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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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馬と鹿 チュートリアルバトル

 一兆たちは紅と別れた後、特に何も考えずに当てずっぽうの道を歩む。

 「なぁイッチー、今ってどこら辺なん?」


 「知らね、プラプラ歩いてる。そのうちどっか着くだろ。ほら、どっからどう見ても最初の村みたいのが見えてきたじゃん」

 

 「あ、ほんとだ!」


 紅と別れてから数時間、俺はようやく集落を見つける事が出来た。地図は渡されたが、全く読めねぇんだよ。正直な話迷ってた。けどんな事をトクの前で言える訳ねぇし。まぁ、見つかったからまぁいいや。


 俺はつぎはぎの壁に囲まれた村へと辿り着いた。門の部分に槍を持った人物がいるが兵隊というより只の農民だ。


 「おいおいおい!!君たちこんなとこで何してんの!?」


 「は?」

 

 槍を持った農民は俺を見るなり慌てた様子で俺たち二人を強引に中に引き入れた。


 「外は危険だ!絶対に出ちゃ駄目!!そんな格好でうろついてたらこわーいバケモノに食べられちゃうよ!!君たち両親は?どこの子だい?」


 「いや話聞けっての。俺はここの村の子じゃねぇし」


 「へ?」


 ようやく話を聞く耳を持ったな。ったく、大人ってのはいつも自分の都合で物事を判断しやがる。


 俺はとりあえず自分を旅人という事にし、荷物は途中で無くしたって適当な事を言ったらこいつら信じこんだ。やはりゲームか、こんな単純な事で切り抜けられるなんてな。


 ・


 ・


 「いや、これは失礼した。てっきりここの子供が外に出てっちゃったのかと、にしてもその年で旅をしてるなんて・・・」


 「外に何かあんの?」


 「そんな事も知らずに旅してたのか!?何十年も前だ。ここに見たこともないバケモノって呼ばれる奴が現れて人間や動物たちも襲いだしたんだ。それ以降ここの大人たちが必死に頑張ってこのバリケードを作った。んで子供だった俺たちが今もここを守ってるんだよ」


 「ずっとここまで歩いてきたけど、そんなの見なかったよねイッチー」


 「確かにここ最近は姿を見なくなった。だから少し前から外を見に行く人たちが出てきたんだけど・・・」


 農民は口ごもった。いやな事でもあったんだろ。だからといってこれ見よがしにそんな顔すんじゃねぇ。俺はお前に何かするつもりは全くねぇんだ。土下座するんだらぶっ倒してみてもいいけどな。


 「今度は害獣が出てきてしまって、結局俺たちは外には出られないんだよ。害獣どもは凶暴だし賢い」


 「だったらさ!俺たちがそのがいじゅう?を倒せばいいんじゃね!?」


 は?トクの野郎急に何を言い出しやがる!


 「え!?いくら何でも危険だよ!!君たち子どもじゃないか!現に大人たちも対抗できないんだから!」


 農民はトクの提案にうろたえた。


 「おいコラ、何勝手な事をぬかしてんだ?ぁあ?」


 俺は小声のままトクの胸ぐらを掴む。面倒な事を言いやがって。


 「い、いやぁだってさイッチー。ここはゲームなんだよ、だったらさやる事って言ったらバトルっしょ。どう考えたってこの流れRPGの最初の流れじゃん。ここで選択肢を戦わないにしたら農業するゲームになっちゃわない?」


 言ってる事がよく分からん、俺はRPGは苦手なんだよ。ただまぁ、農業をやる選択肢かバトルに行く選択肢つったらバトル行くわな。


 「しゃぁねぇな。おいおっさん。俺がそいつらをぶっ倒すから、情報教えな」


 「ほ、本当に大丈夫なのか?」


 「俺を舐めんじゃねぇよ。ここがゲームでもなんでも負けねぇし」


 「じゃ、じゃあ害獣どもが根城にしてるところまでは案内するよ・・・本当にいいのかい?」


 「うっせぇなおっさん、今てめぇをぶっ倒そうか?」


 「ひっ!すんません!!じゃあ早速案内するよ」


 村に来たと思ったらまた外に出てきた。なんでRPGってこうもチュートリアルがなげぇんだよ。さっきバトルの練習的なことをやっただろ。またバトルの練習か。


 「ここの近くだ。あの岩山を害獣たちは根城にしてる」


 少し離れたところに岩場というか、岩山的な物がある。正に最初のダンジョンだな。


 「じゃ行ってくるから、そこで待ってな」


 「武器無しで行く気!?流石にそれはまずいでしょ!!これ持って行きなさい!!」


 農民は俺に持っていた槍を手渡した。初期装備は木の棒ですとかふざけたことはしねぇんだな。


 ずっしりとした重さが伝わって来る。俺的にはぶん殴る方が得意なんだが、まぁ相手は猪的な奴って考えりゃ持って行って損はねぇか。因みに俺は素手で猪をボコボコにしたことがある。


