第42話 テロリスト(?)の捜索 その二
先週は体調不良のためお休みしました。
ごめんなさい。
それにしても、今回も中華国が関わった事件のようだな。
前回は、確か米海軍の機密情報を狙った犯行だったようだが、今回は日本の防衛省の機密情報を狙ったか?
それにしても中華国の組織はちょっと過激だよな。
街中で殺傷性の高いライフルを子供相手に使うなんてもってのほかだぜ。
こいつはちょっと後でお仕置きの必要性があるかなって考えていたら、俺の居候どもがワイワイと騒ぎ出したぜ。
お仕置きするにしてもこの事件が解決した後だと言って何とか宥めたんだが、正直言って怖いよな。
俺の居候どもで最近加わった神獣というか霊獣というか、あいつらが本気になれば、単体で一国の軍隊でも殲滅しかねないからな。
下手をすれば大国が亡ぶ。
勿論、俺の守護霊のコンちゃんだって、旧知のダイモンだって国崩しの能力を持った霊だからな。
こいつらの所為でハルマゲドンが到来しては、さすがに俺も困るぜ。
そうして、被疑者A(中華国人民解放軍総参謀部第二部上尉のリン・ホァンロウ)と被疑者B(中華国人民解放軍参謀部第二部二級軍士長のクァン・リャンスー)の二人には、取り敢えず監視の目を置いた。
今回は、俺の居候で、カラスの霊二匹なんだが、普通の者にはその姿が見えないし、壁などの障害は苦も無く通り抜けられし、俺に直結して情報を送ってくれる。
こいつを張り付けておけば少なくとも二人の動向は常時把握できる。
その上で俺はエレック君の連絡を待つ。
仮に今夜中に連絡が無い場合には、少なくとも、被疑者AとBの情報を防衛省と警察に流すつもりでいる。
防衛省は長嶋一佐、警察の方はこれまでの連絡先の神山警視ではなくって、公安部参事官の難波警視正という人だ。
どうも警視庁の公安部で防諜関係の業務を担当しているお人のようだ。
この人は長嶋一佐からの紹介なので俺自身は一度も会ってはいないが、直接つながるスマホの電話番号を聞いている。
何時でも電話してくれて構わないと言っていたから今夜24時まで待って他の情報が得られなければ、これまで得た情報を流す。
中華国の非合法工作員と思われる二人の被疑者の確保は、警察の仕事になるだろう。
少なくとも彼らのスマホともう一つ、耳につけているイヤホンを抑えなければデータが消去されるだろうな。
イヤホンは最新の耳掛けタイプのもので、イヤホンとBluetoothで常時スマホにつながっており、彼らが一言『ポーファ』と叫べば、それぞれのスマホの自壊装置が作動することになっている。
リンとクァンの二人とも同じ仕組みのスマホとイヤホンを使っているんだ。
できれば一発で奴らを人事不省にできるものがあればいいんだが・・・。
まぁ、俺が念のため事務所に置いてある護身用スタンガンでは無理なんだが、外国では30万ボルトのスタンガンもあるらしいので、そんなのが使えれば一発で動けなくすることも可能だろう。
防衛省なり警察なりが保有していれば良いけれどな。
いずれにせよ下っ端のクァンよりも階級が上のリンを確実に抑えた方がいいな。
奴のスマホの方がよりデータもありそうだ。
あ、エレック君に頼んでスマホのデータをコピーしてもらう手もあるな。
そんなことを考えて過ごしていた午後十時過ぎ、俺は未だに事務所に残ってお留守番だ。
監視中の二人に特段の動きは無い。
アパートで酒をかっ食らって寝ているぜ。
この二人、今日一日仕事にも出かけずに部屋に籠っているんだぜ。
本当に〇ャンマー系列の貿易商社勤務というのは見せかけだけの様だな。
一応午後八時過ぎに当該貿易商社に行って情報を得たんだが、居付きの霊曰く、二人の顔を知っているのは部長以上の幹部だけで、ほかの社員は名前も顔も知らないようだ。
そんな状態だから社員証は持っているんだが、一度も会社に出勤したことは無いようだな。
この会社の総務部長が、毎日パソコンの出勤テーブルに嘘のデータを打ち込んでいるようだ。
この会社も中華国諜報機関の受け皿になっているから、防衛省なり警察なりで早目に潰しておいた方が良いと思うな。
午後11時近くになって、俺の門外不出のPCにエレック君から連絡が来た。
何でも十個ほどの踏み台を使い、なおかつ傍に置いてあるスマホの音声を使って指示を出しているんで追跡が随分と難しかったようだ。
やはり根っこは、中華国参謀本部の第二部のようだ。
第二部の中にIT部隊があり、特にハッキングに特化した部隊が中華国内に分散配置しているらしい。
指令は第二部の特定のPCからなされているんだが、実行は各地の舞台に配分されているらしい。
単純に言えば、一番目は「甲」という部隊に指示を出して「101」という踏み台にメールを中継する仕組みを作り上げる。
当該「101」の近傍(20m以内で、概ね隣の部屋とか天井裏が多いようだ)には「101」のPCとつながるスマホが置いてあり、「乙」という部隊から当該スマホに電話をかけることで、「102」の踏み台に口頭でメールを送る。
このメールは暗号化されておりそのままでは文章にならないが、同じように近傍に置かれたスマホを通じて部隊「丙」から指示がなされ、次の「103」に暗号メールが送られる。
