58話 エピローグ
「お母さんっ!!!」
花畑で金髪の少女が銀髪の女性リシェルに抱きついた。
「どうしたのレナ?」
リシェルが屈んで微笑めば「これお母さんに!」と花で作ったネックレスを嬉しそうに差し出した。
「ありがとう」
微笑んでリシェルはそれを受け取る。
あれから季節は巡り。
リシェルは二児の母になった。
ずっとずっと夢見てた。
温かい家庭。
逆行前。いつかきっとフランツとこんな家庭を築くのだろうなと漠然と見ていた夢。
監禁されてからは、もう無理だと諦めていた。
きっと家族をもつ幸せなど手に入れられないまま自分は朽ちるのだろうと思っていた。
けれど一緒に歩ける人を見つけられたから。
共に歩ける大事な人。
「ママー!見てみてー!」
そこにはロゼルトに肩車をされた第二子長男のリュートが嬉しそうに手を振っている。
あれから、リシェルは聖女となり、ロゼルトも王位は第二王子に譲ったためリシェルと共にエルフの里で側にいてくれている。
成人し、結婚をして、子供を作り。
夢を見た幸せな家庭。そしてその相手が大好きなロゼルトで。
本当に幸せだとリシェルは思う。
「お母さん?」
リュートを見ていればレナに不思議そうに顔をのぞき込まれた。
「レナ?」
「どうして泣いているの?」
言われて気付く。
いつの間にか涙がでていたらしい。
「うん。そうだね。レナやリュートやパパがいてくれて私は幸せだと思って」
リシェルが微笑めばレナは不思議そうな顔をして
「幸せなのに泣くの?変なの」
「そうだね。変だね」
言って微笑む。
逆行前が辛すぎて。今ある幸せが夢のようで。
今でも時々これは夢で、目が覚めればまたあの監禁生活が待っているのではないかと不安になる時がある。
「どうしたリシェル?」
涙に気づいたのかリュートを背負ったロゼルトが心配そうに話しかけてきた。
もう28歳になり、ロゼルトも立派な大人の男性へとなっている。
「いえ、なんでもありません。
ただ、幸せだなっと思っただけです」
にっこり微笑めばロゼルトが一瞬驚いた顔をして、
「ああ、俺も幸せだぞ。愛しい奥さんとこんなに可愛い子供が二人もいるんだからな」
言ってリシェルとレナを同時に抱きしめる。
「もーお父さんすぐ抱きつくんだから」
レナがプンスカというがロゼルトは
「可愛いんだから仕方ないだろ」
「ぼくもー僕も抱っこ!!!」
リュートがロゼルトの頭をぽかぽかと叩いている。
「おーじゃあ、リュートも抱っこだ」
と、背中からおろすと抱きしめた。
その様子を見て、リシェルは改めて思う。
自分はきっと幸せなのだろうと。
こうやって大人になったいまだからこそわかる。
逆行前は。誰かに頼る事ができなかった。
臆病で真実を告げる勇気がなかったから。
だからあのような悲劇になってしまった。
逆行前も、もっとはやく父やエクシスに頼って王子との婚約は嫌だと訴えていれば、きっと二人とも王子との婚約を解消してくれただろう。
遠征先の父に婚約を辞めたいと便りを送る勇気も、様子を見に来てくれたエクシスに王子に虐げられているという真実を告げる勇気もなかったために自分はあの環境を変える事ができなかった。
逆行後。
復讐を誓いマルクに真実を告げて――そこから全てが動き出した。
リシェルに足りなかったのはきっと他の人を頼る勇気だったのだ。
逆行前は助けに来てくれたロゼルトの手を取ることができなかった。
でも今は違う。
いつでも側にいてくれて、ちゃんと不安を打ち明けられる間柄で。
彼がいてくれたから自分は変われたのだろう。
他人に頼る勇気を教えてくれて一緒にいてくれる大事な人。
「好きですよロゼルト」
リシェルが笑って言えば、ロゼルトも
「俺も愛してる」
と、笑い、リュートが下で僕も!僕も!とリシェルに抱っこをせがんでいる。
「本当二人はすぐいちゃつくんだから」
とレナがおませさんのような事を言いながらリシェルの手を握った。
その姿を嬉しそうにリシェルは目を細め「そうね」というと一緒に歩きだす。
4人で。幸せな未来を。
End
最後まで読んでいただいてありがとうございました!
誤字脱字報告&ポイント&ブクマも本当に本当にありがとうございます!!
あ、ありえないポイントをいただけて嬉しいです!!!
光栄すぎてがくぶるが止まらない((((;゜Д゜))))
書いてて楽しかったですー誤字訂正などしていただきつつ無事完結できたことに感謝です!!
本当にありがとうございました!!!
●お詫び●
リンゼの黒幕の件がスルーかと思われますが、リンゼの件の黒幕がラスボス的な別の話を
番外編→https://ncode.syosetu.com/n2164fv/
に書いております。中途半端で大変申し訳ありません。
近いうちに改正版として書き直そうとおもいます。
読んでくださってありがとうございました。








