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ヤンデレ-100(仮)  作者: もずく酢2022号
6/7

もう本当にどうしようもない程に、

「はっ、はっ、はっ・・・・・・はぁ。」


 勢い任せに矢野くんの家を飛び出して、全力疾走を続けて来たけどついに息が続かなくなって足が止まった。

 息をいくら整えても心臓の鼓動が平穏に戻ることはなかった。

 未だにドキドキがしている。


「うぅっ・・・・・・!」


 ここ四日間の行動を思い返してみて、反射的に両手で顔を隠してしまう。

 また顔から火が出そうになった。

 本当に、自分でもどうかしてたとしか思えない・・・・・・。

 本気で泣きたい気分・・・・・・!

 まるで長い悪夢から覚めたような気分だ。


 だけど、どうして?

 ・・・・・・きっと、怖くなっていたんだ。

 これ以上を想像できないくらいに恵まれた毎日に。

 あとは失うだけの人生が残っているだけだと、いつの間にか思い込むようになっていた。

 それならいっそ一度全てを捨ててしまいたいと願うようになったんだ。

 だから。

 異常で、気持ち悪い虚構(自分)で、理想的で、皆に慕われる偶像(自分)を塗り潰してしまえば良いんだと妄想した。


 多分、わたしは自分でも知らない内に矢野くんのことを嫌いになっていたんだと思う。

 わたしの「今」を誰かのせいにできるとしたら、キッカケとなった「彼」だけだったから。

 そんな嫌いな矢野くんに付き纏って、彼から嫌われて。

それを知った周りからも見下されて、見放されて、見捨てられて。

 全てをゼロに。

 ゼロ以下になりたかった。

 これ以下がない程にズタボロになってさえしまえば、きっとあとは何もかも幸せに感じられるようになるはずだと信じた。信じていた。

 それなのに––––––

 きっと、それはもう永遠に不可能になってしまったようだ。

 どうしてって。


 ––––––私はもう本当にどうしようもない程に人を好きになっちゃったみたいだから。


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