 農民は岩場の入り口に留まり、俺とトクが中へと入っていった。


 「わぁ、なんかいかにもなダンジョンだな。このくらい雰囲気とか、RPGのだとそろそろ出てくるんじゃね?」


 「だな、案の定だ。見事に囲んできてんな」


 「ほえ?」


 トクが情けない声を出している。普通に気が付けよ。さっきからゴソゴソって音してただろうが、というかずっと腕のデバイスが反応してんじゃん。


 「い、いきなり挟み撃ち!?最初は正面バトルだろうが!!」


 俺の目の前に確かに見たことない生き物が現れた。ハイエナっぽいな。


 「トクちゃんよ、お前がこの槍持ってた方がいいんじゃね?やっぱ邪魔、素手でぶん殴る」


 俺は軽く手を鳴らした。チラッとこいつらのレベルを見る。大体レベルは11とかそれ位か。さっきのおっさんはレベル6だったからな。やっぱ身体能力でレベルが決まって来るのか。


 「んじゃ早速俺から行くぜ。トク、俺お前守んねぇから自分で何とかしろよ」


 俺はこの生き物より先に手を出した。いきなりの俺の攻撃に対処出来なかったのか見事に俺の拳がクリーンヒット。歯が吹っ飛んでった。


 「お~お、油断してると死ぬぜ。俺手加減嫌いだから」


 向こうではトクも「えいやーとー」とそこそこ頑張ってるっぽい。というかただ闇雲に槍を振り回してこのがいじゅうってのが手を出せないでいるだけだ。という訳で結局俺が全員相手にすることになっちまった。


 全く、ケンカをろくにやった事がないくせに面倒な事を引き受けるからこうなんだろうが、後でトクの野郎シめるか。


 「死ね!」


 俺が最後の一匹を蹴飛ばした。気持ち悪いから殺してない、ある程度ボコったらこいつらは逃げだした。執拗に追うのは疲れるし、第一俺は追い払えと言われただけだ。殺せなんて言われてない。


 「おー!さすがイッチー!全員ぶっ飛ばしちゃってまー!!」


 「おいトク、結局俺が全部倒しちまってんですけど」


 俺はトクにそう言って詰め寄った。


 「い、いやぁ、俺イッチーに比べたら全然弱いし、それにイッチーなら全部相手したがるかな~って」


 勝手な事を・・・まぁいい。ん?


 「おい、まだ一匹隠れてんな。俺に正面からじゃぁ勝てねぇって?賢いって聞いてたが随分と悪知恵が働くみてぇだなおい」 


 俺の背後に異様な気配を感じた。そいつはじっと俺を見ているみてぇだな。


 「あ、あれ?イッチー?」


 「こねぇんならこっちから行くぜ。どちらにせよボコるんだからさ」


 俺は軽く地面を踏んだ。


 「待って!イッチー!そこにいる奴のレベル!!」


 トクの言葉を無視し俺はそいつのいる場所に例の魔法を使って岩を突き出した。


 『ぐぅあ!!』


 そいつは俺の攻撃を避け、一気に飛び出してきた。さっきの奴とは違う。


 『ぐぅおおおお・・・』


 「なんだこいつ。随分とキモイ奴がでてきたな」


 そいつは全身が鱗の様なもので覆われ、目には生気がなくどこを見てるのか分からん。そいつはキョロキョロとあたりを見渡すと、いきなりさっきのがいじゅうを襲いだした。


 「は?」

 「はい!?」


 俺とトクはこいつの意外な行動に呆気に取られていた。そして逃げ遅れていた一匹を仕留めたと思ったら今度は俺をじっと見てきた。


 「こいつ、今なんの為に殺した?こいつ、食う為じゃなくてただ単に殺す為にいまあいつを殺しやがったのかよ。まさかさっきのおっさんの言ってたバケモノってのはこいつの事か?」


 そいつは耳の痛くなるほどの雄叫びを上げると一気に俺に襲い掛かった。


 「ちっ!!」


 俺はとっさに後ろに下がりもう一度魔法で、今度は岩の壁から岩を突き出し、こいつの横から顔面に岩をクリーンヒットさせた。


 「イッチーそいつはちょっとまずいって!!レベル見た!?これ逃走イベントかなんかじゃないの!?」


 俺はようやく腕のデバイスでこいつのレベルを見た。レベル43、どうりで妙にタフな訳だ。


 「確かに倒すの面倒くさそうだな、けど俺負けイベって嫌いなんだよな。それにレベルが一桁しか違わねぇんなら、倒して経験値稼ぐし」


 てかこれって只のボス戦じゃね?って俺は内心思いながらもう一度こいつと対峙した。


 「後で紅にこいつの事で連絡入れるか」


 「あ、俺電話したい!!」


 「・・・勝手にすれば?」


 さぁ来なよ。俺はもう準備は出来てるし。バケモノ、ぶっ飛ばされる覚悟決めな。

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