強スキルをもらいました。
「これはなんだろう?」
ステータスを確認したのち、見慣れないスキルを習得していたことに気付く。
画面を操作し、スキル説明の閲覧を選ぶ。
【鎌の勇者】
鎌装備時コモン以上のモンスターに対しステータスが上昇する。
上昇度 自身のLv%
「およよ、これは強いんじゃない?」
それは取得難度が高いとされているレアスキルであった。
単純にコモンモンスターを倒しただけでは入手出来ず、同レベル以上のコモンモンスターにソロで勝利した場合にのみ与えられる事がある。
その時点で装備していた攻撃武器に対して付与されるが、先述した通りコモンモンスターをソロで倒すのは難しい。
ある程度成長し、強力なスキルや装備を揃え立ち回りを考えて初めて入手できるようなものだ。
タンクやヒーラーであれば倒す前にモンスターに回復スキルを使われてしまう。
故にDPS用として想定されていたはずのスキルだが、鎌で討伐した場合にもきちんと付与されるのだった。
「よーし、もっと出てこないかな~?」
栞は更に張り切って森の奥へと進む。
しかし行けども行けどもほとんどネズミで、そのうち飽きて草刈交じりにネズミを討伐し続けた。
やがてレベルが上がりゲーム内時間が夕方になる頃、栞は眠気に襲われる。
ゲームでは夕方でも現実では深夜だ。
既に、遊び始めてから数時間が経過してしまった。
もう寝ようと思ったが、安全にログアウトするにはモンスターのいない町などへ戻るべきだと説明書には書いてある。
しかし栞は町からは結構遠い位置におり、戻るのも面倒なので【スニーク】を使いそのままログアウトした。
「便利だなぁ」
ヘッドセットを外し、ぼふんとベッドへ寝転がる。
騒がれてたからどんな苦労を強いられるのかと思ったが、意外と戦えるし楽しかった。
どんどん覚えていくスキルも、コレクター寄りのゲームプレイを好む栞には合っている。
今度はもっと奥へ行ってみようとか、料理のスキルも早く覚えたいなどと考えながら眠りに付くのだった。
……一方そのころ、森ではひっそりと一人の冒険者がコモンプラントの餌食になっていた。
実はこの冒険者、栞がコモンプラントに襲われてからの一部始終を目撃している。
しかし自分のレベルがまだ始めたての2であり、コモンプラントよりも低いことから迂闊に近寄れなかったのだ。
だが、目の前でよく分からない武器を使った女の子が一撃で葬り去っていった。
もしかしたらコモンモンスターは大したことないのではと自分も武器を握り、探し回った。
結果は惨敗。
冒険者はログアウトすると、ネット掲示板に愚痴を漏らす。
【OSO】でかい花に殺されたんだが
1:駆け出しの名無し
ちょっと聞いてくれ
2:駆け出しの名無し
どしたん
3:駆け出しの名無し
駄スレ
4:駆け出しの名無し
今日から竜騎士で始めたんだがコモンの花に殺されたんだよ
俺なんかミスってんのかな
5:駆け出しの名無し
詳細
6:駆け出しの名無し
ミスるも何も情報ないとわかんねえよ
コモンの花で初心者ってことはクソ花か 何で森に行った
7:駆け出しの名無し
ちゃんとPT組んだか?
8:駆け出しの名無し
スマン
LV2 竜騎士 装備初期
コミュ障だから一人だ
9:駆け出しの名無し
草
10:駆け出しの名無し
草
11:駆け出しの名無し
いや草
12:駆け出しの名無し
コモンは同レベルでも相手にならないんだから+3はしとけってあれほど
13:駆け出しの名無し
ミニPT組んでもよほど上手くやらないと全滅すんのにそのレベルでソロ
アホかと
14:駆け出しの名無し
竜騎士がなんで森にいるんだ
15:駆け出しの名無し
いや俺の前に一撃で倒したプレイヤーがいたんだよな
武器はよく見えなかったが服とかは初期♀装備だったし初心者のはずなんだ
森は迷った
16:駆け出しの名無し
武器すらよく見えてないんじゃ見間違えだろ
17:駆け出しの名無し
ドロップ狙いの廃人か
18:駆け出しの名無し
武器は見えなかったけどフライパンなら持ってたんだ 食われてたけど
19:駆け出しの名無し
草
20:駆け出しの名無し
クラフター? んなわけないか
21:駆け出しの名無し
生産とか都市伝説だろ 半年後には需要あるかもしれない
22:駆け出しの名無し
生産は戦闘職ちゃんの奴隷やって暮らす運命にあるしどのみち
23:駆け出しの名無し
どうせ嘘だろ
24:駆け出しの名無し
俺も信じられんし見間違えたんかな
まあまた何かあったら報告するわ
ちなみに女の子は可愛かった
25:駆け出しの名無し
それを早く言えks
26:駆け出しの名無し
女の子といえば聖女ギルドで姫見つけたわ
自分の知らない場所でちょっとだけ存在を知られた栞だった。




