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白い猫は咲いている花のことをあきらめようと思ったのですが、どうしてもあきらめることができませんでした。
一目惚れの恋でしたが、白い猫の恋は、本当の本当の恋だったからです。
迷惑だし、嫌がられるかも、と思いましたが、白い猫はもう一度、咲いている花のところに(勇気を出して)行きました。
「こんにちは」と白い猫は言いました。
「あら? こんにちは。どうかしたんですか? 白猫さん」と咲いている花は白い猫に言いました。
「あなたは本当に美しい。あなたみたいに美しい花を見たのは初めてだったんです」と(恥ずかしそうに顔を赤くしながら)白い猫は言いました。
「どうもありがとう」と咲いて花は(そんなこと当たり前でしょう、と思いながら)言いました。
咲いている花は鮮やかな赤色をしていました。
本当に美しい赤色でした。
赤色の花は緑の葉で自分の口元を隠すようにしてくすくすと笑いました。
白い猫は赤色の花があまりにも美しので、その顔を見ることができずに、花びらの先のほうや、首元のあたりや、みずみずしい緑色の葉の表面などを見ていました。
そんな白い猫を見て、またくすくすと赤色の花は(子供みたいに)笑いました。