第9話:雑魚じゃない
「くそっ、さっさとどっか行け」
尚人は二階の広間に上がってもライスドッグが倒せずにいた。こんな状況のとき、船の中で康太に言われたことが頭に響く。
「あ~ウゼェ」
いつまで経っても攻撃するチャンスが来ない。お互い間合いを取っている。それだけではない。康太のあの声が蘇る。
「おい尚人、お前次コメシスと闘うときどっかに隠れていろ」
「はっなんで?」
「なんでっていても意味ねぇから」
「それはどういうことだ」
「お前のショットガンは命中率は良いが弾が分散するため、他の銃弾より威力が低いんだ。そんなんじゃ俺達の足を引っ張るに決まってんだろ雑魚」
尚人は三階へ続く階段を登り始めた。ライスドッグもそれを追うようにして階段を登る。
「もうあんなことは言わせない」
尚人は階段の途中でつる下がっていたシャンデリアに飛び移った。ライスドッグもそれを見るとこっちに飛び移ってきた。
「俺は…雑魚じゃない、強いんだ」
尚人の眼にはコメシスとライスドッグが重なって見えた。
「バーストブレッド」
放たれた銃弾は普通の銃弾に見えた。だが、銃弾はライスドッグに刺さり、爆発が起こった。ライスドッグは力無く回転テーブルへと落ちていった。
シャンデリアから飛び降りた尚人はこのとき初めて康太がいた事に気が付いた。
「なかなかやるじゃん」
康太はそう言うと一階へ戻っていった。
この時尚人の心は喜びで震え上がっていた。康太が認めてくれたという事もあるが、まだまだ強くなれるという事がとてもうれしかった。
「もっと、強くなりたい」
その心が尚人を進化させた。