第二十三話 決勝戦
少し話が長くなってしまいました・・・
決勝戦当日、4人の騎士の護衛付きで闘技場に辿り着いた
「リュウキ観客席で応援してるね。頑張って」
マリスとそう会話をしていると騎士がマリスに注意してきた
「失礼ですがマリス殿、観客席ではなく我ら騎士の席で一緒にご観覧下さい」
「・・・どうして?」
「準決勝が終了した時点でリュウキ殿とマリス殿が一緒に居たところを目撃されております。 他の観客からリュウキ殿の仲間という事で暴行される恐れがあります。」
「マリス・・・そうみたいだから騎士達と一緒に居てくれ!」
「分かりました・・・お願いいたします・・・リュウキ、気をつけて」
「マリスもな・・・」
マリスと別れ控え室に行くと全身をくまなく覆う鎧を身に着けたマロイズと目が合った
「君がリュウキか・・・言っては失礼だが、あまり強そうには見えないな」
「いえ・・・運良く準決勝まで上がったただの傭兵ですから・・・」
「決勝は俺とシュバイク殿になると誰もが予想していたと思ったのだがな」
「シュバイクは何者なのか知っているんですか!?」
「今はまだ言えぬ・・・」
もうそろそろ決勝戦が始まる時間のようだ
「ただいまより武道大会決勝戦を開始いたします!!!」
「マロイズ殿、試合結果に恨まないでくださいよ・・・」
「望むところだ!! 手加減は無用!!」
「それでは闘士の紹介をいたします
まずは近衛騎士団最高の防御力を誇るマロイズ=リュックベルト!!」
マロイズの紹介とともに観客席から声援が飛び交っていた
「対するは剣技と魔法を使い分け危なげなく決勝戦まで勝ちあがってきた傭兵リュウキ=カイドウ!!」
俺のことが紹介されるとマロイズ程ではないが歓声が聞こえてきた
一部、『マロイズ構う事はねえ殺せ』という危なっかしいヤジも聞こえた気もするが・・・
「それでは決勝戦はじめてください!!」
相手の出方を見るため、その場で剣を構えて待機していたのだが突然マロイズが切りかかってきた
準決勝で戦ったシュバイクよりも動きは遅いものの力はあるようで2メートルほど後方に弾き飛ばされてしまった
「リュウキ殿どうした? かかって来んか!!」
『セイ、行くぞ!!』
『心得た!』
剣を中段に構え下から上へ切り上げる動作でマロイズに切りかかる
ガシャ・・・・パリン・・・
マロイズに当たりはしたものの鎧の一部を砕いただけだったようだ
「ほう・・・この鎧に傷をつけるとは少しは出来るようだな」
マロイズから再び剣戟の嵐が続くが開始早々とは違い全て剣で防御するか受け流していた
『セイ、作戦通りに』
『了解じゃリュウキ殿、魔力は衰えてはおらぬ勢い良く行け!!」
「マロイズ!これで終わりだ!!」
「何を馬鹿なことを・・・」
「アクア!」
呪文を唱えた直後、直径4メートル近くもある水球がマロイズを内部に取り込んだ
そして、そのまま場外へ移動しマロイズは水球内より弾き出され地面に叩き付けられる
「場外!! マロイズ選手場外です。よって優勝はリュウキ=カイドウに決定しました」
「楽勝だったな」
『リュウキ殿・・・詠唱しなかったのではないか?』
『あ!?・・・しまった・・・』
「それではリュウキ=カイドウ選手には後日、城の玉座の間にて表彰式が執り行われます」
そう司会者が言った時、ようやくマロイズが場外より起き上がってきた
「リュウキ殿、剣技を囮にして魔法を使うとは・・・俺の完敗だ・・・」
「あんたも強かったぜマロイズ!」
がっしりと握手を交わし舞台を後にしマリスの待つ闘技場入口へ
「リュウキ! 優勝おめでとう」
見るとマリスの周りに護衛の騎士が4人とマロイズのような全身鎧を着込んだ騎士3人が待ち構えていた
「マロイズ、頑張ったが相手が悪かったな・・・」
「近衛隊長・・・」
どうやら、この3人は他の近衛騎士のようだ・・・
「リュウキ殿、闘技は終了しましたが表彰式まで城の客室にてお休み下さい」
「わかりました。 マリス行こうか・・・」
「うん」
俺達が護衛騎士とともに立ち去ったあとマロイズを含めた4人の近衛隊はというと・・・
「アリィ、魔術師のお前から見てリュウキ殿はどうだ?」
「ハリア隊長、リュウキ殿の魔力ですが一般の魔術師にくらべ桁が違いすぎます」
「アリィお前よりもか!?」
「はい・・・カイン副長、推測ですが少なくとも私の100倍近くはあるかと・・・」
「100倍!?」
「アリィの魔力だって一般と比べても高いほうじゃないか・・・」
「しかも・・・魔力が全然、減ってないように思われます」
剣だけでなく魔法も玄人の域に達するリュウキはこれから先、どうなるのか?
第23話が完成しました
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