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忘却の果てで君を待つ。  作者: 夜凪
第1章 別れ、出会い、そして入学。
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第1話 御伽噺のような別れ

平凡すぎる人生を終えた私は、目を開けると見知らぬ世界で赤ん坊として生まれ変わっていた。小さな身体に宿る前世の知識一一魔法に満ちたこの世界で、私は学び、力を試し、運命を切り開く。しかし、平穏な日々は長くは続かない。未知の力と危険が待ち受ける新たな人生が、今、始まろうとしているーーー!



 今思えば、くだらない人生だった。

 十八歳までは普通に暮らし、大学は都心の最難関大学に進学。勉強はそこそこできる方で、大学でも資格勉強に励んだ。だがサークル仲間も恋人もおらず、友達も少ない。就職も平凡で、大手企業に入り、気がつけば部長にまで昇りつめていた。


 そして今、静かに人生の幕を下ろそうとしている。

 これまでの人生が走馬灯のように流れたが、どれも心を沈める記憶ばかりだった。ブッダは苦行を途中で辞めたらしいが、我々にとっての苦行――労働は、ようやくこれで終わるのだろう。


「俺もこれで仏様になれるな」


 ふっと身体が軽くなり、意識は暗闇へと沈んでいった。



---


「……た、産まれた」


「オギャア!」

(は?)


「まって、泣かないで、静かにして、お願い。……ああでも、泣いてくれなきゃダメ……」


「オギャァ!」

(なんだ、ここは!?)


「おい、いたぞ!あそこだ!」


「お願い神様、どうかこの子だけは……! アアッ! 痛い! ……そうだ、ここに―――。またね、私の赤ちゃん」



---


 気がつけば、俺はベッドの上で寝かされていた。

 やたらとアンティークな部屋だ。ここが天国というやつだろうか。


(それにしても、あの夢……。生前の記憶でもないし、なんだったんだ?)


「あ、気がついたようですね。旦那様、旦那様!」


(メイド服……?それに美しい容姿だ。だが喋ろうとしても声が出ない。なぜだ?)


「そうか。それは良かった。では、この子は私達で育てよう」


「はいっ」


 部屋に入ってきた旦那様とやらは、三十歳前後。腰まで伸びた銀髪、琥珀色の瞳、鋭い目つきで、自分にはなかった美貌。勲章や階級章をつけた軍服姿。黒い手袋は……何かを隠すためだろうか。


 メイドは二十代。銀髪に黒い瞳。腰までスラリと伸びた髪に、典型的なメイド服を着ている。


「オギャア! オギャア!」

(おい、ここはどこなんだ)


「急に泣き出したな。腹が減っているのか?」


「オギャア!」

(戯け、日本語がわからんのか? ……待て、今の声……オギャア!?)


 言葉を発しようとしても、「オギャア」に変換されている。


「オギャア、オギャア」

(俺、転生したのか? そんなことが……あるのか?)



---


 やがて俺は「シャーロット・エルヴィス」と名付けられ、貴族の娘として育てられることになった。

 性別は……女の子だ。


(俺は六十五歳の男なのに……女の子?)



---


 五年が経った。

 俺はもう文字を理解し、読み書きも会話も完璧だ。この世界には“魔力”を用いた“魔法”と“魔術”が存在し、魔法使いには階位があることも分かってきた。


 父――レイア。最初に世話をしてくれたメイド――アガサ。

 兄が三人、姉が一人。皆優秀で、魔法学校に通っている。俺も六歳になれば入学するらしい。


「アガサ、今から魔法を教えて下さいますか?」


「ええ、大丈夫ですよ、シャルお嬢様」


 いつの間にか“シャル”と略されていた。


「ありがとうございます! また座学ですか?」


「はいっ」


「やったあ!」


「ふふ、まあシャルお嬢様ならすぐに理解されるでしょう」



---


 魔法のランクは下から順に――。

“素人”、“見習い”、“ブロンズ”、“シルバー”、“ゴールド”、“第三階位”、“第二階位”、“第一階位”、“星級”、“王級”、“帝級”、“神級”、“禁術級”。


第三階位からは、マジッカー、星級からはネームドと呼ばれるらしい。


(前世の知識を使えば、楽勝だな)



---


 夜。

 俺はこっそり屋敷を抜け出し、鍛錬を日課にしている。


「男を隠すために敬語を使ってるが……社畜時代を思い出すな」


 街は栄えていて、東京ほどではないが活気にあふれている。路地裏を歩いていると――。


「きゃあ! 誰か助けて!」


 同い年くらいの少女が不良に絡まれていた。


「大丈夫ですか?」


「誰だガキ! お前も殴られてぇのか?」


「兄貴、あれ見てくださいよ。エルヴィス家の紋章の入ったペンダント……」


「どうせパチモンだろ!」


(脳まで筋肉か、こいつらは)


「おらぁ死ね! 漆黒の剣士と呼ばれた俺にひれ伏せ!」


(……うわ、痛い奴)


 殴りかかってきた瞬間、俺は指を弾いた。


「えいっ」


 デコピンのような動作。

 だが次の瞬間、石ころが飛び、不良の目玉に命中する。


「ぐあああああっ! 目がぁぁぁぁ!」


「お、覚えてろ! 兄貴、行きましょう!」


 不良たちは逃げ去った。


「大丈夫ですか?」


 俺は美しき少女に手を差し伸べた。


ご覧いただきありがとうございます!


本書は「異世界に行ってみたい!」という願望を思い切り叶えるために書きました。魔法学校に通ったり、最強キャラになったり、冒険したり、恋愛したり読者の皆さんの「やってみたい!」を詰め込んだ異世界ファンタジーです。


この物語では、さまざまな方向から楽しめる冒険や成長のストーリーを描いています。少しでもワクワクしてもらえたら嬉しいです!


もし気に入ってもらえたら、コメントや感想を頂けると書き手として大きな励みになります。


二話目もぜひ楽しみにしていてください!!!

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