第八話 水の魔法
森へ入った途端、大量の魔物が現れた
「なんだ? この量は」
「じゃ一気に魔法で・・・」
「マリス駄目だ!!」
「どうして? 一瞬で終わるのに・・・」
「こんな森の中で火の魔法なんか使ったら辺り一帯、山火事だ」
「あ・・・」
「面倒でも一体ずつ倒しながら湖を目指そう」
「そうね・・・」
「ところで・・・あの魔物は?」
「あれはワイルドボア、Cランクの魔物ね」
「どう数えても30数体いるな・・・」
「換金アイテムは口の横に生えている牙よ」
「分かった 行くぞ!!」
この会話から数時間後、36体を倒し湖に辿り着いた
「ここに精霊がいるのか?」
話に聞いていた通り、顔が映るほどの鏡のような水面だ
『人間が我に何のようだ』
「あなたが水の精霊ですか?」
『ああ水を司る精霊ウンディーネだ
ん・・・その剣、なるほど・・・お主がリュウキか』
「俺の事を知ってるんですか?」
『ああ神より近いうちに行くだろうと聞いている』
「ねぇリュウキ、いったい誰と会話しているの?」
「えっ誰って目の前にいる精霊と・・・」
「何も見えないし何も聞こえないんだけど?」
『リュウキよ我は剣を持つお主にしか見えぬし会話も聞こえぬ。
声に出さなくても頭で考えるだけで会話は出来る
聞かれたくない話なら心の中で考えるだけで通じるから声には出すな』
「ごめん。 マリス俺にしか姿は見えないし声も聞こえないみたいだ」
「そうなの・・・残念・・・」
「それと、心の中で会話するのが当たり前らしくて・・・」
「わかった。 しばらく周りを警戒しておくね」
『別に当たり前ではないのだが・・・』
『いえ・・・そういう事にしておいてください』
『他の精霊たちも同じだからな』
『そういえば神様から精霊の依頼を達成できれば魔法を使えるようになると聞いたんですが?』
『ああ、それで頼みなんだが・・・最近この辺りに魔物が増えてしまってな、30体ほど倒してくれないか』
『それなら既に街道から、この湖に来る間に36体ほど倒しましたが?』
『おお本当か!
それなら直ぐにも魔法を授けようぞ』
『本当ですか!?』
『ああ目を閉じて気を楽にしているが良い』
言われたとおり目を閉じていたが何も起きる気配がない
『終わったぞ』
『え? 何もされた気配がないんですが?』
『いや・・・もうお主は水の魔法を使える
アクアで水球 ミュールで回復魔法を使える』
『詠唱はいらないんですか?』
『調べたがお主の魔力は段違いだ
無詠唱でどんな魔法でも使うことができる』
『ありがとうございました』
『よいよい・・・これからも頑張れよ』
『あの・・・別の精霊の居場所をしりませんか?』
『隣国の火山に火の精霊がいるが』
『では早速、行ってみます』
『気をつけてな』
本当に見張りをしてくれていたマリスに声をかけた
「マリス終わったよ」
「早かったんだね。魔法は? 覚えたの?」
「教えてもらった
魔力が強いらしくて無詠唱で使えるらしい・・・」
「なんかズルイ・・・」
「次は隣国の火山に火の精霊がいるらしいから早速行こうか」
「じゃ一度、ガルドの町に戻ろ
旅の用意もあるし、ランクアップも換金もしたいし」
山を降り、来る時とは違い5日かけて歩いてガルドに戻った
第八話更新です
物語の中で『歩いて約5日』と書いていますが、これは1日の明るい時間だけ歩いて夜は寝ているので実質1日辺り7時間ほどです。
時計の無い異世界で時間を出すのは矛盾していると思い、こんな設定にしました。
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