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平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ!第三章  作者: 冠 三湯切
パート1、『この異世界より平和への旅路を行く』
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エルメス 近くて遠い

エルメス編、彼女の物語は麗沢と大差なく食事系の話で食べる側視点のお話です。麗沢は作る側の話です。それに加え少し恋愛を含めたのがエルメスのお話になります。

 「あ、起きた?」


 「ぬぅぉ、いきなりストレートパンチはずるいでござる」


 「今のはあんたが悪いから謝らないよ」


 「そんな失言したでござるかなぁ」


 レイサワよ、お前はもう少しデリカシーを持った方が良いと思うよ。そんな私も人の事は言えないんだけどね。


 今私はレイサワの作った料理を食べ終え、その後ちょっと変な事を言ったレイサワにパンチを喰らわせた。そして今は夜だ。


 「日が完全に落ちたでござるなぁ。今日はここで眠るしかなさそうでござるな」


 はぁ、もうちょっと早く移動する手段があればなぁ。車はここら辺はもう使えなさそうだし、第一ここらはまだ馬の文化だからね。それに一番近く村もここからじゃかなり遠い、徒歩じゃあと二日はかかるわね。


 「明日は夜明けと共に出るわよ」


 「朝食を摂る時間はないでござるか?」


 「ある訳ないでしょうが、あんたいつも食べる事ばっかりね」


 「食事は拙者の生き甲斐でござるからな、HAHAHA」


 レイサワは別に悪い奴じゃないんだけど、やはり少し苦手かも、とは言っても今の状態だと桜蘭よりも強いんだよなこいつが。訳の分からないギャグ補正で色々乗り切っちゃうし。


 普通に戦っても意外と強いし。今の私は戦う力は無いに等しい、特に今私たちが追っている彼らと比べたら赤子以下だ。


 「はぁ、今はあんただけが頼りなんだよなぁ」


 「うむ、先輩とも約束したでござるからな、絶対に中央まで守り抜くと。拙者、ずぼらではあるが先輩との約束を破ったことはないでござるよ、キリ!」


 「ははは・・・」


 どう反応すべきかね。今日のところはまず寝ようか。


 ・


 ・

 

 ・


 朝になった。


 「ん・・・この匂いは」


 「お、エルメス殿。朝ごはん出来たでござるよー。いやー走り回った甲斐があったでござる~」


 目玉焼きだ。部屋の中にいつの間にか鶏がいる。


 「どこにいたのそんなの?」


 「数時間前に目が覚めてしまったので、外を見回っていたら見つけたのでござるよ~。そこからずっと追いかけまわしてようやく捕まえたのでござる」


 こいつは・・・どんだけ朝ごはんを食べたいんだ。


 「ささ、どうぞでござる。拙者は先に頂いたので」


 「じゃあ、いただきます」


 レイサワの目玉焼き、コショウの代わりに昨日のチリペッパーを使っているみたいだ。普段食べるのとはまた違う味。それに半熟だからか、辛さがまろやかになる。


 「美味しいわね。やっぱり」


 「デスヨネー、拙者も自分で食べて絶賛だったでござる。では英気を養ったことですし、いざ参らん!!」


 やはりこいつは苦手だ。だけど、うちに持っている情熱は本物って事ぐらいは分かる。こいつは前に言ってた。食事こそが平和に繋がる。


 平和って簡単に言うけど、それは漠然としてかなり遠いものって私は勝手に思ってた、だけどこんなに近い所に答えはあるものなのね。


 レイサワは、その心があるから適当に作ってもこんなにおいしいのかもしれない。平和を願い、食事を作る。ある意味それも平和という問題の答えなのかもしれない。


 ・

 

 ・


 ・


 「あっつー・・・」


 私たちはしばらく歩き続けて、太陽が真上に来た。夏は始まったばかりだけど、ここら辺はやっぱ熱いわ。 


 「せめて馬でもいれば乗れるのでござるが」


 「だね、そう言えばサクラ、動物と話せるようになってたんだっけ。気を利かせてこっちに馬を寄越すなんて事しないだろうなぁ。第一サクラも私たちのいる場所なんて把握出来てないんだし」


 私は文句を言いながら少しサクラの事を思い返していた。


 サクラと初めて会った時、初めて出会ったはずなのに懐かしさというか、妙な親近感を感じた。だからか初対面の相手のあいつに結構な事をしてしまった。蹴り飛ばすとか・・・


 その後からだ、どうにもサクラの事が頭から離れなくなった。特に何もないときとか、気が付いたらサクラの事を考えている。そして何故かそんな事を考えてると見事にサクラが飛んでくるんだよな・・・


 サクラは私たちの先祖の初代国王の事を知っていた。そして自らも初代国王の妹の孫かもしれないと語った。血のつながり?そう言えばサクラと私の髪の色はほとんど同じ金髪だ。血縁の繋がりが私とサクラを繋げてるのか?


