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41話 魔族の契約

「……ではその魔族の契約とはどうなっているのでしょうか?」


 リシェルは疑問に思う。

 魔族との契約は絶対契約。

 一度してしまえばその契約は神すら干渉できないと言われている。

 


「魔族との誓約書を見れば、俺が願った未来になった時点で契約が成立し、俺の魂が喰われる。

 もともと国中の人間の代わりに俺の魂を捧げる契約だからな。

 また俺の願いが叶わなかった場合でも、28歳になった時点で強制的に魂が喰われる」


「……願い?」


「聖女のお前が殺される前にあの王子を蹴落とし、違う人間が王になる事だ」


「それじゃあ……」


「ああ、正直な。

 現時点でも神殿の大神官職にあるエクシス様がこちらの味方な時点であの王子を蹴落とすのは簡単だ。

 だが、王子を蹴落せば俺の魂が吸収され魔族が復活する」


「そんなの!!嫌です!!!一体どうすれば!?」


「だからこそ、リシェルの力が必要なんだ」


「……私の?」


「リシェルにはエルフの里に行ってほしい。

 聖女の力があれば、魔族の契約を覆せる」


「ですが!!魔族の契約は神でも覆せないはずです!!」


「だからこそ、聖女のリシェルの力が必要なんだ。

 リシェルはエルフの里で聖女の力を手に入れてくれ。

 神々でさえ倒せなかった邪神を倒した聖女の力で、魔族を倒して欲しい。

 契約成立前に倒せばいけるはずだ」


 そう言うロゼルトの言葉でリシェルは理解した。

 何故ジャミルはリシェルに発破をかけたのか。

 ロゼルトは死ぬ気だ。


 魔族を倒す?

 契約が成立する前に?


 本当に倒せたとしても。それで契約は無効になるわけがない。

 長い監禁生活で神話や伝説の本を読み尽くしたリシェルにそのような嘘は通じない。

 はっきりと明記はされていないが神話や伝承を総合的に考えれば、魔族が滅びれば契約中の契約者だって死ぬはずだ。

 そもそもそのようにリシェルが危ない目にあうような事を、ロゼルトがリシェルに意思を確認することなく言い出すわけがない。

 危険な目に合うけどお願いできるか?と、必ず意思を確認してくれるはずだ。

 それをしなかった。つまり。

 元からロゼルトはリシェルを魔族と戦わせるつもりなんてない。


 彼は嘘をついている。



 この魔族の契約を破るには、ロゼルトが王にもならず28歳にならなければいい。

 王にもならずガルシャ王子をそのままにした状態で28歳になる前に死ぬ。

 それが一番簡単だから。


 ロゼルトは魔族を倒すために聖女になれというけれど。

 それはリシェルをエルフの里に避難させたいだけ。


 ジャミルに説得される前の、ロゼルトに依存したままの自分ならロゼルトから離れなかっただろう。

 死ぬ可能性が高いなら……一分一秒でも長く一緒にいたい。

 離れたくない。


 ロゼルトを失いたくない。

 自分にいろいろ教えてくれて。

 楽しい事も。

 大事な事も。

 向き合う勇気も。


 その全部を教えてくれたのは、彼なのだから。


「……わかりました。

 エルフの里に行きます!

 魔族を倒します!」


 リシェルは頷く。

 ロゼルトの説得に騙されたふりをして。

 もちろんロゼルトを諦めたわけではない。


 けれど、ロゼルトの言う通りエルフの里で、聖女について調べればなにか方法があるかもしれない。


 初代聖女は神さえも滅ぼした。

 それに伝説では聖女になれば初代聖女ソニアが残した「神書」が読めると言い伝えられている。

 魔族の契約を覆す何かをもっているかもしれないのだ。


 リシェルの言葉にロゼルトはほっとした表情になる。



 私はロゼルトの隣を歩きたい。

 だから、彼の後を追うだけではだめだ。

 彼が死を覚悟しているというのなら。


 私はそれを覆してみせよう。


 王子とマリアのせいで――大事な物を全て失って。

 やっとやり直した今世でも失うなんてありえない。


 私はあの二人に何も奪わせない。

 それが今世での私の復讐。

 


 これは私の戦い。


 大事なものを何ひとつ失わず、王子とマリアの二人が犯した罪へ、相応の罰を。

 人々の魂を捧げる愚か者達に必ず制裁を。



 リシェルは父がくれた首飾りの魔道具を強く握りしめる。


 絶対復讐を成し遂げてみせる。

 今度は誰かのためでなく自分のために。

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