第7話:チェスト~
しばらく歩いても人一人にすら出会わない。流石に一同も不安を感じ始めた。
「おい、中国も既にやられているんじゃないか」
亮太が言うと、みんな黙り込んでしまった。
そのまま歩き続けると気が付けば北京の中心部にまで辿り着いてしまった。
「あ、そうだ。これ渡しとくよ」
和司はバッグから何かを取り出しだ。そこには紙と銃弾が袋に入れられていた。和司はそれを純、尚人、亮太に渡した。
「和司、何これ?」
純が和司に聞く。
「新兵器が開発できた。使い方は簡単だ。普通の銃弾と同じようにして使えばいい。効果は紙に書いてある」
三人は和司の話を黙って聞いた。
「テスト用として使ってくれ。不備があったら改良する」
そのまま、和司は話を続けようとしたときに、健斗は背中に嫌な気配をかんじた。何かと思って後ろを振り向くと信じられない光景があった。
「どうかしたけ」
尚人が様子のおかしい健斗に話しかけた。健斗が向いている方向を見ると言葉を失った。何十体、いや何百体のライスヒューマンがこっちに向って歩き出してきた。
「まじかよ」
前にいた和磨からも声が洩れた。
「囲まれたな」
こうちゃんがそう言うと全員背中を向け合い丸い円を作った。
「どうしますかねぇ~康太隊長」
和司がふざけながら言う。
「じゃあとりあえず正面突破ってことで」
「異議無し」
一同がそう言うと皆バラバラにライスヒューマンに向っていった。
「死ネ、死ネ、死ネ、死ネ~」
そう言いながらショットガンとマシンガンを乱射する尚人と純は、高級料亭へ入って行き、その後を康太が追っていった。
「くそおにぎり、くそおにぎり」
和磨は叫びながらライスヒューマンを次々に殴り飛ばして行った。その後ろを亮太とこうちゃんが援護していった。
「チェスト~」
和磨は廃病院の入り口に突っ込みそのまま奥へ入りこんで行った。
「ちょっと待てよ」
亮太とこうちゃんは急いで和磨を追った。
「ハッハッハ、消えろ、消えろ」
激しい爆発音と笑い声が戦場に響き渡る。
「危ねぇよ」
健斗はそう言いながら次々に飛んでくる破片を避けながら、ライスヒューマンを倒していく。
「和司、あそこの中学校へ逃げ込むぞ」
「なんか中国の学校ってワクワクしねぇ?」
ダイナマイトを片手に持ちながら和司は眼を輝かせながら答える。
「はいはい、そうだね」
健斗は軽く受け流し、二人は中学校の中に入っていった。