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「どうして川に落ちたりしたんですか?」
と怒った声で赤色の花は言いました。
「あなたに贈りものをしたいと思って、とても綺麗な石があったんです」と情けない顔をして、白い猫は言いました。
赤色の花は(怒った顔のままで)無言のままです。(当然です)
「雨が降ると、あんなに川が暴れるなんて知りませんでした」と白い猫は言いました。
「でも、もう一度、あなたに会いたい。と思って、必死に泳いでいたら、なんとか暴れる川から奇跡的に泳ぎきることができて、助かることができました。足を少し怪我をしてしまいましたけど」
とまいったな、と言ったような顔をして白い猫は言いました。
「これ、そのときの石です。あなたに贈ります。受け取ってください」
と言って白い猫は綺麗な石を赤色の花の前にそっと置きました。(最初にやってきたときから、その口に綺麗な石を噛んでこの場所まで持ってきていました)
その石はたしかにとても綺麗な石でした。(宝石の原石のようでした)
「綺麗な石なんていりません」と赤色の花は言いました。
「じゃあ、どんなものなら喜んでくれますか?」と白い猫は言いました。
その白い猫の言葉に赤色の花はとても綺麗な涙を流しながら「あなたが無事ならそれでいいです。なにもいりません」と白い猫に言いました。