第18話:復活
星野が康太の顔に食らいつこうとした時、ビルの影から誰かが現れた。
「オワタ~」
ヌンチャクが星野の顔をえぐり、星野は吹き飛んだ。
「誰だ!」
全員がその誰かの方を見た。手にはヌンチャク、チャイナドレスに身をまとい、そして背中には「萌」の一文字が。
「無事だったのか」
和司がそう声を洩らす。そこには死んだと思われていた和磨の姿があった。あの事故からどうやって生き延びたんだ。
「ったく、心配させやがって」
こうちゃんが言った。それにしてもその服装はどうした。
「悪い、ちょっと服が無くてね」
和磨はそう言い、星野を睨みつけた。
「星野、調子こきやがって。中国四千年の歴史を受けてみろ!」
和磨は星野へ向って行った。この時、和磨を除く全員が同じ事を思っていた。
「和磨、お前日本人だろ」
星野はすぐに起き上がり、和磨に向って行った。
「食らえ!」
和磨は巧みにヌンチャクを使い、星野の体を殴打した。星野はヌンチャクの殴打に持ちこたえ、和磨の体に数発拳を打ち込んだ。和磨はヌンチャクで星野の拳を受け流した。しかし、受け流しきれずに一発、左胸に拳を受けてしまった。
「なかなか強いな」
左胸を押さえながら呟く。結構効いたな。
「和磨がやられたら終わりだな」
亮太はそう言うと、瓦礫の上に座り始めた。もう、こっちには和磨しか対抗できる相手がいない。
「オラァ~」
和磨はヌンチャクを星野のあごの下に決めた。一瞬隙ができる。間髪入れずに星野の腹に蹴りを入れた。
「ハァハァ」
だんだん和磨の息切れが激しくなってくる。星野は再び起き上がる。この時、康太は重要なことに気が付く。
「このままじゃ、負けるぞ」
「えっ」
全員驚きの声を上げる。
「和磨の体力には限界がある。だが、星野を見てみろ。息切れ一つしていない」
人間とライスヒューマンの差がここにきて、はっきりと出始めた。
「和磨、早く決めろ!」
尚人が声を上げる。
「分かってる!食らえ、和磨乱舞」
和磨は倍近いスピードでヌンチャクを振り回した。
「オタオタオタオタタタタァ」
ヌンチャクの乱舞が全て命中し、星野は近くにあったビルの一階にまで吹き飛ばされた。
「頼む、そろそろダウンしてくれ。」
そんな和磨の期待を裏切るようにして、舞い上がる煙の中から星野は現れた。そして、一瞬で和磨に詰め寄り、和磨の右手にあるヌンチャクを弾き飛ばした。
「しまった」
そのまま和磨にボディブローを入れる。
「グァー」
倒れようとする和磨に回し蹴りを入れ、さらにかかと落としも命中させた。
「ヤバイ。和磨を助けるぞ」
全員が星野を止めに向かうが、進化した星野は誰にも止められなかった。
最初コメシスと戦った時の圧倒的な力の差がそこにはあった。