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23話 デート

 祠の中で。

 二人は身動きできないまま対峙していた。

 

 マリア。


 何故ロゼルトがその名を知っているのか?

 彼女はまだ社交の場にでてきた事すら一度もない。

 聖女ということがわかるのはこれよりもずっと後の事だ。

 なのに何故彼からその言葉がでてきたのか。


 リシェルが固まっていれば


「どうやら図星だな。

 歴史と違う動きをするからおかしいと思っていたんだ。

 俺が違う行動をしたから歴史がかわったのかと思っていたけれど。

 なるほどね。

 リシェルも戻る前の記憶を憶えていたわけか」


「まさか貴方も……?」


 リシェルが思わず聞き返せば


「ああ、憶えている。

 リシェルが殺されてから世界が滅びるまでを俺は体験してきたからな」


 そう言って、ロゼルトは肩を落とすのだった。



 □■□



「世界が滅びる?

 どういうことでしょうか?」


 リシェルは思わず聞き返した。

 確かにあの愚鈍な王子が国をとれば国は滅びはしただろう。

 けれどそれはあくまでも国だけだ。

 他国まで滅びる理由がわからない。


「当たり前だろう。

 世界は聖女を失ったんだ。

 二度も聖女が聖杯に力を注がなかった。

 そこからおきたのは世界の荒廃だ」


「でもマリアが……」


 そう、マリアがいたのだから聖杯に力が注げないというのはありえない。

 彼女は20歳になる前に命を落としたのだろうか?


 リシェルが疑問符を浮かべれば


「マリアは聖女じゃない。


 聖女は大神官様の予言通り。

 リシェル。お前だったんだよ」


「……え?」


 ロゼルトの言葉にリシェルが固まる。

 

 この人は何を言っているのだろう?

 聖女の力を使えなかったのに私が聖女?

 

「おっしゃってる意味がよく……」


「詳しく知りたいか?」


「……はい。出来れば」


 意を決してリシェルが肯けば


「……わかった。だが一つだけ条件がある」


「条件?」




「俺とデートしよう!!」




「………」





「………え?」




 思ってもいなかった言葉に、リシェルはそのまま固まるのだった。



 □■□


 思考が追いつかなかった。


「ほら、これ美味いぞ」


 デートをしようとそのまま街に連れ出され、何故か平民の格好をしてリシェルとロゼルトは歩いている。

 季節は秋で丁度祭りの時期らしく、街道にはたくさんの人と祭りの出店で賑わっていた。

 もともと遺跡の観光地なだけあって人の数も多い。

 シーク達もこっそり後から付けてきてはくれているが基本二人で行動しているのだ。


「あ、ありがとうございます」


 リシェルが出店で買ってくれた串焼きを受け取れば


「敬語は禁止っていっただろ?」


 と、ロゼルトが同じ串をパクパク食べながら言う。

 毒の方の心配をしたが、ロゼルトが鑑定の祝福(ギフト)持ちだから平気だと笑って話してくれた。

 

「あ、ありがとう」


 リシェルは言い直し、そのまま串焼きのお肉を食べようとする……が。

 どう食べるべきなのだろう。


 基本ナイフでちまちまと切り分けて食べるのがマナーなので噛みちぎるなど貴族がやるわけもなく慣れていなかったせいもあるのだろう、どうやって食べていいのかわからず、チラチラとロゼルトの顔を窺ってしまう。


「こうやってかぶりつくんだよ。

 ぱくっと」

 

 そう言って見本を見せてくれるロゼルトに倣ってリシェルも食べてみる。


 貴族が食べる食事は基本ほとんどが冷たい。

 いつからそうなったのかはわからないが、料理が熱すぎると昔料理人が殺される事が多く冷たいものしか出されなくなったとは聞いている。

 焼きたてのお肉は熱くて戸惑う。

 それでも


「……美味しい」


 あつあつで食べにくいけれど、口のなかにひろがるホクホクとした熱さとじゅわっと広がる肉の味にリシェルはつい言葉を漏らした。


「だろ?味付けはちょっと濃いめだけどな」


 そう言って無邪気に微笑むロゼルトに、リシェルは戸惑った。

 この人は一体何を考えているのだろう。


 世界の崩壊を知っているのなら、こんなところでこんな事をしている場合ではないと思うのだけれど。

 もっと今後について対策を練るべきで遊んでいる場合ではないはずだ。


 そう思ってリシェルは時々話を振ってはみるけれど、全て違う話題でかわされる。


 食べ歩きと慣れない状況に戸惑いながらも彼と一緒に歩きながら考える。

 これも真相を聞くための仕事だと思って割り切らないと。


 リシェルはそう思いながらもう一口お肉にかみつくのだった。




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