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第6話 勉強

翌日の放課後、福祉部の部室に向かった。


部室のドアを開け、靴を脱いで中に入る。


周りを見ると、神津さん、星乃さん、如月さんがおり、皆教科書やノートを机に広げて、勉強しているようだった。


俺に気づいた星乃さんがホワイトボードに文字を書いて見せてくる。


(高宮先輩こんにちは)

「こんにちは。今勉強してるのか?」

(はい。神津先輩は宿題をしてるみたいです。如月と私は宿題と勉強をしてます)

「なるほどな。風早先輩は?」

(風早先輩は保健室で寝ています。よくあることなので、気にしないでください)

「そうなんだ」


風早先輩大丈夫なのだろうか、と少し気になったが、気にするなと言われてしまえばそれまでか。

俺は星乃さんの傍に座ることにした。


俺も鞄の中からプリントと電子辞書を取り出して、課題を終わらせてしまうことにした。


今日の課題は英語の文章の和訳と、数学の計算問題だった。

1時間もあれば終わるだろうか。


英語のプリントに書かれた英文を電子辞書を使いながら翻訳していく。


紙をめくる音や紙に書き込む音だけの、とても静かな時間が過ぎる。


30分ほど経った頃、今日の課題は終わらせることができた。

思っていたよりも簡単だった気がする。


まだ他の3人は勉強を続けている。

なんとなく声をかけておくことにした。


「わからない所があったら聞いて。わかる範囲で教えてあげるから」


その言葉に如月さんが反応して声をかけてきた。


「高宮先輩、少し教えていただけますか?」


如月さんの隣に座り、教科書を見る。

話を聞くと、どうやら数学の連立方程式の解き方がよくわからないということだった。


「これは、xを両辺にかけて…」


解き方の流れを説明したり、質問に答えたりした。

人に教えた経験があまりなかったので、説明に悩んだりもしたが、何とか理解してくれたようだった。


「ありがとうございます。後は自分で解いてみます」


如月さんのそんな言葉を聞いた後、星乃さんがホワイトボードを見せてくるのが見えた。


(私もお願いします!)


今度は星乃さんの隣に移動して、わからないことを聞く。


その後は、星乃さんと如月さんの間を移動しながら、英語、数学、化学などを教えていた。

途中から自分の課題が終わったらしい神津さんもヘルプに入り、2時間ほど二人に教えた。


「疲れた」


人に教えるのって割と疲れるものだなということが分かった。

中学の内容とはいえ、忘れていることもあったりしたため、スマホで調べたりしながら教えていた。

高校受験で勉強した内容なはずなんだけどな。


「良い復習になるでしょ」


机に倒れ伏していると、神津さんに声をかけられた。


「そうですね。自分の理解の浅さが身に沁みます」

「相手に教えるには、単純に解ける以上に理解していないといけないからね」

「そうなんですね」


俺が上手く説明できない問題について、神津さんに代わりに説明してもらったりした。

神津さんは俺と違ってスラスラと教えていた。

すごいなと思った。


少し聞いてみることにした。


「神津さんは教えるのが得意に見えましたけど、どうしてですか?」

「得意かどうかはわからないけど、愛莉と如月に教えることが多かったから慣れてるのかも」

「すごいですね」

「ありがとう。たぶん、高宮くんも慣れてくると思うよ」

「そういうもんですかね」

「そういうもの」


そんな会話を神津さんと交わしていた。

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