第19話:衝撃
星野にやられた和磨は立ち上がった。
「俺は何のために戦場に立っている?まだ右の拳があるだろ!」
だが隙を作らないと当てることができない。ボロボロになった和磨に隙を作ることができるほどの余裕は無かった。その時、瀕死になっていた仲間も立ち上がった。
「和磨、五秒ならなんとかいけるぞ」
「そんだけあれば、充分だ」
星野にも弱点があることを全員が気が付いていた。攻撃直後の僅かな時間。そこを突くしかない。亮太は最後の銃弾を星野の足元目掛けて発砲し、純もマシンガンを星野の足元目掛けて撃った。星野の狙いが和磨から亮太と純に変わった。星野は亮太にラリアットを食らわせ、純の腹目掛けて蹴りを入れた。
星野が純の腹に蹴りを入れ終わったとき、こうちゃんと健斗は星野の背後に回り、攻撃を仕掛けた。星野は攻撃される前に後ろを振り返り、跳びかかってきたこうちゃんと健斗を叩き落とした。その直後に康太は日本刀で星野の左腕に斬りかかり、和司は短刀で右腕に斬りかかった。しかし、二人の攻撃は弾かれ、すぐに星野の反撃を食らった。最後に残った尚人は散弾を星野の頭に目掛けて撃った。星野は素早い動きで散弾をかわし、尚人の背後に回り、拳を振り上げた。拳は尚人の後頭部に命中し、尚人は地面に叩きつけられた。
その時、和磨が星野の背後に回った。
「みんな恩に着る。食らえ究極の右ストレート」
和磨は右腕を振り上げ、構えた。
「萌え萌え真拳奥義・一枚ガラス割り正拳!」
渾身の一撃は星野の頭の中心をえぐり、梅干を破壊した。
みんな力尽きており、和磨もその場に倒れこんだ。気が付けば、一番星が出ている。
全員が起き上がろうとした時、あの男が俺達の前に姿を現した。サングラスの男だ。
「まさかここまでやるとは。素晴らしいの一言に尽きる」
男はそう言い、拍手をした。
「何の用だ」
こうちゃんが鋭い目つきをしながら聞いた。和司だけは何しにきたか検討がついていた。
「そろそろ正体を明かそうと思ってね」
男はまずサングラスを外し、眼鏡に付け替え、カツラを取った。
「お、お前は」
全員声が震えている。驚きを隠しきれていない。
三年三組になってから毎日見ている顔。三年三組の担任だ。全員が声をそろえてその名を呼んだ。
「と、得一…」
第二部終了です。