 それとも私自身が知らないうちにサクラに惹かれていっているのか?アオシラでサクラを介抱してても答えは出なかったな。結局私はあいつが好きなのか?


 自分でその思想に至って勝手に体が熱くなって来た。くそ暑いのに余計な事を考えさせやがって!!めんどくさくなってきた!!とりあえずサクラに会ったら一発殴っておこう。


 「お?あれは?」


 レイサワが立ち止まり前方を指さした。


 「あ、あの人って!!」


 そこには一人の男が馬に乗りながらこっちに向かってきた。


 「あれ?レイサワ君に、エルメス様じゃないですか。こんな場所で何をされているんですか?」


 「聞きたいのはこっちよイーサン、なんであなたが一人でここにいるのよ」


 いたのは王国軍の抱えるアイドルユニット、爆破部隊のプロデューサーをしている男イーサン ピークシードだった。


 「シャルロットの事だよ。いや、あの子だけじゃない。リーダーは君たちが戦った後全員行方不明になったらしくてね、僅かな情報でもと思ってあちこち探しまわっているんです」


 「シャルロット殿でござるか・・・」

 

 私とレイサワは互いに目を向けあった。事実を告げるべきか。


 「イーサン、あのさ。リーダーの事だけど・・・」


 「何か知っているのかい?」


 「すごく申し上げにくい事でござるが、リーダーは拙者たちが倒した後、三上殿が粛清をしていたらしいのでござる」


 「な、なに?」


 イーサンは目を見開いた。まぁそう言う反応になるわね。


 「残っているのは、ナターシャにエンリコ、そしてディエゴだけ。ごめんなさい、彼女たちを助けれなくて・・・」


 「・・・いや、変だ。三上君がそんな無意味な事をする必要がどこにある?」


 イーサンは納得しなかった。だけど現実を否定しているのかというとそうじゃなさそう。


 「変とはどういう事でござるか?」


 「リーダーの中で唯一遺体の上がったのはエミリアンだけ、その他は全くと言っていい程足跡を残さず消えているんだ。それにもっと変なのが三上にはそんな事をしている余裕なんて無かったはずなんだ。彼は君たちとは別ルートで世界を回っていたらしい。その目撃情報で作ったルートと、君たちの通ったルートを照らし合わせてみたら、全員を殺す事は不可能なんだ。自ら殺されに行かなくちゃね」


 私とレイサワは同時にイーサンを見た。


 「まさか!そんなはずないでしょ!?」


 「いや、エルメス殿。もしかしたらでござるが、三上殿が殺すという事に何か秘密があるのではなかろうか?三上殿に殺されるまでが、リーダーたちの任務だとしたら・・・現に三上殿はシャルロット殿に真実を告げる程信用していた。そんな彼女を理由なしに殺すでござろうか?」


 確かに、三上は彼らの事を知っていたのなら殺す理由は全くない。戦力であるリーダーたちをわざわざ殺すなんて非効率にもほどがある。でも死んだら全てが終わりじゃないの。あーもう!ほんっとあいつは訳の分かんない奴ね!!!


 「彼は分からない事ばかりだね。ところで話は変わるけど君たちは一体どこへ向かおうとしていたんだ?」


 イーサンは話を変え、私たちの事を尋ねた。


 「私たちは今中央を目指してるの、そこでこの世界の真実を伝えるつもり、全世界に放送できる放送局を使ってね。あなたにも聞いてほしいんだ」


 「世界の真実って・・・随分と凄い事になってるみたいだね。何を放送する気かは知らないけど、よっぽど重要なんでしょ?乗って」


 どうやらイーサンは途中まで案内してくれるらしい。ここら辺一体はずっと電気機器が壊れているから使える地域までは運んでくれるって。それでもやっぱり二日はかかるみたいだけど・・・


 私たちはイーサンの馬に乗せてもらい、この場を後にした。




 道中で私たちはイーサンに事の真実を話した。

 

 「成程、そう言う事か・・・しかしそんな事を公表したら国は混乱するぞ?」


 「分かってる。だけど何も知らされずに彼らの操り人形にされる国なんてやっぱ嫌。ここは私たちの世界、私たちの国だもの」


 「そうでござるよ、ここには拙者達同様に多くの人間が様々な生き物が暮らしているのでござる。それを好き勝手に弄るのは生物に対する冒とくでござる。拙者と同じ世界の者として言語道断でござる」


 「分かった、しかし全てを告げるのは中央に着いてからにした方が良いだろう。街ごとで告げればどこかで真実が歪む。変な噂が蔓延しかねない、それまでは極力人と会う事は避けた方が良いかもね」


 イーサンの言う事がここは一番だな、それで行こう。


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