このようにしていくつもの部隊を通じて指示命令が送られ最終的に平文となったメールが防衛相の秘匿メルアドに送信されたわけである。
エレック君、ついでに防衛相に潜むスパイも当該IT部隊の秘密通信文から炙り出してくれたよ。
当該スパイは、一応戸籍上は日本人なんだけれど、実は北〇鮮から日本に入ったスパイなんだ。
しかも戸籍上の親も同様にして密入国してきた北〇鮮人。
日本人の路上生活者を人知れず殺して戸籍を奪い、もう三十年以上もその人物で通している。
妻もいるけれど、もちろん同じく北〇鮮から密入国して同様に日本人女性の戸籍を奪ったスパイである。
その夫婦の子がやっぱり北〇鮮からやってきたスパイで、本名キム・ナムチョル、26歳。
こいつは日本で生まれた実子と入れ替わった人物だ。
在所を時々変われば、子供が入れ替わっても気づく人は少ないからな。
そうやって、日本国内に深く浸透しているわけだ。
うーん、やっぱり、日本はスパイ天国なのかねぇ。
いずれにしろ、このスパイは日本人名「生田正憲」として防衛省に勤務している。
因みに結構優秀な人物で防大に合格した幹部候補生だ。
こんなのが防衛省に潜り込んでスパイになっていたらいろんな情報がモロばれだよな。
今のところ本当の機密情報にはさほど触れてはいないんだが、一応もう二尉クラスなんで結構な秘密情報には触れているはずだ。
さてさて、かなりの情報が集まったわけだけれど、どう通報したものか迷うよね。
エレック君には、念のため、クァンとリンのスマホに残っているデータ全てをおれのPCにコピーしてもらった。
その上で、最終的に難波警視正と長嶋一佐に連絡をした。
一応電話では秘密情報が漏れる心配もあるので、この両名には事務所に来てもらうようお願いした。
国家の一大事ともなれば、二人とも深夜でも出張るはずである。
タッチの差で難波警視正が11時43分に、長嶋一佐が11時45分に緊急車両の赤ランプをつけて到着した。
自衛隊にも緊急車両の赤ランプがあるのを初めて知ったよ。
俺は、あんまり自衛隊にはお邪魔したことが無いからな。
知らないでも当然の事なんだが・・・。
まぁ、挨拶もそこそこに俺が得た機密情報をぶちまけた。
最初に入手先は明かせないとして、洗いざらい喋ったよ。
少なくとも一介の探偵が判断をすべき事項じゃないと思うからな。
当然に注意事項も付けたよ。
おそらくは参謀本部第二部以外のもので他にもスパイが潜入している可能性があるので、何事も秘密厳守の上で身柄の確保着手は同時期にしないと逃げられる可能性が高いことや、データー焼毀の装置の件も伝えた。
後は、防衛省と警察が考えることだ。
少なくともスパイの摘発と狙撃の実行犯の逮捕は本来警察の仕事だろう。
臨戦状態の非常時なら自衛隊にも種々の権限があるが、今は無理だ。
ある程度は警察若しくは公安調査庁の司法権限に委ねるしかない。
但し、防衛省にもすることはある。
防衛省内部に深く食い込んだスパイの生田正憲の速やかな身柄確保と彼が国外に流した情報の確認だ。
こっちの方は自衛隊内部の規則で様々なことができるはずだからな。
その日、いやもう翌日になるんだが、0時40分頃には二人が、64ギガバイトのUSBファイルを持って、俺の事務所を出て行った。
このUSBにはエレック君が得た情報が生のまま入れてある。
それが有れば、防衛省なり警察なりのIT部門でそれなりの分析を行うだろう。
後の国内処置は知らん。
で、眠いから俺は自宅に戻って寝る。
夕飯は家の食堂に置いてあったので、レンチンして食べて、風呂に入ってから寝た。
翌日は、いつも通りの起床だ。
事務所は休みじゃないんでね。
午前様で帰っても、出勤するしかないブラック企業だ。
一方で、俺の居候達が騒がしい。
一件が収まったらどうするんだと盛んに念話で催促して来る。
まぁ、ちょっとした仕置きはお願いすることになるんだろうな。
北〇鮮の諜報機関とその指揮官。
中華国人民解放軍参謀本部第二部の関係した部門と、それを指揮した幹部連中だな。
北〇鮮の関係部門については、北〇鮮が打ち上げた弾道ミサイルの誤射により部門自体にあっさりと消滅してもらうことにしよう。
その上でその直属の指揮官は心臓麻痺で死亡してもらうことにする。
中華国人民解放軍参謀本部第二部の関係組織は、その使用していたIT関係機材の全てを廃棄物にしてもらおう。
そのためにエレック君から関連情報を流してもらうことにした。
参謀本部のナンバー2が責任者だったので、この人も心臓麻痺だな。
更に、中央軍事委員会の関与していたメンバー三人についても、脳梗塞で現職を退いてもらうことになる。
更には、国家主席もこの件に関わっていたので、軽い脳梗塞で半身不随と言語能力を喪失してもらう。
ここまで計画として居候に話したが、『手ぬるい』という連中と、『えぐいな』という連中に分かれたものの、概ね俺の計画概要を了承してもらったよ。
発動は、少なくと国内での警察と防衛省の処置が発動してからだな。
コンちゃんとダイモンが主導して作戦の実行部隊を編成することになったが、どうやらダイモン以下16体の居候が出撃することになりそうだ。
俺の頼りになる居候に任せた以上は、俺は口も手も出さないぜ。
ただ、何となくラノベの魔王になったような気がするんだが、気の所為かな?