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第五話 初配信前日!?配信準備の大波乱

 朝日が部屋に差し込む。

 俺はまだ眠気が残るままリビングへと向かった


颯太そうたおそいよ!」

 ソファーに座り俺を見ているのは由乃ゆのだった


「なんでお前がここにいるんだよ!」

「なんでって昨日のこと覚えてないの?」


 昨日…あの後結局由乃(ゆの)が『私まだ機材準備してないよー』って言ってきたから準備手伝ってやって、その後なんかあったっけ?


「昨日、明後日初配信だから明日準備するよって言ったじゃん!」


 完全に忘れてた。てか明日初配信!?早くね?


「ほんとに明日なのか?」

「だってほらメールにも月曜日って書いてあるよ」

 スマホの画面を覗くと画面には確かに月曜日って書いてある。


「おい、これ来週の月曜じゃね?」

 由乃が再度スマホを見ると、途端に後ろに後ずさる。

「誰でも間違うことはあるよね!それに早めに準備することは悪いことじゃ―――」

 ―――バチッ

 俺は由乃のおでこに軽くデコピンをする。

「言い訳するな」

「ごめん〜なさい」

 テヘッっと誤魔化すコイツにもう1発ぶちかまして、やりたいが心の内に留めておく


「せっかくなんだから準備しよっ!颯太そうた一人じゃ準備出来ないでしょ」

 実際否定できない…


「で、何から準備すればいいんだ?」

「おー!やる気になった!前は機材準備したから今回はキャラ作りかな?」


 キャラ作りって前、面接の前に言ってたやつか?クール系だのイケボだの言ってたけど、絶対由乃には任せない方がいいな


「キャラ作りは自分でやるからお前は自分のやってろ」

「私はもうキャラ作ったよ!真面目で頭も良くて冷静な上官キャラ!」

「いや反対だろ」

「キャラ作りなんだからいいの!」

「そうか…ならいつもと違うキャラでいくか」

 キャラ作りっていつもと違くてもいい

 それなら―――

「由乃がボケで俺が突っ込み。これでいかないか?」

「おお!それいいかも!ザ幼なじみって感じ?」


 幼なじみってボケツッコミが普通なのか?


「じゃあ早速練習しよっか!」

「えーめんどくさい」

「いいじゃん!やろうよ」


 そんなやり取りをしていると颯太と由乃のスマホから通知音が鳴った


「なんだこれ?」

 画面には大きく何かの3Dモデルが表示されている。送り主は「VA-PRO(ヴァープロ)」だった。


「これは私たちのVTuberとしてのモデルだよ!」

「これがか?俺達と似てると思うが」

「でも颯太のはかっこよくて私のはかわいく仕上がってるよ!」


 確かに現実の俺とは似つかないほどイケてる。自分で言うのもあれだがVモデルってこんなに修正効くのか


「どう?私のモデルは」


 由乃が見せてきたモデルはふわっとしたツインテールに大人な笑みを浮かべる女の子のモデルが表示されていた。


「…お前、本当にこれでいくのか?」

「え?なんで?可愛いじゃん」

「いや、確かにそうだけど、由乃が演じるのは無理があるんじゃねえか?」


「失礼な!私だっておしとやかなキャラだって演じられるもん」

「絶対無理だな」


 俺のツッコミに、由乃は頬を膨らませてソファーに座り込む


「もういいもん!練習して見返してやる!」


―――――――――――――――――――――


 俺たちはさっそく配信の練習を始めることにした。discordの通話を使って、模擬的にやることにした


「みなさーん、初めまして!鈴咲由乃です!」

「おい、本名言ったらダメだろ」

「あ!そうだった……じゃあ由月!鈴鳴由月すずなりゆづきでいく!それで颯太は…」


 俺のも決めるのか


「鷹見だから鷹、鷹って英語でなんて言うっけ?スパロー?」

「スパローだとすずめだぞ鷹ならホ―――」


「じゃあパロ太でいっか!風見かざみパロ太」

「いやダメだろ」

「えーいいじゃんパロ太ってかわいくない?パロ太なら人気でるよ!」


 俺は由乃に言われるがままに決めたけど、ほとんど強制的に決まったぞ。


「じゃあもう1回やるか」


「みなさーん初めまして!鈴鳴由月すずなりゆづきです!」

「おい、最初の挨拶からテンション高すぎだろ、おしとやか要素はどこいった」

「だって、最初は明るい方がいいじゃん」

 由乃のノリノリな発言に呆れながら流れについていく


「どうも。初めまして俺は…」

 一瞬さっき決めた自分のキャラを思い出す。ツッコミの幼なじみ男子、いつもと変わらないが、それを意識して話すのは意外と難しい。


「俺は風見かざみパロ、パロ太です」

「颯太、声低めにしたね!いいね」


 由乃は褒めているようが、これが褒められてるのか微妙だ


 練習はどんどん進み、雑談やコメントを読む練習をしたりした。


「颯太、コメント読むときもっと感情込めて!」

「感情込めろって言われても、まだコメント自体ないだろ…」

「練習なんだから想像してやろうよ!例えば、こんな感じ!」

 由乃が自分でコメントを想定して読み上げる。


「『由乃ちゃん、めっちゃ可愛い!』――えへへ、ありがとー!嬉しいなぁ!」

「……自分で考えて自分で反応してるの、地獄みたいだな。」

「なんでよ!練習だもん!」


 この後も配信練習は続き日が暮れる頃まで続いた。


「これで来週の配信も大丈夫そうだね!」

「そうだな」


 俺らはその後解散し、ひとりベッドで寝っ転がっていると、

「颯太!今日変えた名前、運営の方に連絡しといてね!」

 と由乃からLINEで送られてきた。

 名前って風見パロ太の事か?まじでこの名前でいくのか…嫌だけど自分にもセンスねぇからしょうがないか…

 俺は運営に名前の件を報告し、スマホの電源を切り床につく。

 初配信……正直いやだ!

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