第16話:最終局面
「紫電一閃」
康太はコメシスを斬りつけた。コメシスは刀を二本を交差させるようにして攻撃を防いだ。
「剣術にも精通しているのか」
康太はコメシスに詰め寄り、攻撃する。コメシスも刀を二本使い、攻撃した。ぶつかりあい、互いに一歩も退かなかった。コメシスは二本の刀を巧みに使い、康太を押し始めた。康太は一本の刀のみを使い太刀筋を受け流す。
「まずいな。このままじゃやられる」
康太は一旦退き、壁を蹴りコメシスの背後に回った。がら空きとなったコメシスの背中を斬りつけるが、かすり傷一つ負わない。やはり、手足でないと無理か。コメシスはすぐに右腕を振り、背後にいる康太を斬りつけようとした。康太はしゃがんで攻撃をかわし、コメシスの膝の裏側を蹴った。コメシスのバランスが大きく崩れる。康太は急いでコメシスから離れ間合いを取った。
「これで終わりだ」
コメシスがこっちに向って走ってくる。康太は深呼吸をして刀を構えた。
「森羅万象」
辺りが静かになった。その時、コメシスが持っていた二本の刀の刃が砕けた。コメシスは使い物にならなくなった刀を放り捨て、雄たけびをあげている。
「こうちゃん!」
康太はこうちゃんを呼んだ。こうちゃんはすぐに康太の下へ駆けつけた。そして、康太はコメシスの右腕を掴み、こうちゃんはコメシスの左腕を掴んでコメシスを投げた。コメシスは宙を舞い、武道場の壁を突き破り、外へ投げ出された。
武道場の外には純が待ち構えていた。
「まだ終わりじゃないぜ、ソーラーヒートショット」
放たれた銃弾はコメシスの右足に風穴を開けた。右足は完全に崩れ落ち、膝をついた。コメシスはそこから力任せに腕を振る。
「危ね」
純は後ろに跳び、寸前のところで回避した。
「純、下がれ」
和司は液体の入った瓶をコメシスに向って投げ、それを尚人が銃弾で打ち抜いた。瓶の中に入っていた液体がコメシスの右腕に降りかかった。
「その液体はガソリンだ。頼むぜ尚人」
「任せろ、バーストブレッド」
激しい爆発と同時に炎が右腕を包む。必死に炎を消そうとするコメシス。
「もらうぜ、その右腕。悪魔の裁き」
コメシスの真上から現れた健斗。トンファーを振り落とし、肘から下の部分を叩き落とした。コメシスの周りには全員集まっている。
「亮太、やってくれ。」
亮太は康太にそう言われると、あるものを取り出した。抗ウイルス剤だ。
コメシスに抗ウイルス剤を打ち込む。
「これで終わった」
誰かがそう呟いた。今までの事が走馬灯のように蘇ってくる。
その時、和司と康太はサングラスの男を見つける。男の顔は笑っていた。
もしかして、これで終わりじゃないのか。