7.魔物の発生源
「やはり数が普通より多いな」
先に進みながら、レオンハルトが言った。
「瘴気も森の奥に行けば行くほど濃くなっていくみたいだ」
ネイトが周りを見渡していると、今度は鳥型の魔物が空から襲って来た。
レオンハルトが咄嗟に氷の魔法をぶつけた。
ギャーっという甲高い声を出して、一旦離れていくが再び向かってくる。
ファイヤーバードだ。ここで火を吐かれるとまずい。
エミリアが植物を操ってファイヤーバードに蔓を巻きつけて動きを封じると、レオンハルトがすかさず氷を纏った剣を突き立てた。
その後もファイヤーバードが次々に襲って来た。
もちろん、危なげなく倒していくのだが、とにかく数が多い。
10羽以上倒したところでようやく、ファイヤーバードの群れはいなくなった。
「この先は一段と瘴気が濃い。吹き溜まりが近いのかもな」
言うそばから次々現れる魔物を倒しながら進んで行くと、瘴気の塊のような場所を発見した。
小さな洞窟になっている場所だ。
「ここはそんなに大きな洞窟ではないはず。どっちかと言うと洞穴を少し広くした感じです」
エミリアは子どもの頃、ここに来たことがあった。
もちろんその時は瘴気の吹き溜まりではなかったのだが。
「どうする?中に入って確認するか?」
キリウスが尋ねた、
「そうだな。まずは状態を確認したい」
レオンハルトは迷わず入ろうとした。
奥にはそんなに広くないが、高さは結構あるので屈まなくても入って行ける。
その瞬間、黒い塊が洞窟から出てきた。
慌ててレオンハルトは後ろに下がった。
大人の2倍はありそうな獅子の魔物だった。
レオンハルト達は獅子の魔物を斬りつけていくが、硬い体なのか、手応えがあまりない。
アメリがエミリアを庇うようにして立った。
「お嬢様、下がって下さい」
「退いて、アメリ。戦えるわ」
初めて見る魔物に呆然としていたエミリアが毅然として言ったので、アメリは横に退いた。
素早く動き回る獅子の魔物の動きを止めるべく、植物を操る。
蔓が足に巻きついた。次々に巻きつけて動きを封じていく。
動きの鈍くなった獅子をレオンハルト達は一斉に斬りつけた。
ウォーっと最後の咆哮を上げると獅子はバタンと倒れた。
「こんな魔物見たことないんだけど」
呟くネイトにエミリアも頷いた。
「みんな初めてだろ。聞いたこともない」
レオンハルトが厳しい顔をして言った。
「とにかく、中の確認をするぞ」
再び洞窟に向かって行った。
中は瘴気が溜まって、黒く重苦しい空間が広がっている。
レオンハルトが魔法で光の玉を作って辺りを照らした。
「これは…?」
明らかに人為的に作られた黒い抱えられる程度の箱が置いてあった。
そこから黒いモヤがでている。
レオンハルトが剣で叩き壊そうとしたが、びくともしないので、凍らせて取り敢えず、モヤの発生を止めた。
「魔法陣が描かれている。誰かがわざと瘴気を発生させて魔物を呼び寄せていたということか」
取り敢えず、洞窟からキリウスが黒い箱を抱えて外に出た。
「今は瘴気が止まってるが応急処置だし、これ、持ち帰って大丈夫なのかな」
レオンハルトが困ったように地面に置かれた箱を見た。