第十六話 予選開始
内心、武道大会に緊張し眠れないかと思われたが熟睡し予選の朝を迎えた
少し道に迷いはしたが誰にも襲われることなく無事に闘技場に辿り着いた
「さて予選って、どういうことをするんだろう?」
「たぶん・・・人数減らすためだろうから何人かで乱戦になるんじゃないかな?」
そうこういってる内に出番が来たようだ
「ギルドで出場登録なされたリュウキ様、リュウキ=カイドウ様!」
「あっ! はい」
「D会場まで準備を整えてお越しください」
「D?」
「闘技場内にはA~Fまでの闘技会場がありますので」
「わかりました直ぐに行きます」
「私も応援するために一緒に行くね」
「いえ・・・お連れ様は闘技会場にも控え室にも入る事は出来ません」
「そうらしい・・・じゃ、行ってくる」
そうマリスに言って闘技会場控え室に行くと傭兵から騎士まで約15人が準備していた
「ここが控え室か・・・」
「おう!坊主も出場選手か? 大丈夫か、そんな細いナリで・・・」
「ええ・・・そうですがあなたは?」
「俺はガリス=シュバイザー。 傭兵だ」
「よろしくリュウキ=カイドウ Bランクの傭兵です」
「俺はAランクだよろしくな
あと少しで予選が始まるが装備と心の準備は万全か?」
「予選ってどのような事をするのですか?」
「なんだ聞いていないのか・・・予選は控え室にいる全員との勝負だ」
全員と!? 全員、気絶させれば良いのか・・・大変だな・・・
「ああ、判定は場外に落下するか気絶するかで決定するから危なくなったら場外へ逃げろよ」
場外か・・・なら大丈夫だ全員、場外へ押し流してやる・・・できる事なら傷つけたくはないし
「ただいまより予選を開始いたします 選手の方は舞台へお越しください」
「いよいよだぞ坊主! 覚悟は決まったか?」
「はい」
こうして約10m四方のステージに全員が乗ったところで闘技開始となった
とりあえずマリスに言われたとおり詠唱するようにブツブツ言いながら剣で敵の攻撃を防御する
「おらおら!!坊主、防御ばかりでは試合にならんぞ」
離れたところで控え室にいたガリスが戦っているようだ
既に半数近くが場外に落ちたところで魔法を発動する
「アクア!」
自分を中心とした水の膜が何重にも形成されていく
次の瞬間、水が一気に流れステージにいた全員が場外へと押し流されていく・・・
「D会場で勝負が決まりました。本戦出場はリュウキ=カイドウに決まりましたーー!!」
どうやら自分だけがステージに立っているようで他は場外で、ずぶ濡れ状態になっているようだ
ふと目をやるとガリスが起き上がり話しかけてきた
「坊主!魔術師だったのか!? 帯剣してるから騙されたぜ・・・」
「いや剣士ですよ・・・魔法も使えるだけで・・・」
「・・・魔法の威力が魔術師並みなんだが?」
横で倒れていた大剣と重装備の男が起き上がって聞いてきた
「こいつはリン=フォールド、俺の相棒だ」
「よろしく。 たまたまですよ、一発で終わらそうと詠唱を長くしましたから・・・」
「そうか・・・だが負けは負けだ・・・」
危なかったな・・・バレなかっただろうな・・・
「これにて予選は終了します。 大会決勝は明日の朝よりA会場とB会場で行います」
終わったようだ・・・宿に戻って休もう
「マリス!予選突破したよ。 明日から決勝だ」
その夜、宿の部屋にて・・・
「リュウキ・・・さっき凄い魔力を感じたんだけど何かした?」
「水の魔法で全員を場外に押し流しただけだよ。心配しなくても詠唱を長めにしたし・・・」
「リュウキ!!!!」
「は、はい!?」
なんだろうと思っているとマリスが剣の柄を握ってきたので俺も握ることにした
『ねぇセイ、リュウキの魔力上がってない?」
『うむ・・・リュウキ殿が火属性魔法を覚えてから魔力が一回りほど上がったようじゃな・・・』
『そうなのか!?』
『リュウキ・・・一回で終わらそうと威力を上げたわね?』
『そうだけど・・・まずかったか?』
『はぁ・・・・・・・・・リュウキ・・・もう隠せないかも・・・』
『う~~ん・・・』
この時の俺はまだ知る由もなかった・・・
大会が終わってから、あのような結果になるとは・・・
第16話更新です
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