑張ったんだ」


 スフィアは嬉しそうに笑った。スフィアがいるかもしれないと思ったが、魔法がここまで使えるとは思わなかった。


「じゃあそろそろ行くね、同じクラスになれるといいね」


「そうですね、また」


 手を振りながら、スフィアと別れる。アガサはかつて俺が助けた迷子の少女がスフィアの事だと気づいた様子だった。


「まさかスフィアだったとは」


 そこへ、もう1人俺の元へ来客が来た。服装から見るに、学校の職員だろうか。なんの用だろうか。


「シャーロット・エルヴィス様。確認したいことがあります。お付きの方もご一緒に、どうかこちらへ」


 NOとは言わせない声色で、そう言われ、そうして俺とアガサは、大きな体育館へ移動した。周りには数人の職員らしき大人と、白衣を着た人が立っていた。俺の隣には、スフィアもいた。大人はみな、真剣な表情でこちらを見ている。ただならぬ雰囲気で不安になる。


(スフィアまで、これからいったい何が起こると言うんだ)



読んでいただきありがとうございます。

6歳にして周りの大人に一目置かれるシャーロット、大人になるとどうなるのでしょう(笑)。


そして、スフィアとの再会も果たし、迷子を助けるという小さな出会いが、どんな物語に発展するのか。どうぞご期待あれ。


コメントや感想をしてくれるととても嬉しいです。引き続き読んで頂けると幸いです!では4話でまた会いましょう。

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