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やがて森に雨が降りました。
ざーという雨の音が聞こえてきます。
その日は、いくら待っても白い猫は赤色の花のところにやってきてくれませんでした。
どうしてんだろう? 白猫さん。
と雨から自分のことをきっと白猫さんが守ってくれると思って楽しみにしていた赤色の花はとても不思議でした。
暗い空の下で、赤色の花は雨に降られながら、なんだかきゅうに泣き出してしまいたいくらいに、とっても悲しい気持ちになりました。
赤色の花は白い猫に会いに行きたいと思ったのですが、もちろん花は歩くことはできません。だから、赤色の花は白い猫を待っていることしかできませんでした。
雨は止んで、いつものきらきらとした森の天気になりました。
その日、夜が騒がしいと思ったら、星と月が喧嘩をしていました。
星と月はとても仲がいいことで有名でした。
へー。あんなに仲良しの二人でも喧嘩をすることがあるんだな、って、すやすやと眠っていた赤色の花は、そっと目を開けて、雨あがりの月の出ている満天の星空を見ながら思いました。
次の日も、次の日も、白い猫は赤色の花のところにきてくれませんでした。
なんだかだんだんと赤色の花は腹が立ってきました。(毎日、楽しみにしていたのです)
もう白猫さんなんて知らない、と赤色の花は思いました。
でも、不思議なことに、なぜか、赤色の花は白い猫のことを(優しい笑顔を)忘れることができませんでした。