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混乱した答え
拓斗からの真っ直ぐな告白に、舞桜の心は激しく震えた。
彼の「初恋よりも、僕を見て欲しい」という言葉は、舞桜の心に深く響き、確かに彼への想いが、長年抱き続けた初恋の記憶を凌駕していることを自覚させていた。
しかし、舞桜の口から出たのは、思いもよらない言葉だった。
「ご、ごめんなさい……!」
舞桜は、咄嗟に頭を下げ、その場から駆け出してしまった。
拓斗の真剣な瞳から逃げるように、その告白から逃げるように。
(どうして……どうして言えなかったんだろう……)
舞桜は、放課後の廊下をただ夢中で走った。
頬を伝う涙の理由は、自分でも分からなかった。
拓斗のことが好きだ。
心の底から、そう思っているのに。
それでも、長年守り続けてきた初恋の相手への気持ちが、舞桜の足枷になっているようだった。
本当に初恋を捨ててしまっていいのか。
過去の自分を裏切るような気がして、一歩を踏み出す勇気がどうしても持てなかったのだ。




